見出し画像

◎レイラ・ハサウェイ5年ぶりのライヴで観客を魅了~シャープやフラット、音符が彼女の周囲を舞う (Part 1)

◎レイラ・ハサウェイ5年ぶりのライヴで観客を魅了~シャープやフラット、音符が彼女の周囲を舞う
 
【Lalah Spellbound The Audience In The House : First in Five Years】
 
5年。
 
前回の来日が2018年4月。その後コロナ禍が2020年4月頃から大きくなり、3年ほど実質的なライヴがなかったので、レイラの来日もおよそ5年ぶりとなった。
 
バンドも前回までのキーボードが変わった以外同じ。長く一緒にやっているだけあって息もぴったりだ。
 
彼女のライヴ・ステージの持っていき方、進行は基本的には同じで、もはや「安定のレイラ・ショー」。自分の声をここまで「楽器化」できるかというほど、さまざまな技を見せる。
 
そして僕がもっとも魅了されているのがその声だ。レイラの声そのものにやられる。結局僕はいつもこういうライヴを見て思うのだが、シンガーの声と歌唱に一番耳が行く。自分の好きなタイプの声のシンガーが上手に好きな曲を歌ってくれれば、それだけで満足だ。
 
レイラの声は、僕の中ではグラディス・ナイトの声と並んで、大好きな声の横綱に位置する。特にあの低音から徐々にあげていくところなどの歌唱は、まさにルーサー・ヴァンドロスを思わせる。
 
さて、セットリストは基本は同じだが、微妙なところで曲を入れ替えている。僕は今回は火曜と水曜のファーストの2回を見たが、水曜では火曜に歌わなかったグレゴリー・ポーターとのデュエットで知られる「インサニティ」をバックのデニス・クラークと見事なデュエットを聞かせた。これは痺れた。デニスのことをレイラはケイロー・キングと紹介していたが、彼はその名で自身の曲を出していた。そして、ダニーの「ラヴ・ラヴ・ラヴ」にはこちらがひれ伏す。
 
デニスもジェイソンもどちらも本当に、レイラと同じくらい歌がうまくいい声をしている。声フェチと思われるレイラのお眼鏡にかなっているだけのことはある。
 
彼女のセットリストはカヴァー曲が多いが、レイラもまた、それらのカヴァーを完璧に自分のものにしてしまう「解釈力」がすばらしい。人の曲を「強奪」するこの様は、アリーサやグラディス、ロバータ・フラック、パティー・オースティン、チャカ・カーンらと比べても引けをとらない。
 
(下記セットリストには、オリジナル・アーティストあるいは、それをヒットさせたシンガーなどの名前を書いてあるので、興味ある方はオリジナルと比べてみるのもおもしろい)
 
そして彼女のライヴの魅力のひとつが、自由度の高さだ。ヴォーカルも各楽器奏者も、十分なソロのスペースを与えられ、みなそれぞれに毎回違う顔を見せる。
 
今回は最後のアンコールをアカペラで謳いあげた。ダニーの歌でも知られる「ア・ソング・フォー・ユー」だった。ステージには彼女がしかいない。そしてマイク一本でアカペラで歌う。会場の全員が彼女を凝視する。声と歌唱だけでこれだけ心の琴線に触れさせるシンガーはそうそういない。
 
別の日は彼女の作品「リーン・オン・ミー」を歌ったらしいので、彼女にアカペラで歌えるレパートリーは何曲くらいあるの? と聞いたら、「お~~、いくらでも歌えるわよ。自分の曲でもなんでも」との答え。
 
横からステージを見ていると、レイラの背中、あるいはまわりにシャープやフラットの音符がキラキラと回りながら、舞っているようだ。Born to sing (歌うために生まれた)とは、レイラのためにある言葉のようだ。
 
本当に、いつまでもその声に身を委ねていたくなる、そんなシンガーのライヴだ。


 
~~~~
 
▢次回『Soul To Soul』でインタヴュー、新曲
紹介
 
レイラには、かなり久しぶりに短い時間でしたがインタヴューをしました。その模様は、2023年3月23日(木)放送の『AOR/Soul To Soul #076 』でご紹介します。また、そこで彼女の新曲「Love & Nothing Less」をワールドプレミアでご紹介します。これは日本人アーティスト、ケイコ松井のアルバム中に収められる新曲で、レイラがフィーチャーされているものです。アルバム発売にさきがけて、いちはやくご紹介します。
 
レイラに初めてインタヴューしたのは、1990年11月22日のことでした。なんと、今から33年も前のこと。もちろん彼女の初来日時。当時はヴァージン・ジャパンがあったころ。以来来日時には最低一回ライヴに足を運んでいるので、ライヴ・レポートも膨大な数になっています。(下記参照)お時間ある方は、ぜひごらんください。 

(レイラの項、インタヴューなどに続く)
 


~~~~
 
▢Setlist セットリスト Lalah Hathaway @ Bluenote Tokyo
3/14/2023 (Tuesday) First Set @Bluenote Tokyo
 
