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『ウォー・オン・ディスコ』ドキュメンタリー登場~1979年7月のディスコ・サックス事件にフォーカス

『ウォー・オン・ディスコ』ドキュメンタリー登場~1979年7月のディスコ・サックス事件にフォーカス
 
【War On Disco Focus On Disco Sucks Movement】
 
ディスコ。
 
アメリカの公共放送PBSが2023年10月30日に1970年代からのディスコとその影響、さらに1979年7月にシカゴで起こった「ディスコ・デモリション」「ディスコ・サックス」のイヴェントにフォーカスしたドキュメンタリー『The War On Disco』 (約52分)を放送した。
 
予告編(約30秒)

 
紹介記事

 
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さっそく全編見た。なかなかおもしろい考察でひじょうに興味深かった。
 
いきなり、冒頭で1979年7月12日シカゴのホワイトソックスのホーム球場コミスキー・パークで行われた「ディスコ・サックス」「ディスコ・デモリション運動」イヴェントのシーンから映し出される。
 
この事件については何度か本ブログなどでも触れているが改めて簡単に説明しよう。
 
まずその状況の前段。ディスコが1974年頃から大きな現象的人気となり、全米のラジオ業界もそのフォーマットがディスコ一色になり、それまでのロックDJたちが職を失い不満を抱えていた。そんなDJのひとり、シカゴのロックステーションでDJをしていたスティーヴ・ダールが音頭を取り、みんなの嫌いなディスコ・レコードを持ち寄ってコミスキー・パークでそれらのレコードを燃やそう(爆発させる)とラジオで声をかけて始まったもの。
 
7月12日はもともとダブルヘッダーが組まれており、その第一試合と第二試合の間のブレイクで簡単に行われる、ちょっとしたハーフタイム的なイヴェントとして企画されたが、あまりに多くの人たちがディスコ・レコードを持ち込んで大事になってしまい、第二試合が中止になってしまったほど。
 
この日はホワイトソックスも低迷していたためせいぜい5千人程度の観客しか集まっていなかったが、このディスコ・イヴェントに第一試合の途中から無理やり乱入。5万人以上が集まり、さらに2万人以上が外で入ろうとしていたという。


レコードを集めた箱をカウントダウンでダイナマイトで爆破。これを機に、レコードにあちこちで火をつけるなど混乱。コントロール不能になり、イヴェントは大きな社会問題になった。
 
ディスコが当初はアフリカン・アメリカン(黒人)の音楽がほとんどだったものが、すぐにゲイたちのものとなり、さらに一般化した。そして、ディスコはラジオ界も席巻した。そのきっかけになった「ソウル・マコッサ」や「アパッチ」などの曲についても触れる。またニューヨークの「スタジオ54」などについても触れる。
 
そして、このコミスキー・パークでの当日の模様をかなり詳細にここでは描く。
 
これがシカゴで起こったことがシカゴという地域の特殊性にあると語られる。この地には、さまざまな人種が集まり、人種偏見、人種差別、ゲイ差別などが深く根付いているとも説明される。
 
この「事件」を引き起こすきっかけとなったDJスティーヴ・ダールは、一時期「ゲイ差別者」などと呼ばれたらしいが、後年のインタヴューでそれをきっぱり否定している。
 
「ディスコ・サックス」(ディスコはクソ)、「ディスコ・デモリション」(ディスコ解体)の後もディスコは死ななかったと分析、それは「ハウス・ミュージック」という形で
復活したと描く。
 
移民、ユダヤ人、ブラック、ウーマンズリヴ、ゲイ・ライツ、公民権運動…。そうしたものがシカゴのこの「ディスコ・サックス」運動・事件に凝縮されたのではないか、というトーンで語られる。そして、そうした問題は今日まで続いている、とまとめる。
 
このドキュメンタリーで一番膝を打ったのが、このディスコ・デモリション事件がシカゴで起こったことが、のちにこの地から「ディスコ」の復活ということで「ハウス・ミュージック」が生まれたという分析だ。さすがに、いままでそういう視点で考えたことはなかった。
 
シカゴのような多人種・差別の街は、たとえばニューヨークなどでもあてはまる。ただ、シカゴにはこのスティーヴ・ダールがいた。このDJがイヴェントを立ち上げたためにこうした広がりが生まれたのだろう。それがシカゴ・ハウスに繋がるとはなかなかおもしろい分析だと思った。
 
ディスコについてのドキュメンタリーの中で、ここにフォーカスしたものはおもしろかった。
 
ドキュメンタリーには、ヴィレッジ・ピープルのフィリップ・ローズ、リンダ・クリフォードなども証言者として登場する。
 
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■日本から米PBSを見る方法
 
いわゆるプロキシーサーヴァ―(無料のものもあるが、有料のもののほうが安心)を経由してアメリカ国内にいるように見せかけ、PBSに繋いでみる。この番組自体は無料で視聴可。プロキシーサーヴァ―は、仮想ネットワークと呼ばれるものでこの場合(日本にある)机上のパソコンをアメリカにいるように見せかける仕組み。各社そのサーヴィスをだしているが、僕はExpressVPN社の物を使用。月10ドル程度。
 

 
フル動画

 
プロキシー・サーヴァーで繋いだあとクリックすると視聴可
 

 

 
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