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『夏目友人帳』に見る言霊としての名前⑤ミクリ激怒の理由

『夏目友人帳』に見る言霊としての名前⑤ミクリ激怒の理由 

夏目友人帳の5話「心色の切符」は親友の物語。 

あらすじを引用 

レイコの遺品の中から電車の切符を見つけた夏目。その切符に書かれた駅にやって来ると、そこにはレイコを待ち続けているという毛むくじゃらの妖がいた。夏目は、レイコとここで会う約束をしているというその妖に名前を返し、流れ込んで来た思念から、レイコがその妖「さんと」を助けてあげようとしていたことを知る。レイコのやり残したことをやるため、「さんと」と共に約束の場所「霧が沼」へと歩き出す。

「さんと」はぼんやりした毛むくじゃらの妖怪。ボーっとしているユーモラスなムーミンパパが毛むくじゃらになったような姿だ。

「さんと」の話に要領を得ない夏目貴志は先に「名前」を返すと同時にレイコの思念を読み、「さんと」と「みくり」が喧嘩したことを知る。

「さんと」はミクリと仲直りしたいのだが、「みくり」が激怒していて自分の手に負えないからとレイコを助っ人に頼んでいたのだ。

しかし、

レイコが現れないまま「さんと」は待ち続け、何十年も経ってしまった。

レイコのやり残したことをしようと夏目貴志は「さんと」とニャンコ先生と共に約束の地「霧が沼」に向かう。

しかし、「みくり」は何十年も待たされた怒りや憎しみで「怨霊」となって巨大化していた。

ニャンコ先生と夏目は怨念で巨大化したパワーの持ち主になった「みくり」に反撃され危ないところだったが、「さんと」は身を挺して『夏目友人帳』を守る。

その間にニャンコ先生が本来のパワーを発揮して「みくり」を攻撃し、ニャンコ先生に破れた「みくり」は沼に沈んでしまった。

その後、

「さんと」の呼びかけに応じて沼底から浮かび上がってきた時は「さんと」の親友だったときのコンパクトサイズのナマズだった。

ふたりは喧嘩を繰り広げるのだが、「みくり」激怒の理由は「人間に名前を差し出しやがって、おまえにはプライドがないのか!」というものだった。

 「みくり」は「さんと」がレイコに負けて名前を差し出したことを激怒していた。

それは

「命を差し出す」と同等の事だからだと、このシーンでもよくわかる。 

ふたりは何十年の時の隔たりを無かったことのように仲良く山に帰っていく。

「いっしょに山に帰ろう、みくり」という「さんと」に

「そんなこと言われなくたってそうするに決まっている」と答える「みくり」 

この

「さんと」と「みくり」を八百万の神と結び付けてみよう。 

「さんと」は幼稚園児のようなキャラなので、平仮名で表されているが、 

さんと=山王神とかかわる名前だと思う。

住処が山だからだ。 

すると、親友の「みくり」はどんな神様と結びつくのか?

 みくり=「水分神」みくまりしん 

「水を配る神」であり、分水嶺を司る神。本源は吉野山と考えられている。 

山の神の「さんと」と水分嶺の神の「みくり」ふたりの住処はやっぱり山の嶺なのだ。


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