Setlist [ ] denotes original artist/s. or artists made a song hit-- –
 
Show started 18:02
01. Intro / Baby Don’t Cry
02. Strong Woman
03. Change Ya Life
04. Bass Solo to Summertime [George Gershwin]
05. Medley : a) Love Love Love [Donny Hathaway / J.R. Bailey] – b) Angel [Anita Baker] – c) Caught Up In The Rapture [Anita Baker] – d) Love’s Holiday [Earth Wind & Fire]
06. When Your Life Was Low [Lalah & Joe Sample]
07. Forever, For Always, For Love [Luther Vandross]
08. It’s Somethin’ [Brenda Russell] ~ including a riff of Can We Talk (Jason) [Tevin Campbell] ~ Happy birthday to Tavarius Johnson (drummer)
Enc. (A Capella) A Song For You [Donny Hathaway, Leon Russell, Carpenters]
Show ended 19:13
 
メンバー
 
Lalah Hathaway(vo)レイラ・ハサウェイ(ヴォーカル)
Eric Smith(b)エリック・スミス(ベース)
Arreiun Tucker (key)アーリウン‣タッカー(キーボード)
Tavarius Johnson(ds)タヴァリウス・ジョンソン(ドラムス)
Dennis Clark (Kalo King) (back vo)デニス・クラーク(ケイロー・キング)(バックヴォーカル)
Jason Morales (back vo) ジェイソン・モラレス (バックヴォーカル)
 
今回はキーボードがアーリウンに代わった以外は前回と同じ。
 
~~~
 
▢セットリスト
March 15, 2023 1st set @ Bluenote Tokyo
 
Setlist [ ] denotes original artist/s. –
 
Show started 18:02
01. Intro / Baby Don’t Cry
02. Strong Woman
03. Change Ya Life
04. When Your Life Was Low [Lalah & Joe Sample]
05. Little Girl / Breath
06. Medley : a) Love Love Love [Donny Hathaway / J.R. Bailey] – b) Angel [Anita Baker] – c) Caught Up In The Rapture [Anita Baker] – d) Love’s Holiday [Earth Wind & Fire] – e) Insanity (duet with Dennis) [Gregory Porter]
07. Forever, For Always, For Love [Luther Vandross] (+Jason)
08. It’s Somethin’ [Brenda Russell] ~ including a riff of Can We Talk (Jason) [Tevin Campbell] ~
Enc. (A Capella) A Song For You [Donny Hathaway, Leon Russell, Carpenters]
Show ended 19:12
 
 
■CD
 
最新作 Honestly
Lalah Hathaway
8th Floor Production (2017-11-03)

 
Lalah Hathaway Live! [日本語解説付/ ボーナストラック収録]
Lalah Hathaway
AGATE (2015-11-08)

 
Song Lives on
Joe Sample Lalah Hathaway
Pra Records (2008-04-29)

 
 
■レイラ過去記事
 
レイラ・ハサウェイ~最新作『オネストリー』を携えて~父の背中は追わずとも
2018年04月15日(日)

 
レイラ・ハサウェイ~古いR&Bとソウルを:地に足の着いたアーティスト
2016年12月12日(月)

 
東京ジャズ~ハービー・ハンコック&レイラ・ハザウェイ
2016年09月07日(水)

 
レイラ・ハサウェイ・ライヴ(パート1)~「レイラ・ピリオド」の美しい姿
2015年12月25日(金)

 
レイラ・ハサウェイ(パート2)あれこれ~レイラの夢
2015年12月27日(日)

 
レイラ・ハサウェイ~ミュージシャンの背中に浮かび上がる音符
2012年01月10日(火)

 
レイラ・ハサウェイ~楽器に溶け込む「魅惑のロウ・ヴォイス」
2012年01月07日(土)

 
■ レイラ・ハサウェイ・ソウル・サーチン・ブログ全過去記事一覧
(1999年から2015年まで)
 
レイラの魅力自体は、最初からまったく変わらない。それについての多くの記事。相当ありますが、これらを順に読んでいくと、かなりレイラのことがわかります。
(Soul Searchin’ Archives On Lalah Hathaway, Since 1999 to now)
 
1999年6月8日
ジョー・サンプル&レイラ・ハザウエイ・ライヴ評。『魔術師の指』
 

 
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/sample19990608.html
 
アルバム『ソング・リヴズ・オン』発売後のライヴ。
2003/02/15 (Sat)
Barefoot Diva:Lalah Hathaway「裸足のディーヴァ:レイラ・ハザウェイ」
 

2003年来日時ライヴ。
 
 
2003年4月30日

レイラのウェッブから。Knocking on Father's Door (レイラが父ダニーの作品をどう思っているかなどについて)
 
2003年8月19日

レイラ、マーカス、テイク6らのライヴ評。レイラ、「サムデイ・ウィル・ビー・トゥゲザー」を歌う
 
2004/05/11 (Tue)
As If Two Hathaways As One: Lalah Hathaway & Frank McComb Live

 
レイラ&フランク・マッコムのライヴ評
February 04, 2006
Lalah Hathaway: Some Songs Were Too Long

2006年来日ライヴ評。
 
2008年05月14日(水)
レイラ・ハザウェイ~ダニーに抱きしめられて

 
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080514.html
2008年来日ライヴ評。
 
2010年07月12日(月)
レイラ・ハサウェイ~スペースのある自由度あふれるライヴ

 
2010年07月14日(水)
ジャム・セッション・スペシャル~レイラ・ハザウェイ、アンジェラ・バンドらと

