見出し画像

活用表が空白だらけの動詞

ちょっと縁起でもない話なのですが、最近立て続けに、夫が働くインドネシアの会社の工場で、勤務している50歳前後の男性2人が心臓発作で亡くなりました。

工場数と社員数がかなり多い会社なので、時々交通事故や病気などで死亡する社員の方はいらっしゃるのですが、それにしても50歳前後で心臓発作での死亡が立て続けに起こるのも不思議です。

"C’est bizarre..." 「変だよね...」という私に、

"C’est peut-être parce qu’ils mangent trop de fritures."

「もしかしたら、揚げ物を食べすぎてるからかも」と夫が言いました。


確かにインドネシア人は揚げ物をよく食べます。露店で売っているものと言えば

  • タフ・ゴレン(揚げ豆腐)

  • アヤム・ゴレン(鶏の唐揚げ)

  • ルンピア・ゴレン(春巻き)

  • カチャン・ゴレン(揚げピーナッツ)

  • ピサン・ゴレン(揚げバナナ)

など、揚げ物だらけ(ゴレン goreng=揚げる、炒めるの意味)。

pisang goreng (焼きバナナ)


年中暑い赤道近くの国なので、揚げでもしないと保存がきかないのだと思い、

"Oui, mais en friant les aliments, ils peuvent les conserver longtemps."

「ほんと、でも食べ物を揚げることで、長い間保存できるようになるよね」

と、frire 「(油で)揚げる」という動詞のジェロンディフの「手段・条件」の用法を使って私が言いました。すると夫が「ん~???」と考え込みます。

「en friant って言うのかな?なんか変。っていうか、frire の複数形の活用ってあるっけ??」と面白いことを言い出したのです。

さっそく活用を調べてみると、なんと frire という動詞の直接法現在形の活用は:

je fris
tu fris
il frit

の3つしかなかったのです!今まで気がつかなかった!
しかも現在分詞はないし、命令法も tu に対する "fris" しかありません。なんと空白だらけの活用表でした。


「じゃあ、活用がない部分はどうやって言うの?」という疑問がわきますが、通常「○○を揚げる」という場合には frire ではなく faire frire と使役の形(~させる)で言います。faire の活用形は全部存在するので、faire frire を使えば事足りるのですね。

ですので私が言おうとした文章は、正しくは:

"Oui, mais en faisant frire les aliments, ils peuvent les conserver longtemps."

でした。


このようにお料理の動詞には faire を使って表現するものがたくさんあります。ぜひこちらのページもご覧になってください。


で、心臓発作の話に戻りますが、気になって「インドネシア人の平均寿命」を調べたところ、72.50歳でした(2024年の統計)。

2000年は 65.65 歳だったのでそれに比べたらだいぶ長寿になりましたが、それでも若いですよね....。

ゴレンは控えま~す。


フランス語を勉強している方のお役に少しでも立てるように、皆さんの質問や疑問にお答えしています。よろしければサポートをお願いします。