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欅と櫻〜渡邉理佐の卒コンから思うこと…

序〜渋谷にて

「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」での守屋茜と小林由依のインタビューは、かつて『サイレント・マジョリティー』のMVロケ当時には建設中であった渋谷のビルのテナントのフロアが選ばれている。

インタビューを受ける彼女達の窓の外の先には、明治通りに沿ってMIYASHITAPARK、さらに、その直線上には代々木第一体育館が望める。いづれも欅坂/櫻坂には聖地とも呼べるゆかりの地である。何とも運命的である。

代々木第一体育館で欅坂46の幕を下ろし、櫻坂46としてリスタートした。そして先月21〜22日、渡邉理佐の卒業コンサートの場所として選ばれた。キャパシティとしてその規模が相応しいのか?との疑問の声も少なからず上がったのも承知している。ただストーリーとしては最良の選択だったのだろう。


W-KEYAKIFESについて

卒コンを振り返る前に昨年のW-KEYAKIFESまで遡りたい。「KEYAKI」と謳っている以上、欅曲の“解禁”は当然にしてあるだろうという声が大きかった。ただ私にはそれが無理筋の解釈だと思えた。櫻も日向も元は同じ欅の木…至極当たり前のことを言ったにすぎないと。そして、実際は『W-KEYAKIZAKAの詩』のみの披露だった。
「話が違うじゃないか⁉」と憤慨するムキもあったが、私は時期尚早〜それでいいと思っていた。何の為に改名したんだ…と…演るにしても時期とタイミングがあるだろう、今はその時期じゃないと。

「前向きなお別れ」が欅曲封印という不確かな既成事実として経過してきたが、ケヤフェスで(欅曲を)演るとも演らないとも関係者は一言も言っていない。乱暴な言い方をすれば、ファンが勝手に盛り上がっただけの話だ。
櫻坂としての「持ち歌」が限られている上に、明らかに「エイト」の弊害による苦しいセトリの組み立て。だがこれはもう最初からわかりきっていたこと。だからといって「欅曲に頼る」のは全く無意味で明らかに悪手だ。

ただ最終日、森田ひかるの燃え尽きたかなの様な放心状態を見た時は「何とかしろよ!」とお偉い方々に叫びたい気持ちだったのもこれまた事実。(後日、本人からご心配をお掛けした、大丈夫…との話があったようだが)

公演後も、この話題は燻ぶり続けた。また、日向坂46の潮紗理菜のブログが欅曲を組み入れない当日のセトリに対して疑義を呈したかの様な受け止め方をされたりもした。櫻坂46の小池美波からは「欅曲を求められるのは、どうにも悲しくて悔しい」との主旨のブログも出され、それを巡りSNS上では議論も起きた。

私は小池美波がそう心情を吐露し訴えかけるのを支持している。賛否はあっても彼女の、時に踏み込むそんなストレートな姿勢が私は好きである。

1stアニラ 守屋茜 渡辺梨加卒業セレモニー

2021年12月9~10日の二日間、櫻坂46としての1stアニラが日本武道館で開かれ、併せて10日に守屋茜 渡辺梨加の卒業セレモニーも行われた。そこでの二人のドレス姿は美しく神々しかった。その中で、欅のユニット〈青空とMARRY〉の曲が披露された。〜『ここにない足跡』『青空が違う』の二曲。

また菅井友香に呼び込まれた渡邉理佐がステージに上がる時、何とも微妙な感触を覚えたが、それは後付けで言える話なんだろう…

櫻坂となって初めての欅曲披露だったが、あくまで卒業セレモニーでの特例扱いになるんだろうと思った。四人が共有する特別な曲だからと…
                             

渡邉理佐の想いとは…

今思えば、守屋茜 渡辺梨加卒業後、渡邉理佐 原田葵の卒業が発表された頃からだろう。一期生から欅時代の話題が以前にも増して自然に口をつくようになってきたのは…そして、渡邉理佐の卒コンの開催が発表され、その日が近づくにつれて「欅曲が披露されるのではないか?」との気運がSNS上では盛り上がってきた。
さらに、卒コン直前に渡邉理佐が選ぶ欅坂46櫻坂46プレイリストが公開された。恐らくこのリストから選んで披露されるのであろうと。

この頃私には以前の様な「拒否感」はなくなっていた。寧ろ歓迎する気持ちすらあった。何故変化したのか?櫻坂が4枚のシングルを発表し活動に幅が生まれ安定したこと、櫻坂を巡る状況が時の流れと共に変化し私自身も変化したとしか言いようがない。然るべき時と場所が訪れて来たのだと。

卒コンは両日とも配信で視聴した。

5月21日は渡邉理佐初のセンター曲(櫻坂での一期生初のセンター曲でもある)『無言の宇宙』からスタートした。
この時点では最後に『僕のジレンマ』を持ってきてアンコールの『櫻坂の詩』で大団円と予測していた。

