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佐賀・有田漂着

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EBUNE佐賀・有田漂着に関連した記事をまとめています。(出典が記載されている記事は、月刊美術批評WEBマガジン「レビューとレポート」掲載記事)
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“まれびと”との遭遇 西九州と家船 梅木誠太郎

 ぱんっ!! モルタルの床に叩きつけられた何かの破片が足元に飛んできた。ついさっきまで照明のセッティングをしていた赤いスカートの女性が、こっちを向いたかと思うと、手に持った丸い物体を投げつけてきたのだ。なんなのなんなのなんなの!? ”犯人”がこちらに歩み寄ってくる。えっえっえっ…。勝手に高まる緊張感。”犯人”は横を通り過ぎ、観客の一番奥で見守っていたこの空間のオーナーの前まで行く。「この後の食事についてなんですけど」。重苦しい空気に包まれた会場に、この上なく”日常”なテンショ

『EBUNE 佐賀・有田漂着』レポート  じょいとも

有田は九州北西部に位置し、北に国見山、南に金山岳をはじめとする山々に挟まれた谷間にある町です。有田焼で知られており、そのはじまりは16世紀、豊臣秀吉の時代に遡ります。当時、陶磁器は輸入品に頼っていました。それは国内では生産に適した土が見つからなかったからです。そこで朝鮮出兵のおり、領主・鍋島直茂が陶工たちを朝鮮から肥前に連れ帰ります。望んで日本にきたわけではなく、拉致されたのでしょう。朝鮮人陶工たちは肥前の山々を調査し、陶磁器に適した土を探しました。そこで陶工の一人であった李