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つぶさないようにもってかえってきたの

暑い日が続いていますが、知的障害のあるほかろんは、毎日生活介護の通所に通っています。
先日、息を切らせて、帰ってきたほかろん。
「おかあさんにみせたいものがあるの。
つぶさないように、だいじにだいじに、もってかえってきたの。」
と言って、Colemanのピンクのリュックをおもむろに開けると、
なんと、蔦の葉っぱが出てきました。
その葉っぱは長くて、
「まだまだあるの。」と言いながら、葉っぱを引いていくと。長い長い蔦の枝の苔玉が出てきました。
まるで、バッグの中から、長い長い電気スタンドを、するすると出してくるメリー・ポピンズのようです。

「バケツにいれてあげてね。」とそこまで一気にいうと、安心したほかろん。
「大事につぶさないように持って帰って、家に着いたらバケツの水につけてあげるように。」と園で言われてきたのでしょう。
忘れないように、一気に話してくれたようです。

その日は、ほかろんの大好きなガーデンセラピーのある日でした。
ガーデンセラピーでは、いろいろなものを植えたり、収穫したり、作ったりしています。
今日は苔玉だったようです。

たっぷりの水に一晩漬けた苔玉は、とても、元気になり、葉っぱもぴんとななって、ほかろんがぐるぐるひもを巻いた根本は、きちんとお皿の上に立ちました。

おみごと、ほかろん、よくやった。

しかし、これをリュックに入れて帰ってくるか?普通。
リュックに入れたら、バスに乗ったとき、背もたれでつぶれるかもしれないのに。
つぶれないように、背中を背もたれにつけないで、苦しい姿勢でバスに乗っていたのだろうな。

とても、大事なものだから、手に持たないで、リュックに入れてきたのだろうな。

と考えたら、おかあさんに見せたい一心で、大事に持って帰ってきた、やさしい気持ちが伝わってきて、じーんとなりました。
いつもありがとう。
これからも、やさしいほかろんでいてね。


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