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VS

開始前にドキドキ、ワクワクする試合、レースなど一生のうち、そうあるものではない。

アントニオ猪木vsストロング小林(1974年)
西ドイツvsオランダ(1974年ワールドカップ決勝)
ロベルト・デュランvsシュガー・レイ・レナード(1980年)
ビョン・ボルグvsジョン・マッケンロー(1980年ウィンブルドン)
メジロマックイーンvsトウカイテイオー(1992年)
西武vsヤクルト(1992年日本シリーズ第7戦)
ゲイル・ディバースvsマリーンオッティ(1993年世界陸上女子100決勝)
北斗晶vs神取忍(1993年4月2日)
横浜vsPL学園(1998年甲子園・夏、準々決勝)

今日、6月7日、さいたまスーパーアリーナの世界タイトルマッチもそんな試合の一つだった。
いつもより仕事が遅くなり、(間に合うか?)とドキドキしながらPCに向き合う。

AmazonPrimeでの生配信。

アクセスした。間に合った。試合が終わった。

終わった途端、笑ってしまった。

ノニト・ドネアは、そんじょそこいらのチャンピオンでないだけでなく、”レジェンド”の名にふさわしい”不世出の”と言っていい王者だ。

だからこそ見ごたえのある、1Rのつばぜり合い。
あの剣豪同士の斬りあいのような、ヒリヒリする間合いとパンチの応酬はドネアだからこそ実現できたのだと思う。

開始早々の左フック。
試合後のインタビューで「あれで、目が覚めた」と語っていたが、その後ギアを上げる前に、目を覚ましただけで試合が終わってしまった感じがする。

2R・・・。

くどいが、ドネアは不世出の名ボクサーであり、伝説的なチャンピオンだ。
直近のここ2戦の動き、伝家の宝刀・カウンターの左フック。
電光石火の右ストレート。

それを目が覚めただけで倒してしまった。
この男は、もはやモンスターなどではない。

入場は先だった。
いつもと違う顔つき。
殺人者のような目をしている。
リングに上がった後も。
”早く俺に殺させろ!”と言っているかのように。
延々と殺気立つウィーヴィングを繰り返していた。

もはやモンスターではない。

悪魔だ。

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