歩行中に中殿筋の筋活動を高める方法

歩行中に中殿筋の筋活動を高める方法

歩行時には中殿筋に筋力低下がある場合、荷重応答期や立脚中期でトレンデンブルグ徴候が認められる場合がある。これは片脚立位をさせた場合,反対側の骨盤が沈下する現象である.立脚期の脚長が短い場合,反対側の骨盤沈下が観察されることがあり,トレンデンブルグ歩行と決める前に,脚長の評価を行う必要がある.また脚長の評価に際しては,まず視診と触診で左右の長さの関係を明らかにしてから,メジャーを用いた測定を行うようにする.

デュシャンヌ歩行は立脚時に体幹を患側にかたむけて歩行するもの.中殿筋筋力低下や股関節痛がある場合に生じる.


歩行中に中殿筋の筋活動を高める方法

中殿筋は初期接地から立脚終期にかけて求心性収縮である.踵接地を意識することで中殿筋の筋活動を高めることができる.歩行時に中殿筋の筋活動を促通したいときは,徒手的な圧迫や弾性包帯による圧迫が有効である.徒手的な圧迫では中殿筋と大殿筋に手掌を当て、荷重応答期に股関節が過剰に動いている方向があれば、それを抑制するように徒手的な操作を加える。加えて中殿筋を圧迫する。前後で動画を撮影し、前額面上の動きを評価したり、患者の主観的な感覚を聴くことで、圧迫の効果や中殿筋が歩容に及ぼしている影響を推測することができる。ただし、徒手的な圧迫も弾性包帯も中殿筋単独への介入とはならない点は留意する必要があると思います。


以下は中殿筋の基礎的な内容です。

中殿筋 断面積:40cm2,筋張力:16kgm

起始:腸骨翼前殿筋線と後殿筋線の間,腸骨稜外唇

停止:大転子尖端外側面 大転子尖端の前から後ろにつく.

神経支配:上殿神経L4-S1

血管支配:上殿動脈,外側大腿回旋動脈

作用:股関節外転・屈曲内旋(前部線維)・伸展外旋(後部線維)・伸展

筋線維分類:typeⅠ 遅筋線維の割合が多く,姿勢保持に作用している.

変形性股関節症の患者においてはtypeⅡ速筋優位の筋委縮が生じている.

触診技術の要点:大転子を前後半分にして,中点を境に前部線維と後部線維を別々に触診すると良い.


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