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石坂浩二の金田一耕助②

原作横溝正史、監督市川崑、主演石坂浩二。このトリオでの映画金田一耕助シリーズ。一度ここで語ったが、再度書き足したい。
猟奇的連続殺人事件が大筋だが、何故かこの映画シリーズは観賞後にしんみりする。他の金田一耕助映像作品と印象が少々異なる。
一つは前にも書いたが、ユーモラスなシーンを巧みに散りばめている。ホンワカするシーンが良い。
それともう一つ、このシリーズを印象付ける要因がある。
事件の根源になる極悪人は、既に死んでいるのがパターン。邪な人物も話半ばで殺される。最後は犯人も含めて哀れで悲しい運命の人々。その哀れな犯人も最期は…。
人生をやり直すべく人々が残り、それを見届けた金田一耕助がそっと立ち去る。僅かな清涼感を感じるのだ。酷い話だが最後に希望を残す。

加藤武演ずる刑事が、嫌味で鼻持ちならない男。これが最後に人情味を見せる。憎めない男なのだ。何となく映画の印象に被る。陰惨で不快なストーリーが、情緒的で優しさを残して終わる。

最近は韓国映画の影響か、倫理的にどうか?というバッドエンドが多い。
韓国映画が注目された頃、続け様に観たが、何れも酷い酷い話だった。最悪のバッドエンド。映画の出来が悪くないだけに、後味の悪さは極悪。これが儒教の国の映画か?倫理観が壊れた国じゃないか?と思ったくらい。
それですっかり韓国映画嫌いになった。
因みにその時観た映画は
南極日記
母なる証明
オールドボーイ
チェイサー

映画館を出て余韻を楽しむ。それが大事なのだ。市川崑×横溝正史×石坂浩二の金田一耕助シリーズには、それがある。

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