障害者が配慮をしてあげているのです

合理的配慮という言葉に、なんだか、嘘くささを感じてきました。
私が上水流涼子だったら、
「合理的にありえない。貴山、なんとかしてよ。」と叫んでいるでしょう。

その合理的配慮が、全国民の意識にいきわたっていないのに、お上からのお達しが下り、みんな努力することになったのです。

でもね、なんとなくなんですけど、個人のレベルでは、障害者に対してさりげない配慮をしてくださる方は、たくさんいらっしゃるんですけど、大きい組織とかについては、なかなか、なんですよね。

うまく言葉にするのは難しいんですけど、まあ、組織などでは、できる範囲で、無理なく配慮できる範囲で配慮するということなんですが。
それは、もう、行政はじめとする組織などの、大きいものの立場が優先されていて、その中で、できることをすればいい、ということなんじゃないかと、まあ、大きいもの優先です。

ということは、障害者側は、
「この辺のところが、困難なので、配慮してください。お願いします。」
と下から丁寧にお願い申し上げましても、それはもう、決死の覚悟で、お願いいたしていますのですのに。
ものすごーく気を使って、遠慮して、何日間も言おうか言うまいか悩んで、やっとの思いで言ってるんですのに。

「そこは、できる範囲ではないし、設備も整っておりませんので。（この先も整える予定はない）今のところ、無理です。」
って答えをもらってしまうと、もう心が折れて、気の弱い人だと、寝込んでしまうくらいのショック受けて、絶望してしまって、もうカフカの小説しか読めないようになってしまったりするんです。

つまりは、上からは、「障害者」の方は、自分らとは違う人種、どこまでも我慢強く、どこまでも下の人なんでしょう。
だから、ここまでは、障害者の人にやってあげるけど、ここからは我慢してくださいって言えるんじゃないかと思うんです。

そりゃわかりますよ。そうとしか言えないってことも。
限られた予算で、限られた人員で、限られた能力で、その中で、障害者の人が、生活できるようにしてあげたいって、善意を持っていることは。
私も重々わかってます。

障害者の人の暮らしを守ってあげたい。
障害者の人に喜んでもらいたい。
障害者の人にも輝いた生活をさせてあげたい。
（してあげるの論理、善意だけど差別的だと気が付かない）

ってこともね。
でもね、分かりやすく言うとね。
「私は、１６０cmあって大柄な女性なので、Lサイズの服をください。」って申請したとして。
「女性としては大柄なので、なかなかLサイズはご用意しにくいかも。あ、やはり、すみません。今ご用意できるのは、Mサイズだけかと。
あれ、すみません。Mサイズは需要が多くて、在庫が切れてしまって。
すみませんが、Sサイズなら、今ご用意できますので、こちらで、我慢してください。
これが、今のせいいっぱいできることでございます。」

って言われて、Sサイズもらって帰ってどうする？
どうする？って竹ノ内豊にいわれて、タクシーに乗って帰ったとしてもね。
体に合わないきつきつぱちぱちの服を、不快感丸出しで、我慢して着るか。

「着られないよ」
というから、そばで見ていた、お母さん（私）がお直ししようかとはさみとミシンを出してきて、サイズなおすか。
ええい、お直しはめんどくさいな。
と言って、ユザワヤに行って生地を買ってきて、ミシンガチャガチャして、「ほら見てみ。
ピッタリサイズの不快感ゼロの、服ができたよ。」と言って障害のある子に着せたら、大喜び。
それを見た、他の障害者の人も
「私たちにも作って、私たちサイズの服を作って。」とやってきたとして。

こういうやり方で、親主導の施設や活動グループはできてきたんです。
親である私は、できる限りの工夫をし、創造し、形あるもの、形ないものを作って、限りない検索と限りなく深い学習、要するに研究をして、まあ、その道のプロになりました。

でもね、言いたいのは、我慢は嫌です。
自分達らしい生活がしたいです。
お上の考える「障害者らしい障害者」ではない、自分らしい障害者。
お仕着せの服でなくて、自分のサイズに合った服を着たいのです。

今は、障害者の側がすごく、社会に対して配慮していると思うんです。
大きなものに対して。
まあ、合わせてあげている。（あげているの理論、嫌みを含む）

これからは、上から目線の矢印の向きと、下から目線の矢印の向きを変えちゃいましょう。
今の現実に合わせてね。
天と地がひっくり返ればいいんです。

合理的というのは、道理にかなっているという意味なんだと思うので、
合理的に慮るということは、道理にかなった配慮ということだと思うんですが、その道理とは、障害者の道理なはずなのですが、そう思えなくて。
すっきりしない曖昧な言い方で、私は腑に落ちないのです。
納得できないのです。