小池内広 歌集『片生集』より短歌を一部抜粋
小池内広は幕末明治期の新潟県加茂市の文化人です。
彌彦神社や青海神社の神職を歴任し、多くの著作を残した加茂の名士です。
この記事では、小池内広の著作の1つの歌集『片生集』から短歌を抜粋しました。
小池内広がどのような歌を作って残したのかを知ってもらえれば幸いです。
なお、歌は原文のまま記載しています。
<春の部>
【旅中立春】
鶯のなく声きけば春は来ぬ草の枕や日数経ぬらん
【春望】
栗かねはふもとの雪もきえなくに木のくれしけき弥彦のやま
【椿】
緒にぬきてつちにちらさぬよしもかな白玉つはきてれるさかりを
【花下宴】
さくら色に人のおもわもなりにけりにほへる花や酒にうかへし
<夏の部>
【新樹】
くれなゐのいろもみとりにかへりてのわか葉しけりて夏は来にけり
【夏月】
わか竹のふしもあへねはみしか夜の月は葉陰にかたふきにけり
【紅花】
をとめらか末つむ花のくれなゐをおもひのいろにたれか染めらん
【蛍】
すすみつつ扇たならすたかとのにまねくともなくくるほたるかな
<秋の部>
【月】
秋の月くもりなき夜は天とふや雁かねさへそさやけかりける
【十三夜】
あくまても夜は長月の十日あまりこよひみよとや影はすむらん
【菊】
やちよへん御代のためしと菊の花たひらかにこそにほひそめけん
【秋旅】
旅衣たもとすすしき秋風にを花かすゑの露そこほるる
<冬の部>
【かへり花をみて】
ひととせにふたたび花はさきにけり老いゆく末もたのもしきかな
【川落葉】
よしの川いまはやなせの時すきてもみちのみこそたちとまりけれ
【山雪】
雪ふれはやまのはしろくなりにけり残るもみちもうつもれぬらん
【冬旅】
むか股に雪ふみなつみ旅ゆけはあられたはしる菅笠の上に
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