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水嫌いの集合

疎水性分子同士は水中で集合する現象を疎水効果といいます。髪の表面とシリコーンの吸着や、毛髪内部へのパーマネントウェーブの薬剤浸透には疎水効果が関係していると考えられます。

散らかっていることが安定

 水の上に油が浮かんでいる場合、水を避けるように互いにくっつきますが、これは疎水効果によるものです。
 極性溶媒中で疎水性分子は集合します。水中での非極性分子の周囲には、水分子が互いにつくるかご状構造があり、これは液体全体の水の構造より規則正しくなっています。

 水中で非極性分子が集まると、規則正しいかご状構造をつくる水分子の数が減って、自由に動き回れる水分子の数が多くなり、エントロピーが大きく安定的な状態が生じます。この安定的な状態を作ろうとする効果が毛髪の表面にシリコンなどをくっつけているのです。
 この結合は共有結合に比べると弱い結合ですが、多くの非共有結合があるために強い結合となり分子の立体構造を安定化させます。

 このように疎水結合はすべての分子が結合に参加することで強い結びつくわけではなく、自由に動ける分子があるために安定した状態を維持する結合です。

参考文献

H. Lodish [ほか著] ; 榎森康文 [ほか] 訳”分子細胞生物学”2019.東京化学同人

片山明. "水の構造と疎水性結合." 繊維と工業 3.5 (1970): 293-299.

https://j-tradition.com/jp/interaction.html

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