『増補改訂 中世東国武士団の研究』刊行しました

こんにちは、戎光祥出版の丸山です。

新刊の野口実著『増補改訂 中世東国武士団』を刊行しましたので、紹介させていただきます。

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著者は野口実先生

本書の著者である野口実先生は、1951年に千葉県でお生まれになり、 青山学院大学大学院文学研究科史学専攻博士課程を修了された後、 鹿児島経済大学教授、京都女子大学宗教・文化研究所教授などを歴任され、現在は京都女子大学の名誉教授となられております。

中世武士・武士団研究の第一人者として知られ、これまで多数の御著書をものされており、弊社からも単著として『坂東武士団と鎌倉』『坂東武士団の成立と発展』、編著として『小山氏の成立と発展』『承久の乱の構造と展開』を刊行されています。

『増補改訂 中世東国武士団の研究』の特徴

本書のもととなった『中世東国武士団の研究』は、もともと髙科書店から1994年に刊行され、中世武士研究の基本文献として名著の評価が高かったものの、髙科書店が解散してしまったことにともない、長らく絶版となってしまっていました。
このまま埋もれさせてしまうのはあまりにもったいないと思い、野口先生にご相談しに京都にうかがったのが今年の1月。
野口先生にはその場でご快諾いただき、テキストデータ化→数度の校正を経て、このたび無事に刊行の運びとなりました。

初版は1994年に刊行されたものながら、古記録(日記)・古文書・系図等を博捜・分析して立ち上げられた精緻な議論なので、現在でもその輝きはまったく失われておりませんが、その後の研究で明らかになった点や見解を修正された箇所については、新たに補註を加えることで、現在の研究状況にも対応しています。
ですので、元版を持っているという方にもぜひお手に取っていただきたいなと思っています。

『増補改訂 中世東国武士団の研究』の内容

内容は、「第一部 兵の時代」「第二部 鎌倉への途」「第三部 関東御家人として」「第四部 西国ヘのひろがり」の4部立てになっています。

「第一部 兵の時代」では、平貞盛の子孫の展開や平維茂と平維良との関係、奥羽の諸氏の動向や藤原秀郷流佐藤氏の成立の問題など、主として院政期における東国武士の実態に迫っています。

「第二部 鎌倉への途」では、主として鎌倉幕府成立直前の東国武士が置かれていた状況に焦点を当て、武士団の実像や平氏による支配との関係を明らかにするとともに、伊豆に配流された源頼朝の周辺にいた人物の分析、挙兵したものの石橋山合戦で敗れた後、頼朝が房総半島をどのように経略したのかなど、鎌倉幕府成立にいたる諸事項を論じています。

「第三部 関東御家人として」では、鎌倉幕府の成立とともに御家人に組み込まれた東国武士団の実態を、上総千葉氏、三浦氏、椎名氏、下総臼井氏の分析から明らかにしています。また、上総・下総平氏が『吾妻鏡』内でどのように表記されていたのかを分析することで、各氏族の特徴・位置づけに迫っています。

「第四部 西国ヘのひろがり」では、鎮西(九州)に遷った平氏系氏族、惟宗(島津)氏、千葉氏などの動向を分析することで、西遷した武士団の特徴・実態を明らかにするとともに、その社会的影響を列島規模で位置づけています。

ちなみに第二部・第三部は、2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とも関わる内容を多く含んでいますので、ドラマをより楽しむ上でお読みいただくのも有益かと思います。

購入方法は?

全国のリアル書店・ネット書店様のほか、弊社のHPから通販することも可能です。
皆さまのご注文をお待ちしております!

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