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春夏秋冬代行者 夏の舞 下 (電撃文庫) 著 暁佳奈

【当たり前の日常を守る者達に祝福という名の花束を】


双子神を襲った悲劇は始まりに過ぎなかった。戦と恋が交差する、運命の夏。



「暗狼事件を解決しにきました」

瑠璃と、あやめ。二人の夏の代行者は、荒唐無稽な「天罰説」に端を発した現人神への非難の声を払拭し、自分たちに処された婚約破棄という決定を覆すべく、黄昏の射手・巫覡輝矢との接触を果たす。だが、「暗狼事件」を巡る闇は、想像以上に深く――

現体制を維持しようとする保守勢力【老獪亀】。対して、四季の里の革新と改革を訴える【一匹兎角】。様々な思惑が蠢く中、この動乱に巻き込まれた者たちが一つの場所に集結していく。

葉桜瑠璃の婚約者、君影雷鳥。

葉桜あやめの婚約者、老鶯連理。

そして、季節の代行者たち。

再会は叶うのか? 竜宮岳での死闘の先、夏姉妹の恋の行方は……?

暗狼事件を解決すべく、竜宮に集う夏の代行者と黄昏の射手。老獪亀と一匹兎角、伏竜童子に巫覡の一族達との権謀術数を乗り切る物語。


季節の代行者と遜色のない働きをする巫の射手。

朝と夜を司る彼らはその務めに身を捧げる。

強くなったのも、己の為じゃない。

愛しの人に全てを捧げる献身。

これ以上、己の大切な物を傷付けぬ為に。

そんな事情は露知らず。

現人神に価値がなくなればすぐに挿げ替えを行う里の大人達。

春夏秋冬、朝と夜。

季節を正常に巡らす為に。
己の本当に愛を誓った相手と結ばれる為なら、どんな非情な現実も受け入れよう。
変える為に足掻いた末にようやく辿り着いた唯一無二のハッピーエンド。
運命は過酷な使命を瑠璃達に強いてくるが、自分の手で、未来を切り拓こうと足掻く者に、光を差してくれる。
真っ暗な行き先だった未来に運命の再会が、本当の恋を教えてくれた。
戦う為に恋をするのでは無い。
恋をする為に戦うのだ。
世界を円滑に回す事。
季節を滞りなく、巡らす事。

それを影で支える者達に愛を詰め込んだ花束で祝福を捧げたい。




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