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この論文を誤解すると

この論文を誤解すると、SNSやゲームなど子どものインターネットが毒で、過食症になるという恐怖を撒き散らすようなニュースになりそうです。

ここではスクリーンタイムの話とK SADSの結果の関連を言っているだけです。構造化面接の結果=診断ではありません。そこを間違えてはいけません。

私たちも研究の一環で構造化面接をしますが、はるかに臨床域よりも高く陽性を出します。それはスクリーニングという観点からは正しい結果と言えます。それをすぐに診断と直結するような誤解をしないように気をつけるべきでしょう。

この論文はそういう点で興味深いです。子供はゲームしたりSNSしたりすると夜更かしするだろうし、そういう時は食行動異常が目立つものです。皆さんも夜更かしすると夜食食べたくなりませんか?

眠くなると食行動はコントロール不良になるものです。その観点が抜けているように思います。

論文を正しく読むことは難しく、センセーショナルに理解することは簡単かもしれません。論文を投稿する側としてもよりインパクトのある内容をと思うから、題名もやや盛り気味かもしれませんね。

こちらもサイエンス・リテラシーを高めておかないといけませんね。


目的

9~10歳の子どもを対象とした全国代表的なコホートにおいて、現代のスクリーンタイムの様式と1年後の過食症との関連を前向きに検討する。

方法

前向きコホートデータを分析した(N = 11,025)。ロジスティック回帰分析を行い,ベースラインの子どもが報告したスクリーンタイム(曝露)と,親が報告した1年後のKiddie Schedule for Affective Disorders and Schizophrenia(KSADS-5,結果)に基づくむちゃ食い障害との関連を,人種/民族,性別,世帯収入,親の教育,BMIパーセンタイル,部位,ベースラインのむちゃ食い障害で調整した。

結果

1日の総スクリーン使用時間が1時間増えるごとに、1年後の過食症のオッズが1.11上昇した(95%CI 1.05-1.18)。特に、SNS(aOR 1.62、95%CI 1.18-2.22)、メール(aOR 1.40、95%CI 1.08-1.82)、テレビ番組/映画の視聴/ストリーミング(aOR 1.39、95%CI 1.14-1.69)の各追加時間は、過食症と有意に関連していた。

考察

臨床家は、子どもや青年のスクリーンタイムの使用とむちゃ食いを評価し、両親に過剰なスクリーンタイムに関連する潜在的なリスクについて助言する必要がある。