バナナの皮は猿も食わない

 クリスマスが終わり、いよいよ年末である。今日から帰省だというのに下宿先にはバナナが4本もあって、昨日は1日でバナナを3本も食べてしまった。その食べっぷりたるや、まるでお猿さんの夢である。残りは今朝、朝ごはんに食べた。

 凍える台所でバナナの皮を剥きながら、妹のことを思い出していた。

 私の妹は、ゴミに対する意識が高い。ゴミの分別に厳しい八王子で育ったこともあり、私も一般よりはゴミ意識が高いとは思う。しかし、妹は私より高い。付箋を捨てるときですらのり部分と紙部分に分け、のり部分は可燃ゴミに、紙部分は紙ゴミに分別する。素晴らしい。マイクロプラスチック問題やゴミ袋を食べて死んでしまう亀に心を痛め、できる範囲でプラ減に取り組んでいる。しかし紙ストローだけは許せないらしい。

 そんな中で妹が1番気にするのは、フードロスだ。食べ物を残すなんてもってのほか、リンゴなどは皮まで食べる。少食なので外食の際は量を吟味する。ケーキ屋さんでバイトをしていた時は、閉店時に捨てられていくケーキを救えないことを悔やみ、ついには退職した。

 バナナの話に戻る。妹が一時期バナナを食べていた頃があった。その時は私も帰省していたので、一緒にバナナを食べていた。生ゴミの袋に溜まっていくバナナの皮を見ながら妹が顔を曇らせた。

「バナナの皮、こんなに沢山あるのに捨てちゃうのもったいないな。皮ごと食べられないのかな?」

 バナナを皮ごと食べようとしたことがなかった私は面食らった。バナナの皮の使い道など、せいぜいマリオカートで道に撒く程度だろう。可食部と皮で対して食感が変わらなさそうなりんごとは訳が違う。

「ええ……猿でも剥くのに……」

 思わずそう呟くと、妹はひっくり返って笑った。そうしてひとしきり笑った後、妹はバナナの皮を少しかじって言った。

「不味い」

 そりゃそうだろ。

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