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女子サッカー選手が登場するCMを日米比較「夢は変えない。世界を変える。」「女の子の夢から、限界をなくせ。」

日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が、2021年秋に開幕します。プロリーグ立ち上げの発表をする田嶋幸三さん(日本サッカー協会会長)、佐々木則夫さん(女子新リーグ設立準備室長)の話を聞いて、皆さんはどのように感じましたか?私は・・・正直に書くと何も覚えていません。

私の記憶に強く刻み込まれたのは #これは新しい日本のキックオフだ の動画です。

特に、冒頭に登場するメッセージ「女の子の夢から、限界をなくせ。」そして最初のカットがサッカーのプレーシーンではなくジョギングというところに惹かれました。WEリーグが何を目指しているのか?これから誕生する女子サッカーのプロ選手像を動画と音楽で見事に示してくれていると思います(話は、それほど強く記憶に残っていないのですが)。

そして、思い出したのは1993年5月15日に川淵三郎チェアマン(当時)が行った開幕セレモニーのスピーチです。このスピーチには「サッカー」という単語が出てきません。Jリーグがスポーツ界の中で果たす役割を短時間に凝縮して伝えた名スピーチです。

さらに、もう一つ思い出したのがFIFA女子ワールドカップ2019フランス大会に合わせて作成されたナイキのCMです。こちらも冒頭にサッカーのプレーシーンが出てきません。

I believe ! お分かりの方も多いと思いますが、この動画には元ネタがあります I Have A Dream ! 。

キング牧師の 「私には夢がある」は米国民のほとんどが知る有名な演説です。1963年8月28日に、キング牧師は職と自由を求めるワシントンでの行進の際に、リンカーン記念館の階段上で17分にわたって演説し、公民権運動に大きな影響を与えました。白黒テレビ時代の名演説です。

FIFA女子ワールドカップ2019年フランス大会は「女子サッカーの世界一を決める大会」というよりも「世界中から集まった女子の祭典」という雰囲気を醸し出していました。私が足を運んだ2011年ドイツ大会決勝戦、2007年中国大会グループステージには、このような雰囲気はありませんでした。2019年に到来する新時代を予感させるような強いメッセーを発信するCMでした。

「夢は変えない。世界を変える。」女子サッカーによって世界は変わりつつあります。

同じくFIFA女子ワールドカップ2019フランス大会に合わせて作成されたナイキのCMです。こちらには、世界各国の選手が登場しています。冒頭で紹介したWEリーグ動画と同様に「女の子の夢から、限界をなくせ。」というメッセージを感じます。

日本にも「無限大に広がる女性の夢」を表現したCMがあります。

いくつか紹介していきましょう。まずはMS&ADインシュアランス グループ ホールディングスです。はMS&ADインシュアランス グループ ホールディングスはなでしこジャパンを支援し国際親善試合「MS&ADカップ2020」を特別協賛しています。

大切な言葉は「あきらめない」


国際武道大学は千葉県にある大学です。この動画は主に生徒募集を目的に制作されていると思われます。国際武道大学は、なでしこリーグ2部のオルカ鴨川と協力し、「オルカ鴨川FC・国際武道大学サッカー部共同企画『南房総地区女子サッカー普及、未来のなでしこ育成プロジェクト』」に取り組んでいます。

私が国際武道大学です。


FIFA クラブワールドカップジャパン2011でFIFAの国際大会としては日本初の女子ボールクルーが採用されました。「僕にはできる。」というキャンペーンスローガンでアスリートを応援してきたアクエリアスのCMです。

私たちにはできる。


4パターンが作られたニッピコラーゲンのCM。歴史のある化粧品メーカーですが高齢化していたユーザの若返りを促進しました。「夢をかなえるためには諦めないこと。努力するのはサッカーだけじゃなくスキンケアも同じ。諦めず一緒にがんばりましょう」と記者会見で澤穂希さんがコメントしました。

澤のコンデイジョンが日本女性の未来になる


一方で、日本のCMには、アスリートのキャラクターを身近な存在として扱う表現が多く見られます。

女子サッカー選手が登場するCMにも、このような表現がありました。

「みんなでカラオケに行こう」をテーマに、試合後にカラオケに行き、全員で盛り上がるという明るく元気なストーリーです。女子サッカー選手の仲良さそうな雰囲気、チームワークが演出の素材になっています。

シダックスのCMでは女子サッカーチームのチームワークがCMに生かされました。アクアクララのCMでは、ご結婚、ご出産をされた澤穂希さんに「誰もが知っているお母さん」として出演していただいています(なぜかヒロインではなくヒーローと表現されています)。アクアクララは澤穂希さん起用の狙いをこのように掲載しています。

今回は澤さんと旦那さんに出ていただいて、リアルな家族感が出ていてほんわかしていたし、澤さんに出ていただいたということもあって、リアルな気持ちで理解していただいて本音で語って頂けたCMになっていると思います。

このような選手を身近な存在と位置付ける表現は、日本の伝統的なCM制作フォーマットとして男女を問わず長く行われてきました。

またフジテレビ系列のTV番組「ジャンクSPORTS」に登場するアスリートの位置づけも、こうしたCMの延長線上にあると思われます。「ジャンクSPORTS」は日本独自の番組フォーマットなので、フジテレビは番組フォーマットを海外のテレビ局等に販売しています。

日本の伝統的なCM作り、番組制作は視聴者が望むものなので継続するでしょう・・・しかし、今は・・・。

WEリーグ開幕に向けて、女子プロサッカーリーグの目指す方向や選手の力を生かしたCMや動画の制作が、女子サッカー関係者には望まれるタイミングなのではないでしょうか。






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