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ドラマの中の筆跡⑦利用された女『源氏物語』六条御息所
中谷美紀が紫式部を演じた『源氏物語』、これは書き手側のドラマの物語。
源氏物語は藤原道長が娘「彰子」が帝の子供を産むように、
彰子のところでの帝の滞在時間を延ばすために「道具」として
書かれた物語だということになっている。
なんだか「千夜一夜語」を思い出すよね?
あれも王さまを面白がらせるために「物語」を語ることで
「殺されずに済む」っていう恐ろしい伏線があったじゃない。
ともかく道長に命令されて式部は物語を書くのだけれど、
当時の最高級の「紙」を賜るの・・・
紙好きの私としては「美しい料紙」を
ドーンと頂くときのシーンが良かったなぁ。
さて、今回はこの映画では物語の中で
「嫉妬のあまり生霊になって夕顔を殺す」役回りをさせられた六条御息所、
プライドの高い、高貴な方であるだけにお気の毒でたまらないわ。
六条御息所はたしかに光源氏に執着していたけれど、
彼女は心底「恋心」をコントロールしようとしていた。
そこが現れているのが「写経」シーン。
田中麗奈が演じる六条御息所は、日々「写経」をしては、持てあます妄執を
振り払おうと努力していたの。そういう彼女の努力を水の泡にするのは
「光源氏」が義理だけで訪ねて行ったりするからなの。
光源氏にも利用され、式部の物語では「現在進行形」で「生霊になってまで
恋敵を殺す女」にされちゃう。酷い話よね!
式部の道長に脅されて物語を書いているわけだけど、何もそこまで
六条御息所を恐ろしい女に仕立て上げることは無かったんじゃないの?
と思ったりもするけど、そういうワルがでてくるからこそ
ドラマが面白くなる。
六条御息所の手=書いた文字をみて!本当に品格のある「写経」の文字。
美しい文字がキチンと整列している。
彼女の育ち、高貴さも、すべて字に出ているの。
縦線に比べて横線が強いけれど、これは行動力があっても「自分軸」を
強く持てない「悲しい字」。
右ハライも左ハライもバランスが取れていて「華やかで社交的」でもあるし
「情緒もあるけれど、過去への未練はほどほど」なの。
未来にも過去にもバランスしていて、性格的には当時の基準でも最高に
素晴らしい女性だったはず。
それなのに式部の物語の中に取り込まれ、嫉妬のあまりライバルを
殺そうとして生霊にまでなる女にされちゃう。
式部、ひいては道長に利用され、面目をなくされた挙句に伊勢に
いくことを決断するの。
この物語には安倍晴明も出てきて「物語から出現」した「生霊」を
退治しようとする。
この時代の人は見えないものも。ちゃんと見えていたんだろうね!
六条、なんてかわいそうな方なの!
ここで源氏物語の冒頭「いつの御代とは」の式部の字をみると、
仮名書きだけど「い」が開きすぎ、
「つ」はエネルギータンクが大きすぎ・・・彼女の字からは
「大きな竜巻のような巨大なエネルギー流れに巻き込まれ翻弄される才能」
が見て取れる。
秘めた恋心と才能があり過ぎて式部も利用された女なのだ。
自ら舞台から降りた勇気と決断はお見事だった。
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