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遺伝子バリアントの解釈について ー近年の状況ー

上はAIが書いてくれた「DNAの解釈」という絵です。

遺伝学的検査は何らかの遺伝性疾患が疑われた際に、臨床上のスコアリングをもとに、確定診断を行う目的で実施される。多くの場合はその対象疾患の原因となりうる遺伝子を集めたパネルについて調べることになる。そのパネルに含まれる遺伝子にバリアントを認めない場合に、エキソーム解析などの網羅的な手法を取る。いずれの方法であるにせよ、シークエンス解析によって遺伝子配列が決定されたあと、見つかった変異がその遺伝性疾患の原因となりうるかどうかを判断する必要がある。参考となる配列と比べて、異なる配列(=バリアント)を同定し、そのバリアントが発症に影響を及ぼしうるかどうかを解釈する。遺伝学的検査の検査件数が増加していくに連れ、同定された変異の解釈の重要性が増している。

方法として、これまでClinVarなどデータベースに登録されているバリアントは異なるバリアント分類基準 が使用されていた。これには研究機関や検査機関固有の ACMG/AMP 基準、あるいはその他独自の分類方法が含まれていた。これによりバリアントの解釈には不均一性が生じ、バリアント分類の不一致が生じていた。

米国遺伝医学学会/分子病理学協会 (ACMG/AMP) が発表したガイドラインは多くの疾患のバリアント分類に対して、一貫したアプローチ達成を目標として作成されたものである。ただし、ガイドラインはあらゆるのメンデル遺伝性疾患に一般化できることを目的としているため、解釈する側の間で分類や適用に差異が生じる可能性を否定できない、固有の曖昧さが含まれている。実際、各機関が適用基準として同じ ACMG/AMP ガイドラインを引用しているにもかかわらず、ClinVarに登録されたバリアントには矛盾する分類が認められている。標準化された変異分類に必要な明確性を提供するには、これらのガイドラインに対する遺伝子特異的な修正が不可欠となる。

2013 年に、遺伝子と変異体の臨床的関連性を定義することを目的とした集中型の共同リソースとして、クリニカル ゲノム リソース (ClinGen) コンソーシアムが設立された。彼らの主な取り組みの中には、ACMG/AMP バリアント分類基準のコンセンサス仕様を提供するための疾患/遺伝子専門家委員会の委員会がある。ClinGenのVariant Curation Expert Panel (VCEP) がさまざまな遺伝子固有の推奨事項を提供する任務を負っている。遺伝性疾患のそれぞれの遺伝子について、コンセンサス ACMG/AMP 仕様について説明されている。

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