３．大阪府道路室道路環境課

事務所の室内で職員が電話で話している。

「少しメモを取るのでちょっと待ってください、はい、良いですよ住所をお願いします。はい、はい、えーっと確認しますね本町通りの…」

そういって、メモ用紙がいくつも溜まってきていた。そろそろ表計算ソフトにでも入力して一覧表にでもまとめなければいけないな、と思い始めている。

何故だかわからないが、今月になって道路の舗装が無くなって土の地面が露出しているという連絡が多く寄せられるようになっていた。

あまりにも多いので補修工事の手が足りない。資材の高騰の影響もあって予算確保もままならない。

ただ、不思議なことにそれらの道路陥没事故は、原因がわからないのだ。水道管でもなく地盤沈下でも無い。原因がわからないだけに、防ぎようもない。

電話を切って、メモを見ながら、壁に貼ってある地図を見ながら位置を確かめる。そして、地図上に印を付けて、先ほどから我慢していたトイレに行こうと歩きながらふと気になって遠目に地図を見返した。

「あれ？」

今まで気にも留めなかったが、その道路陥没事故が放射線状に広がっているように見えた。遠目に見るとそれがよくわかる。

「なんだこれ？」

その放射線状に広がった中心にあるのは大阪城公園だった。