003: 家計簿のすすめ

家計簿をつけはじめてから10年位経つのですが、2020年の5月に大改修をおこないました。そのしくみを説明するために何本かnoteを書こうと思っているのですが、そもそも家計簿って何なのっていうところをまずまとめてみました。


1. はじめに

20〜40代に徹底的に浪費生活を送って来たのですが、
・50歳位の時に年金定期便が届いて、年金でもらえるお金の少なさにびっくりしたこと
・森田芳光監督の「武士の家計簿」という映画を見たこと
で、このままだと破綻するという気づきがあって家計簿をつけはじめました。

「武士の家計簿」

最初はExcelで簡易的に、今はGoogleスプレッドシートで複数の観点で管理をしています。

ライフマネープランはまだあやふやですが、1年の支出管理は十分できるようになったのではないかと思います。

自分にとって家計簿はなくてはならないものですが、ここまでになるには10年位は試行錯誤が必要でした。新たに家計簿をつけたいという人に向けて、同じ苦労をしないように何本かのnoteを書きたいを思っているのですが、まず「家計簿って何」ということを説明したいと思います。

2. 家計簿のことが書かれた参考資料

普通はこういうものを最後に書くと思うのですが、「家計簿」には既に完成されて実績のあるモデル(考え方)が存在します。正しく勉強したいというのであれば、私の考えと併せて参考にしていだきたい基本的な知識です。

(1) 羽仁もと子著作集 第九巻 家事家計篇 婦人之友社

1927年10月20日初版です。古い本ですが、家事家計に関していまでも参考になる考え方が書かれています。今後も繰り返し読むことになりそうです。

(2) 羽仁もと子案家計簿 2020年版 婦人之友社

2020年5月に家計簿を大改修した時に大変参考になりました。
手書きの家計簿ですが毎年秋に翌年の版が発行されます。帯に発刊から116年とあります。何も知らずに手に取ると「とてもこれは継続できそうにない」と思えるのですが、整理収納アドバイザーのスーパ主婦 井田典子さんはじめ、何十年も愛用してきた人が一定数いらっしゃいます。

井田典子さんのWeb Page

(3) 家計当座帳 2020年版 婦人之友社

家計簿と一緒に使います。

(4) 羽仁もと子案主婦日記 2020年版 婦人之友社

羽仁もと子の著作に「予定生活」、「予算生活」という言葉あるのですが、
・予定生活 … 主婦日記
・予算生活 … 家計簿
という感じで使われるものです。

3. 家計簿とは何か

インターネットを調べてみると、
・家計簿に支出を記録するだけでは貯金はできない。
・現状の支出の内訳を分析し、無駄な支出をみつけて対処しなければ、ただの手間のかかる記録である。
という記述があります。

この考え方は一見正しいように思えますが、「予定」「予算」「優先順位」という考えが抜けているように思います。

羽仁もと子案家計簿にある創案者の言葉には、

家庭経済の第一歩は、清らかな収入の道をはかり、よい費目分けの予算をつくり、各費目の予算に照らし合わせて、日々の支出を記帳していくことです。

とあります。

婦人之友社のクラウド家計簿には、

家計を管理するために、大切なのは「予算」です。使ったお金の記録を目的にするのではなく、未来に向けてお金を育んでいくために。人生の大切な出費から、暮らしを楽しむ出費、夢を支える出費など、目的を決めて、それを実現するための予算を設定すると、これからのお金の使い方が見えてきます。

とあります。

kakei+
https://kakei.fujinnotomo.co.jp/

羽仁もと子案家計簿の考え方を簡単に説明すると、
・1年分の収入と支出の予算をたてる。
・月の予算は年予算の12等分で考える。
・月の収入予算から税金と貯蓄を引いた額を純生活費とし、食費などの費目毎に月の予算を決める。
・支出のあった日(基本毎日)に支出全部を記録し、支払額を予算から差引き、残金をチェックする。
・毎月のおわりに家計を締めて年計収支表に記録する。
というような感じです。

