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歩く速さとCOVID-19の重症化が関連?

COVID関連の情報が次々とアップデートされていきます。おそらく多くの科学者が新たなデータを出すことで論文の業績を大幅に増やすチャンスと考えているのでしょう。

 イギリスから、歩く速さとCOVID-19の重症化リスクに関連があるとする論文が出てきました。

中高年者対象の大規模前向きコホート研究
2020年3月16日~8月24日
登録データ41万2,596人
(年齢中央値68歳、普通体重33.7%、過体重42.9%、肥満23.9%)。
2020年8月24日までに、重症患者1,001人と、死亡した患者336人

体重カテゴリーでCOVID-19重症化オッズ比(OR)

過体重群:1.26(95%信頼区間1.07~1.48)
肥満群:OR1.49(同1.25~1.79)

COVID-19による死亡率

過体重群:OR1.19(同0.88~1.61)
肥満群:OR1.82(同1.33~2.49)

研究登録時の自己申告による歩行速度で3群に分けCOVID-19重症化オッズ比

最も歩行速度の速い群〔4マイル/時(約6.4km/時)以上〕を基準に

歩行速度が中等度の群〔3~4マイル/時(約4.8~6.4km/時)〕ORは1.13(同0.98~1.31)

歩行速度が最も遅い群〔3マイル/時(約4.8km/時)未満〕はOR1.88(同1.53~2.31)

COVID-19による死亡率

歩行速度が中等度の群:OR1.44(同1.10~1.90)
歩行速度が最も遅い群:OR1.83(同1.26~2.65)

体重カテゴリーと歩行速度カテゴリーとで合計9群に分けて比較すると体重よりも歩行速度の方がCOVID-19重症化や死亡率と強く関連していた。

普通体重で歩行速度が遅い群のCOVID-19重症化のORは2.42(同1.53~3.84)、死亡率のORは3.75(同1.61~8.70)
歩行速度の遅い群は、どの体重カテゴリーでも、重症化と死亡率のORが有意に高かった。

これは、歩行速度が速い人は一般的に心肺機能が良く、ウイルスを含むストレスに対する耐性が強い可能性があると仮説を考えており、BMIなどだけでなく、自己申告による歩行速度などの簡便な体力関連指標はその重症リスクのある人への予防に有効であるかもしれません。