ジュジュとは何か。アフリカ魔術について

ジュジュ(Juju)とは何か。一言でいえば、「アフリカ大陸を中心として広く信仰されている魔術」のことである。

ブリタニカ辞典での定義は次の通り

Juju, an object that has been deliberately infused with magical power or the magical power itself; it also can refer to the belief system involving the use of juju. 

日本語に訳すと次の通り

「ジュジュは魔術的な力を込めた物、もしくは魔術的な力そのものであり、ジュジュを使用した信仰体系そのものを指すものでもある。」

「ジュジュ」と聞くと、多くの日本人にとって馴染みのないものであるが、ジュジュの派生形がアフリカからカリブ海諸国に強制連行された黒人奴隷によって形成、発展されたブードゥ教であり、そのブードゥ教のシンボリックなアイコンがゾンビである。


また、しばしジュジュとは「ナイジェリアなど西アフリカを中心とした~」といった説明がなされることが多い。ただしこれは決して西アフリカでのみ信仰されている魔術という意味ではない。自分の個人的な経験でもケニアで40代の女性にジュジュについて話を聞いたときも自分のジュジュの体験を語ってくれたし(その女性も信仰の中心はナイジェリアなど西アフリカと言っていたけれど、)南アフリカの知人も「南アフリカでは魔術の道具として使うことを目的として子どもが誘拐されることがある。」と言っていた。また次の記事はジュジュがいかにサハラ砂漠以南の広範な地域で信仰されているかを統計的に示している。

Witchcraft Believers in Sub-Saharan Africa Rate Lives Worse

Witchcraft(魔術)を信仰している人の割合はサハラ以南の国で平均55%。ナイジェリアは平均よりも低い45%、南アフリカは46%である。こうした記事からも魔術がサハラ砂漠以北を除くアフリカ大陸で広く信仰されていることは明白であろう。


しかしこうしてアフリカ大陸に広く根付いているジュジュであるが、アフリカ外からは、まだ一面的な見方しかされていない。インターネットでJujuと検索しても、以下のGuardian(イギリスの一流紙)のようにジュジュに関するニュースを調べれば、性奴隷や人身売買の話ばかり。

The juju curse that binds trafficked Nigerian women into sex slavery

先にも南アフリカでの児童誘拐の件も書いたが、たしかにジュジュが、性奴隷、人身売買、児童誘拐といった問題を引き起こしているのは事実である。ただそれはあくまでジュジュの限定的な一面であり、ジュジュにはもっと豊かで豊饒な文化があることは語られることが、ほとんどない。ジュジュに関する情報といえば、ネット上のジュジュがいかに野蛮で後進的であるかを語る記事ばかり。ちなみに今日本語で「ジュジュとはなにか」について書かれている本は、少なくともアマゾンなどで一般に手に入るレベルではゼロである。アフリカ全土でこれだけ広く信仰されている魔術に関して日本ではまともに情報が得ることが難しい状況は寂しいなと思う。


以上のような状況の中、壮大な夢を語るとジュジュのファンを一人でも増やしたい、また自分も好きなジュジュに関してインプットするばかりではなく、アウトプットをしたい、という思いからたまにジュジュに関するブログを書いてみたいなと思って書いてみた。次からはジュジュの面白い側面を具体的に書いてみたい。今日は眠くなったからここまで。


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