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地域の宿泊観光客数の推移を活用して売上UPを!(宿泊施設編)【地方の観光事業者が取り組むべきこと#010】

DMO職員の私が地方の観光事業者向けに、売上UPのためのおすすめ情報を連載しています。第10回のテーマは「地域の宿泊観光客数の実績・予報を活用して売上UPを!(宿泊施設編)」です。

DMO(観光地域づくり法人)や自治体は、地域の観光事業者の売上UPに貢献できるよう宿泊観光客数の実績や予報を発表していますが、なかなか活用されていないが現状だと思います。

DMOによっては、マーケティングデータを公表するまでが、自分達の仕事と捉え、そのデータが地元の観光事業者に活用されているか、確認すらしていないところもあると思います。

ですが、それでは不十分です。地元の観光事業者に、観光ビジネスの課題解決、つまり、意思決定に、データを活用いただかなければ、データの価値はありません。

今回は、宿泊観光客数の実績・予報に絞って、宿泊施設がデータをどう観光ビジネスに活用できるかを掘り下げたいと思います。


1.地域全体の繁忙期・閑散期に応じたダイナミックプライシングの適用

地域全体の推移をみることで、繁忙期や閑散期がわかり、それに応じた価格設定が可能となります。データを見て、繁忙期に自信をもって価格を上げることができれば、売上の最大化につながります。また、閑散期は、2泊以上の宿泊の割引キャンペーン等を実施することで、ゆったり旅を楽しむ旅行者に訴求することができます。

2.閑散期プロモーションでの顧客ロイヤリティの向上

閑散期にプロモーションを行い、繁忙期にはできない丁寧なサービス(時間をかけた顧客との会話)を実施することで、顧客ロイヤリティの向上を図り、リピートにつなげることができます。

3.繁忙期対応に十分なスタッフの配置

繁忙期にチェックイン担当者の配置が十分でない場合、ゲストの待ち時間が長くなり、顧客満足度の低下を招いてしまいます。逆に、十分な配置をおこなったり、スマートチェックインを導入すれば、ゲストもストレスなくチェックイン・チェックアウトができ、翌年も再訪してもらえるかもしれません。

4.鹿児島市の場合

一定数の観光客が来ている地域であれば、DMOか自治体が宿泊観光客数の推移を公表していると思いますが、今回は、鹿児島市の宿泊観光客数の推移を取り上げます。まず、繁忙期は、他の地区と同様、夏休みやお盆休みにかかる7月・8月と秋の行楽シーズンの10月・11月が繁忙期となります。一方、閑散期は、例年1月・2月になります。この繁忙期や閑散期を踏まえて、ダイナミックプライシングやプロモーション、スタッフ配置ができれば、売上UPにつなげることができます。

鹿児島市の宿泊観光客数の推移

5.まとめ

データは観光ビジネスにおける意思決定に活用してはじめて、価値を生み出します。意思決定とは、何をどう決めるか。つまり、A、B、Cの選択肢の中から、ある判断基準に基づき、1つを選ぶことです。価格については、地域の宿泊観光客数という判断基準に基づき、繁忙期は、1番高いAを選ぶこと。閑散期は1番安いCを選ぶこと。プロモーションの時期については、地域の宿泊観光客数という判断基準に基づき、A(繁忙期)、B(通常期)、C(閑散期)の選択肢の中から、閑散期のCを選ぶことです。
このように、その気になれば、データは観光ビジネスに大きく寄与できるものであり、地方の観光事業者がマーケティングデータを使いこなせば、地域経済の活性化は一気に進むと思います。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回は、宿泊観光客数の推移をお土産屋がどう活用できるか取り上げたいと思います。

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