最初の挨拶の後『Nobodys fault 』『BAN』と櫻坂の表題を序盤に持ってきて(うん?これはどういうことだ…)と訝しんだ。そしてメンバー横一列に並んでのMC。田村保乃がリードするが、やがて二期生だけということに気づく。またまたどういうことだ…と。

そして上手に理佐、やがて下手に欅タワーが現れ、一期生だけの『二人セゾン』が始まった。みんなの表情がやけに穏やかだった。
感慨深く聴いていた。そしてソロダンスはみいちゃんかなと思っていたら、そのまま理佐が踊りだしたのには正直驚いた。ここまでやるんだと…
後ろから見つめる菅井友香と上村莉菜、尾関梨香の眼差しが特に印象的だった。

しかし、驚くのはここからだ。『手を繋いで帰ろうか』『青空が違う』『制服と太陽』『世界には愛しかない』と続けざまに欅曲を披露したのだ。

あぁ理佐は、櫻坂は、踏みこんだな…と…

『ブルームーンキッス』で櫻曲に戻った時、一層そう感じた。

そして一方、森田ひかる、藤吉夏鈴、山﨑天のセンター曲が続くのだが、これがもう圧巻なのだ。高い次元で、且つ安定したパフォーマンスを魅せるのだ。センターだけではない。それぞれの曲のそれぞれのメンバーが…櫻坂もここまで来たかの感…

そして最終曲『僕のジレンマ』

楽しく送り出そう…とのメンバーの気持ちも流石に揺らいでしまう。当然だろう。今日のこの日この場に用意されたかの如くの楽曲で…

そして最後、鮮やかなターンで背を向け渡邉理佐は階段を降りていった…

いつもより長く感じたカーテンコール (リピート配信時には幾分カットしていたような…) そしてアンコールが始まる。

荘厳なシンセサイザーが流れ、『太陽は見上げる人を選ばない』が始まった。今度は全メンバーがステージ上にいる。

二期生、そして新二期生が歌い踊る。何と素晴らしい光景か!これが欅に憧れて夢叶い晴れ晴れとした面持ちでパフォーマンス出来る喜びに溢れているように見えたのは、決して私の思い込みだけではあるまい。


そして理佐らしい曲紹介で『危なっかしい計画』〜会場が盛り上がった後に〜理佐の口から飛び出したのは…なんと!

『風に吹かれても』……だ!

恐らく何らかの理由或いは意図で、フリ入れはやらなかったのであろう。まさにフリーだった。

齋藤冬優花に教えを乞う形なのか、増本綺良が何ともぎこちないステップを踏んでいる。それを、理佐に披露しているのか、その姿が愛おしくも可笑しい。一方で理佐、ふーちゃん、遅れてゆいぽんがいっとき魅せたステップは流石の風格…これを一度ガチガチでキッチリ演って欲しいと願うのは人情というものだ。

翌22日は概ね同様のセトリであったが、特に印象に残ったのはFIVECARDSの『僕たちの戦争』だった。

THREECARDSになってしまったが、この先ももう見られないであろうパフォーマンスだった。上村莉菜、土生瑞穂も思うところがあっただろう。

〈青空とMARRY〉のメドレーも披露したが、結局『櫻坂の詩』は演らなかった。

こんなセトリを予想したのは恐らく誰もいなかったろう。それほどアグレッシブな構成だった。

そして『危なっかしい計画』を最後に渡邉理佐は櫻坂46のメンバーとしての、アイドルとしてのステージを降りていった…

渋谷で学び渋谷から巣立っていった…


引用したTweetは時系列として前後している場合があるが、視聴直後の感想(呟き)が今も同様の思いである事に変わりはない。

結局、欅曲への「見えざる壁」は取り払われたのか⁉

どう欅坂46と向き合うべきなのか⁉

この卒コンでかなり視界は開けて来たかに思える。

私はもう充分に櫻坂46は櫻坂46の楽曲だけで勝負できると自信と確信を持つことが出来た機会だったのではないかと思った。皮肉にも欅曲を披露することで、その思いを強める結果となったのではないか⁉

そしてそれこそが「もうあとを託して十分」との思いで卒業していく渡邉理佐の最大の置土産になったような気がする。
今後、欅曲と欅坂46にどう向き合うかは、メンバー自身それぞれがそれぞれの時期に判断すればそれでよいのではないか。

フラットになったとは流石に言わないが、一つの時代として素直に語れるようになったと言えるのかもしれない。

今年もW-KEYAKIFESの開催が発表された。現時点では詳細は不明だが、櫻坂46と日向坂46が欅坂46にどう向かいあうのかが興味の一つとなっているのには間違いない。



【追記】

あらためて、渡邉理佐さんの今後のさらなるご活躍を心より祈念いたします。

そして、折しも観客のマナーが注目された公演でもあったけれど、見事に整然と且つ毅然とした対応の現地勢にBuddiesとしての矜持を見ました。ありがとう。

                         We are buddies♪


                       № 003

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