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リアル八月の鯨:多磨墓地姉妹

「八月の鯨」
リンゼイ・アンダーソン監督 1988年
   (姉妹の着ている洋服がかわいい。)

八月の鯨は、高齢の姉妹が寄り添いながら暮らす映画だ。
公開が、もう35年も前になる。
その頃はあまり、高齢者問題も話題にならず、高齢者を扱った映画も少なかった。
今はもう、高齢者問題は喫緊の問題だから、映画も「ロストケア」とか「PLAN75」とかリアルすぎる映画ばかりだ。
なので、今年75歳になる私は、もはやそろそろ、と危機感を感じざるをえない。
もしかしたら、老害といわれて、暗殺集団により葬り去られるかもしれないではないか。

というのは、嘘だと思いたいが、ありえない話ではない。
高齢者関連の仕事が長かった私には、あながち、嘘とは言い切れない不安がある。

「八月の鯨」に出演しているのは、リリアン・ギッシュ(95歳)、ベティ・デイヴィス(80歳)の大スターである。
実際には年上のリリアン・ギッシュが妹役を演じていた。
私が、臨床心理大学院で、社会病理の「高齢者」をテーマでゲスト講師をしていたときは、参考図書と共に参考映画というのを、学生に紹介していた。
「八月の鯨」は真っ先に入れていた。

八月になると、別荘の近くの岬にやって来る鯨を見に行くのを恒例行事としている姉妹と、その周りの人々が織りなす日々の話だ。
ほかに、参考映画としては、「ドライビング・Missデイジー」とか、「フライド・グリーン・トマト」「ストレイト・ストーリー」なども紹介していた。

ドライビング・Missデイジー
ブルース・ベレスフォード監督 1989年

しかし、時代が変化すると、
「なに?八月の鯨?そんなの知らない。」などという学生も出てくるから、新しい映画も追加しないといけない。
それで、リストが長くなってしまう。
いやあ、私なにやってんだろ。映画の講義じゃないんだけど。

フライド・グリーン・トマト
ジョン・アヴネット監督 1992年

そんな、私も75歳。
隣に住む姉は80歳。
助け合って暮らしている。
とうとう、リアル八月の鯨になった私。

住んでいるところが、多磨霊園の近くだから、名付けて
「多磨墓地姉妹」
先行きがもう、多磨墓地とはっきりしているから安心このうえない。

ストレイト・ストーリー
デヴィッド・リンチ監督 1999年

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