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食品添加物の無添加・不使用表示の危機

 消費者庁が2022年3月末に食品添加物の無添加表示・不使用表示を規制するガイドラインを決めました。消費者を優良誤認から守るといいながら、その内実は食品添加物をたくさん使う悪しき食品業界の手先となるガイドラインです。 このため、食品業界で心ある事業者が努力と工夫を重ねて開発してきた製品に「無添加」とか「添加物不使用」とかの表示をすることが難しくなる懸念があります。

2022年5月30日に衆議院議員会館で意見交換会が開催されました。国会議員や生協・事業者・市民が多数あつまりました。集会の協賛団体の一覧は、参考資料をご覧ください。
このガイドラインの問題点について、主催者事務局の原さんから「経過報告」、そして日本消費者連盟の天笠啓祐顧問の講演「食品表示は消費者の権利」を聞いた後に、活発な意見交換をしました。

このガイドラインの問題点

・ 包材表示が十分にされていない一括表示・用途表示・加工助剤・製造溶剤などの食品添加物について、どうしたらきちんと表示できるかという検討を始めたはずなのに、食品添加物業界とか食品添加物を多量に使っている食品製造業界からの「実行可能性がない」という反対意見に押されて、2020年3月に消費者庁が現行の食品添加物表示制度の維持を決めたこと。
・ 更に、食品添加物業界とか食品添加物を多量に使っている食品製造業界からの「食品添加物の不使用表示が消費者の優良誤認を招いている」という意見に押されて、2022年3月に消費者庁が「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を決めたこと。
・ このガイドラインが、国会で審議される法律ではなく、消費者庁が独自に定めた「食品表示基準のQ&A」という文書の一部に組み込まれ、消費者庁が行なう食品表示法に基づく業者の取り締まりに利用されること。
・ ガイドラインでは、規制される可能性のあるケースの例示のみが示され、禁止表示と許容表示の境界線があいまいなまま決定されていること。国会答弁でも、禁止表示に当たるか否かは「ケースバイケース」で判断するとしていて、監督官庁の消費者庁職員の思惑如何でどちらにも判断される可能性があること。
・ 一般の食品製造者は、この状態に萎縮して、「食品添加物不使用表示」を自粛するしかなくなること。
・ 事業者の表現の自由と消費者の選択の自由を侵害する恐れがあること。
・ 消費者庁の上層部は農林水産省からの出向者で占められていて、将来の自らの天下り先確保のため、消費者のためではなく、業界のために働く「業界庁」になっていること。
などが挙げられました。

槌田は、意見交換の時に、食品製造業界の製造者が今後も「無添加食品表示」を続けられるように業界団体をつくり、食品添加物不使用の価値を広報活動したり、このガイドラインから個々の事業者を守っていく活動が必要であることを発言しました。

参加国会議員

5/30の会場には、多数の生協・弁護士・事業者・消費者があつまりました。
そのうち参加した国会議員は、
・ 大河原雅子衆議院議員(立憲民主党)
・ 山田勝彦衆議院議員(立憲民主党)
・ 須藤元気参議院議員(無所属)
・ 山崎誠衆議院議員(立憲民主党)
・ 長妻昭衆議院議員(立憲民主党)
・ 松原仁衆議院議員(立憲民主党)
・ 田村貴昭衆議院議員(日本共産党)
・ 川田龍平参議院議員(立憲民主党・オンライン参加)
主催団体の閉会あいさつは、
・ 山田正彦元農林水産省大臣
でした。
他に、槌田が個人的にメッセージを送ったところ、残炎ながら日程があわず参加できないが、とても関心があるとご回答いただいた国会議員は、
・ 吉田はるみ衆議院議員(立憲民主党)
・ 福島みずほ参議院議員(社会民主党)

集会アピール

5/30集会では、このガイドラインの問題点を指摘し、
・ 消費者は食品を選ぶ確かな目を持つようにしましょう。食品添加物を減らし、それを表示する事業者を応援しましょう。食品表示改善のための運動を拡げましょう。
・ 食品添加物の不使用・削減を追求している事業者はガイドラインに臆すること無く、不使用表示を続けましょう・これまで食品添加物を使っていた事業者は、不使用・削減に一歩を踏み出しましょう。
・ 本来の無添加・不使用表示を制限しないよう、問題の多いガイドラインの見直しを求めます。食品添加物・遺伝子組換え・原料原産地の表示を消費者に分かりやすいものとするよう、改訂を求めます。またゲノム編集食品の表示義務付けを求めます。
という集会アピールを採択しました。

以上が、5/30集会の報告です。
ご都合等で参加できなかった方は、下記のサイトで食品表示問題ネットワークの動画が公開されています。ご視聴ください。
インディペンデント・ウェブ・ジャーナル(IWJ)さんが録画され、配信してくださっていますので、合わせてご案内いたします。音声はIWJさんの方が良好だということです。
・ 日消連ライブチャンネル
  https://www.youtube.com/watch?v=sfFa9d-P4js 
・ Movie Iwjチャンネル
  https://www.youtube.com/watch?v=MlOi-7cEpjs

【参考資料】

こちらのグーグルフォルダーにあります。

この記事を書いた人:

槌田博(エコロフーズ
食品業界の経営コンサルタント。生活クラブ生協の前品質管理部長。

「無添加食品表示」をする事業者が団結して無添加表示を推進する業界団体の設立にむけてのnote記事を掲載しました。ご覧ください。




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