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地下鉄に乗って バックバンドの時代

その昔、私がまだ若かったころ、バックバンドが大躍進した時代があった。
あちこちで、ロックやフォークのコンサートが開かれ、そのステージには、バックバンドの姿があった。
今から思うと、当時のバックバンドのめんめんは、大変贅沢だった。

岡林信康のバックバンドといえば、「はっぴいえんど」。
鈴木茂のギターは、ユーミンの声の方が合うのにななんて思うけど、岡林信康のプロテストソングのバックは「はっぴいえんど」。
井上陽水のバックバンドは「安全地帯」。
なんとなく、水と油のようだけど。
そして、吉田拓郎のバックバンドは「猫」

「猫」のヴォーカルの田口清は、自転車で転倒し頭を打って、42歳で死亡している。
当時、ヘルメットは普及していなかった。

主役のソロの前座に、バックバンドが数曲演奏するというような、パターンのコンサートで、次第にバックバンド自体に人気が出ていった。
私は「はっぴいえんど推し」半世紀だが、実は、「猫」も好きだった。
「猫」の曲で好きなのは、一番が
「地下鉄に乗って」だ。
好きなところは、イントロのメロディと、丸ノ内線にあたかも自分が乗っているような気持になる歌詞である。

「でなけりゃ、次の駅に止まったら、走り出す前のあのわずかな静けさに話そうか。
今、赤坂見附を過ぎたあたり、新宿まではまだまだだね。」とか、
地下鉄の喧騒で、声が聞き取れないのに一生懸命話している感じ。
車輪の悲鳴が聞こえて、
「今、四谷を過ぎたばかり」というところで、四谷で地上に出たわずかな瞬間の静けさと開放感が語られる。

たぶん、丸ノ内線の新宿行きか、荻窪行きに乗っているんだろう。

そして一人で歌うのは難しいところが、
「もっと、大きな声で~」というところに
「地下鉄に乗って」とか「丸の内線に乗って」という歌詞が重なるところだ。
もちろん「猫」は二人で歌っているわけだが、ここを私は何としてでも、一人で歌いたいので、
「もっと、大きな声で」をものすごく走って歌って、
「地下鉄に乗って」と大急ぎで歌うというバカげたことを、もう50年もやっている。

どうということはない。
私は、ただ、丸ノ内線が好きなのだ。赤い地下鉄が好きなのだ。
ある時、世界の旅番組をみていたら、南米のどこかの都市で、丸ノ内線のおさがりが走っているのを見た。

再利用といえば、聞こえはいいが、それならば、日本でまだ使えたんじゃないのかなと、ちょっと複雑な気持ちになった。

ちなみに、私は「猫」の「雪」も好きだ。
50年ほど前のラジオでは、雪が降るとこの曲がよくかかった。
「各駅停車」も好きな曲である。

好きな曲がたくさんあるということは、なんだか、心が温かくなるってことだ。



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