見出し画像

生保の業界動向について語ろう 〜外貨建保険の苦情について〜

生命保険協会のホームページに掲載されている情報はなかなか侮れない。

生命保険業界に関する情報が集約されているため、今後の業界動向を考える上で大変参考になる。

今回は銀行等代理店での外貨建保険にまつわる苦情について見てみたい。

まず、苦情発生割合は減っている。これは代理店での研修努力や販売者の習熟によるところが大きいと思われる。

一方で保有契約が爆発的に増えており、それに伴って苦情件数が増えている。割り算をすれば、外貨建保険の販売件数がここ数年でどれだけ伸びているかが分かるだろう。

私自身多数の外貨建保険を売ってきた立場だが、ミスマッチや認識違いを減らす上で気をつけていた点についてここで書いてみたい。

①相手の理解度を確かめる

当たり前のように言われているが、いうほど簡単なことではない。

一つ例を示すと、私の祖母が銀行経由で外貨建保険を勧められたことがあった。

祖母は銀行の人からの話だったこともあって、貯金の一種(元本保証)だと思い込んでいて、提案を受け入れる気満々だった。

私の方で誤解を解くべく外貨建保険の説明も試みたが、加齢とともに気力・体力が低下してきており、話を最後まで聞き通す気力がなかった。

これはダメだなと判断し、介入して銀行の人たちには外貨建保険の販売は諦めてもらった。

もし私が割って入らなかったら多額の保険加入を行い、間違いなく苦情に発展しただろう。

はいはいと頷いていても、実は話を聞き通す気力がなくて流しているだけの場合がある。

私も最近少しずつ実感するようになったが、気力体力が衰えた人間の行動パターンは、普段から情報収集に努め、想像力を研ぎ澄まさないと気づけない。

このような「一見大丈夫そうだけど、実は火種が残っている事例」こそ、現場の知恵を結集して共有すべき事項だと思う。

売る立場と売られる立場の両方を経験してみて分かったが、この違いを見極めるのはかなりの難問だ。

だからこそ僅かな兆候を見逃さないように、心を配るべきところでもある。

②本当に冷静な状態での投資判断か

外貨での資産運用に興味を示す人の多くは定年退職を迎えた方だ。

一気に多額の退職金を手にして、老後を豊かに過ごすために資産運用を行うパターンである。

そう考える理由は非常によく分かる。

しかし、多額のお金を手にして気が大きくなってしまい、「余裕資金での運用」という絶対に外してはいけない大原則を逸脱してしまいそうになるケースもある。

前のめりになり過ぎているところを静止するのもプロの役目である。

もちろん、財産総額をズケズケと聞くわけにもいかないので、普段の会話や見た目などから経済水準を見極める目は持ちたいものだ。

なお、世の中には見た目がボロボロでもとんでもないお金持ちの人間もいるので、会話で見極めることも怠ってはいけない。

このように、外貨建保険は非常に神経を使う、販売者にとってもリスクのある商品である。

「営業は相手の立場に立って考える想像力が大事」という、当たり前な原則がより厳しく要求される商品だ。

それだけに、上手く販売できた時にはビジネスの幅が大きく広がる商品である。

私は「気力体力の衰えた人間の行動原理」というアプローチで、さらに探究を深めてゆこうと思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?