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ô ê î のナゾ
トレビアンフランス語アカデミーでは毎週の課題として「音読」を送っていただくのですが、ある受講生の方が
hôpital 「病院」
という単語を、s を入れて [オスピタル] と読んでいました。
英語では hospital ですが、フランス語では s がなく、
[オピタル] と読みます。
でも実は、「古フランス語」には s が入っていました。
次の「古フランス語」の単語をご覧ください:
hostel
coste
tempeste
maistre
forest
hoste
feste
teste
beste
どれもなんだか、見たことあるフランス語の単語に似ていませんか?
これらの単語の s は、始めは発音されていたのですが、11世紀になると全く発音されなくなります。
これは発音の歴史ではよくあることで、子音が2つ続く場合、前の子音が発音されなくなってくるという現象です。
(例えば英語の knife や know という単語は今では k を発音しません)
と言うわけで、発音は時間と共に簡単に変化しますが、文字はすぐに変えるわけにはいきません。上記の単語も、 s を読まなくなったにも関わらず文字にはずっと残っていました。
こうして18世紀まで s が残っていたのですが、「フランス語を規則的で誰にでも理解可能な言語に純化し、統一すること」を目的として創立されたアカデミーフランセーズが「このままではいけない!」ということで s を省き、その代わりにその前の母音の上に accent circonflexe をつけることにしました。
こうして:
hostel → hôtel
coste → côte
tempeste → tempête
maistre → maître
forest → forêt
hoste → hôte
feste → fête
teste → tête
beste → bête
という現在の綴りが生まれたのです。
すべての accent circonflexe がこのような意味を持つわけではないですが、
「昔はうしろに s があった」という目印の場合もあるわけです。
英語の knife や know も、いつの日か nife や now になる日が来るのでしょうか?(Académie anglaise ってのはないのかな?)
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