つまり、
・1年の「予定」を決め、
・それに見合った「予算」を費目毎につくり、
・その枠の中で「優先順位」の高いものからお金を使っていく。
ことになります。

構造化された予算の枠をつくり、枠の中で優先順位の高いものからお金を使うようにコントロールするツールが「家計簿」と言えると思います。

4. 家計簿を使うメリット

婦人之友社のクラウド家計簿には、

必要なこと、買いたいものに
お金が使えるようになり、夢が実現します。
貯金もできるようになります。

とあります。

kakei+
https://kakei.fujinnotomo.co.jp/

自分が感じているメリットは以下の通りです。
・支出の年予算を決めると、その通りの支出になる。
・予算の中で検討して買うと決めたものは必ず買える。
・財布に現金がいくらあっても、予算以上に使うことはない。
・お金は、クレジットカードでも、現金でも、電子マネーでも使い方は変わらない、クレジットカードも予算をみて使うので使いすぎるということはない。

5. 家計簿はつけなればならないのか

家計簿は、自分にとっては必須なツールだし、なければお金の管理は何もできなくなります。また、費目別に現金を袋分けにして管理する方法などはかえって面倒に思います。

でも、家計簿をつけていないからといって、生活が破綻している人が多いわけではないと思うので、家計簿はつけなくてもなんとかなるのかもしれません。

自分は試していまいちだったのですが、”Money Forward ME” などの家計簿ツールで簡易的にお金の流れを把握するするだけで十分という考えの人もいます。

貯蓄を増やす方法として
・収入を増やす
・支出を減らす(節約)
・お金を殖やす(資産運用)
とあると思うのですが、家計簿でできるのは「支出を減らす(節約)」という部分のみです。使えるお金が多いのならばどんぶり勘定でもなんとかなるのかもしれません。

ちなみに、どんぶりとは器の丼ではなく、江戸時代に職人が腰につけていた物入れだそうです。

6. 家計簿はめんどくさいものか

慣れの問題だと思います。仕事のなかでもっと複雑なプロジェクトのお金の予実管理をしなければいけないこともあると思います。だったら家計簿程度は楽勝かと思います。

・管理の方法や様式を考える。
・締め処理を行う。
のに多少の時間はかかりますが、毎日支出を記録するのはせいぜい5分、10分のことです。

7. 家計簿は何でつけたらよいのか

自分の経験上ですが、Googleスプレッドシートで1年を1ファイルで管理するのがベストです。
・無料である。
・表計算ソフトとして十分な機能がある。
・クラウドにあるので複数のパソコンからアクセスが可能である。
・必要ならば複数人で共有して更新することができる。
からです。

Excelはファイルをパソコン内に持つことになると思うのでそのパソコンがないと更新できません。メインパソコンをWindowsからMacに切り替えるようなことがある場合は、過去のファイルの様式がずれたりして不便です。

紙での管理は電卓による手計算になるのでまちがいチェックに時間がかかります。また、様式の変更や集計が容易にはできません。

“Money Forward ME” はじめ家計簿アプリはちょっとだけ使ったことがあるのですが、有料でないと機能が不足しているし、自分のやりたいことが全部できるわけではないため、使わないと判断しました。

主婦の友社のクラウド家計簿は、有料なのと、自分は思いつきで管理方法を追加したりするので、使わないと判断しました。

8. まとめ

家計簿で家計管理をするようになって、家計の見通しが良くなりました。例えば、今年の支出合計(予定)は常にわかるようになっています。

家計簿は手間がかかるという印象があるようですが、毎日の運用は5分、10分です。

家計簿を使うことだけが正しいとは思いませんが、ひとつの実績のある家計管理方法として参考にしていただければ幸いです。

具体的な様式や考え方は今後のnoteにまとめていく予定です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?