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アンドロイドは電気羊の夢を見るか #9

前回♯8を投稿したのが2022年8月27日、約7か月ぶりの羊さんシリーズだが、申し訳ないが、前回からの続きにはならない事をお詫びしたい。

本来なら約7か月前の、前回までの流れをまとめた上で続きとして書くべきなのだが、世界的に電力の供給そのものがままならない中、EV車への移行という流れが怪しくなってきた現状と、物事の流れが早い昨今の情勢から、今EUタクソノミーを取り上げてもあまり意味がないように思える為(7か月も間を空けりゃあ、そりゃね?という声にはごもっともと言うしかない)、申し訳ないが流れをぶったぎって書かせて頂きたい。

なら別にシリーズの続きとしてじゃなく、別途新たな記事とすれば良いのでは?と感じられるとも思うが、これはどうしてもこのシリーズで取り上げたい、という私の我儘を許容して下さるという方々(がいらっしゃればだが)、よろしければお付き合い願いたく。

で、この記事はEV車移行の流れや電力含めたエネルギー事情についてのものではない事を予めご承知おき願いたい。

一つだけ、2023年2月27日、ドイツがEUに出した要望をEUが受け入れる事があれば、今後世界におけるEV車移行の流れを大きく後退させるエポック・メーキングな(皮肉です)事案になると感じる、という事だけ付記しておきたい。

さて本題である。

“太平の眠りを覚ます上喜撰 たった四杯で夜も眠れず”

嘉永6年(1853)のペリー艦隊来航による世間の混乱を歌った狂歌

今読むと、何とのどかでのんびりした歌だ、と感じる事に自分でびっくりしてしまう。

今や世の中の変化の流れは、上喜撰などという宇治の高級茶を4杯も飲んでる暇など与えてはくれないし、それが“黒船”だと認識した頃には、その船は既に入港して“もやい”を解き終わり、乗組員たちは街に繰り出した後という感じだろう。

そもそもその船が黒いか赤いかなどどうでもいい事になってきている。

以下、ロイターの本日(2023年3月29日)の記事を見て思わずキーボードに向かった次第である。

これは違うのではないだろうか?
やってる事が、もそうだが、向いてる方向も違う気がする。

既にchat-GPT4は多くの人が登録して使用し始めている。
これを実装したBingの検索エンジンとしての使用率は、実装前に比べて桁違いの伸びを見せているという。

下船して街に繰り出した乗組員たちに、“いいから、君たちとりあえず船に戻って”と言ってるようなものではないか?などと思ったが、“セルゲイの友達”(イーロン・マスク氏)たちは、私のようなアホではない。

彼らはアフターchat-GPT4に対する声明として、公開書簡を発表している。

しかし、6か月開発を停止したところで何が変わるというのだろう?

「強力なAIシステムは、好ましい効果があり、そのリスクが管理可能であると確信できる場合にのみ開発されるべき」

非営利団体FLI(フューチャー・オブ・ライフ・インスティテュート)公開書簡より

管理可能となった時点で、それはもはやリスクではなく、一ファクター(要因、因子)に過ぎないのでは?と思ったりするが、イーロン・マスク氏やディープマインドの研究者、イギリス・スタビリティAIのCEOやらAIの大家といわれている人など約1000人が署名したというその書簡をもとに、彼らは独立した有識者が先端AI開発の安全性に関する共通規範を策定、実行、検証するまでAIの開発を停止するよう呼びかけている、という。

規範というのは、人に対して定め、互いの信頼関係の上に成立するものだと思う。

もちろん、開発者という“人”に対して規範を定めるのであろうが、AIは開発後、膨大なデータを基に学習したその能力でもって“独自”に思考するようになると思うが、その“独自”な思考に対しても規範は有効なのだろうか?

どこまでの範囲を規範の範疇とするのか?

AIが経済的・政治的な混乱という形で社会と文明にもたらし得るリスクを詳述し、開発者にガバナンス(統治)担当の当局や規制当局と協力するよう促したそうだが、開発者に規範を課した所でAIが独自に動き始め、動き出してから後についてはどうするつもりなのか?

独自に動かないようにするなら、AIの能力もその能力から受ける恩恵も半減してしまう事になるが。

既に世の中では、chat-GPT4以外にも何十種類ものチャット・ツールやAIソフトが活躍し始めている。
それらの膨大な処理能力を制御し得る規範などというものが作れるのか?という疑念が消えない。

もちろん、規範を作る必要はあると思う。
頭のいい人たちが1000人も集まっているのだから精度の高い規範を作る事は可能かも知れないが、AIの処理能力は彼らをも上回るのではないだろうか?

規範を作る以上に必要なのは、AIを監視もしくは制御し得るAIを作る事なのではないか?
完全に制御するのは難しいかも知れないが、少なくとも開発者に対して規範を定めるだけよりは安心感は増すと思う。

昔、竹やりでB29と戦おうとした国があるという噂を聞いた事があるが、規範だけだとそれに似た感じを受けてしまう。

多分、既にCIAだかNBAだかMLBだかが着手、もしくは一次開発を終えていると思うが、できればその辺もニュースとして流し、規範の内容を具体的に公開してもらいたい。

技術者の方からすれば、たかがBotごときに何を大げさな、と思うかも知れないが、引用した記事を見て妙に不安を覚えてしまうのである。

chat-GPT4を開発した企業、オープンAIのサム・アルトマンCEOはこの書簡には署名していないそうだ。

お願いだから、“スカートはひざ上何㎝までね”といった代物でお茶を濁してるわけではない、という事だけでも明示してほしいと思うのは私だけだろうか?

今夜は拙宅の出がらしも喉を通らなそうだ。

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