 
~~~~
 
■セットリスト レイラ・ハサウェイ @ブルーノート東京、2018年4月9日(月)セカンド
Setlist : Lalah Hathaway 2018/04/09
(*) denotes songs from new album
[ ] denotes original artist and/or artist who made hit
 
Show started 21:05
01. Change Ya Life (*)
02. That Was Then (From Self Portrait – 2008)
03. Y.O.Y. (*)
04. Summertime [George Gershwin, Billie Holiday, Sam Cooke]
05. One Day I’ll Fly Away [Joe Sample, Randy Crawford]
06. I Love You More Than You’ll Ever Know [Donny Hathaway]
07. A Song For You [Donny Hathaway, Leon Russell]
08. You Were Meant For Me [Donny Hathaway]
09. Angel ~ Caught Up In The Rapture ~ A riff of No One In The World [Anita Baker]
10. Love’s Holiday [Earth Wind & Fire]
11. Forever, For Always, For Love [Luther Vandross]
12. It’s Something (+TOKU on vocal and flugel horn) [Brenda Russell]
Enc. Honesty (*)
Enc. I Can’t Wait (*)
Show ended 22:25
 
メンバー
 
Lalah Hathaway(vo)レイラ・ハサウェイ(ヴォーカル)
Dennis Clark(back vo)デニス・クラーク(バックヴォーカル)
Eric Smith(b)エリック・スミス(ベース)
Lynette Williams(key)リネット・ウィリアムズ(キーボード)
Tavarius Johnson(ds)タヴァリウス・ジョンソン(ドラムス)
DJ Spark(dj) DJ スパーク(dj)
 
ENT>MUSIC>LIVE>Hathaway, Lalah
 
 
■セットリスト レイラ・ハサウェイ @ブルーノート東京、2018年4月15日(日)セカンド
Setlist : Lalah Hathaway 2018/04/15
(*) denotes songs from new album
[ ] denotes original artist and/or artist who made hit
 
Show started 20:06
From DJ Spark Play to Lalah on stage
01. Change Ya Life (*)
02. That Was Then (From Self Portrait – 2008)
03. Y.O.Y. (*)
04. Summertime [George Gershwin, Billie Holiday, Sam Cooke]
05. When Your Life Was Low [Joe Sample]
06. I Love You More Than You’ll Ever Know [Donny Hathaway]
07. A Song For You [Donny Hathaway, Leon Russell]
08. You Were Meant For Me [Donny Hathaway]
09. Angel ~
Caught Up In The Rapture ~ A riff of No One In The World~ a riff of You’re The Best Thing Yet [Anita Baker]
10. Love’s Holiday [Earth Wind & Fire]
11. Forever, For Always, For Love [Luther Vandross]
12. It’s Something (+TOKU on vocal and flugel horn、Zeebra on rap) [Brenda Russell]
Enc. Honesty (*)
Enc. I Can’t Wait (*)
Show ended 21:35
 
メンバー
 
Lalah Hathaway(vo)レイラ・ハサウェイ(ヴォーカル)
Dennis Clark(back vo)デニス・クラーク(バックヴォーカル)
Eric Smith(b)エリック・スミス(ベース)
Lynette Williams(key)リネット・ウィリアムズ(キーボード)
Tavarius Johnson(ds)タヴァリウス・ジョンソン(ドラムス)
DJ Spark(dj) DJ スパーク(dj)
 
ENT>MUSIC>LIVE>Hathaway, Lalah
 
■セットリストレイラ・ハサウェイ@ブルーノート東京、2016年12月10日(土)
Show started 17:00
01. Let Go
02. Little Ghetto Boy [Donny Hathaway]
03. Angel – Rapture – No One In The World [Anita Baker]
04. Love’s Holiday [Earth Wind & Fire] – a riff of “Yearnin’ For Your Love” [Gap Band]
05. A riff of “Thank You” [Sly & Family Stone] - Summertime [George Gershwin]
06. Forever, For Always, For Love [Luther Vandross]
07. (It’s) Somethin’ [Brenda Russell]
Enc. Lean On Me
Show ended 18:04
 
Members
Lalah Hathaway(vo) レイラ・ハサウェイ(ヴォーカル)
Jason Morales(vo) ジェイソン・モラレス(ヴォーカル) Dennis Clark(vo) デニス・クラーク(ヴォーカル) Lynette Williams(key) リネット・ウィリアムズ(キーボード)
Isaiah Sharkey(g) アイゼイア・シャーキー(ギター) Eric Smith(b) エリック・スミス(ベース)Charles Streeter(ds) チャールズ・ストリーター(ドラムス)
 
 
 
ENT>LIVE>Hathaway, Lalah
 
 

ここから先は

0字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?