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第二回18切符旅 前半戦

2024年9月10日までの青春18切符。
残りを消化すべくこの週末でまた積読本旅に出た。
前回経路は墓参りを兼ねた1泊2日。
大阪→奈良→名古屋→長浜→敦賀(1泊)→舞鶴→福知山→篠山口→大阪

出来るだけ長時間でありながら、かつ尻や腰に負担をかけない程度の距離を移動し、その間に読書に勤しむのが目的。
経路はもちろんのこと、乗り換えの煩雑さや電車内の混雑具合など、奔放なようでいて結構計画性がもとめられる。
そして持って行く積読本。これが一番大事。
ついついあれもこれもこの機会に、と思うがあまりに欲張っても結局読めずにただ荷物が増えるだけになってしまう。

というわけで今回(2泊3日)のルートはこちら。
大阪→和歌山→串本(1泊)→新宮→津(1泊)→奈良→大阪
最終日を除き、それぞれ約5、6時間超の乗車時間なので本を読む時間はバッチリ! 計画は完璧だ!!
……という盛大な前フリとともに第2回積読本旅の幕は開けた。

<初日>
大阪から和歌山へ向けて出発。
天候はすこぶる良好、良好すぎる。朝早い出発なのだが既に暑い。ほとんど電車に乗っているだけとは言え、待ち時間もあるし、現地での移動もあるのでできればそこそこで打ち止めになって欲しい。

そんな思いも裏腹にぐんぐん気温の上昇と共に和歌山着。
人、多い。
嘘やん、なんでみんなわざわざ和歌山なんて田舎に行くねん(盛大に失礼
座られへんし……。

予想以上の混雑っぷりに早々、出鼻をくじかれる。
前回は名古屋に行くので最初から覚悟していたし、それが想定よりも空いていたので呑気に構えていたのだが、今回は逆だった。
思えば大阪→(奈良)→名古屋は新幹線があり、18切符でなければ速い方を選ぶのが普通。加えて近鉄列車もある。特急ひのとり、カッコいいよね。

それが大阪→和歌山→串本(本州最南端)となると車のほかは私鉄もなく、JRのみ。そりゃ当然混むわいな。
くろしお、という特急列車も走っているが現地民は在来線を使用するし、加えて18切符の利用客が思ったより多かったのである。
改札を出るときにその事実に気づいたのだが、期限も迫ってるし自分のように週末で使ってしまおうと皆思ったのだろう。そりゃ当然(以下略


京都から新宮までを走る くろしお
パンダの目の部分がライトなので、夜踏切などで見かけると怖い

微妙な混雑具合で和歌山〜(御坊)〜紀伊田辺はほとんど座れず仕舞い。そこそこ重い荷物のこともあって読書はあまり進まなかった。
更に紀伊田辺→串本では座れたものの、前日準備不足がたたり始終ウトウト……。選んだ本のせいもあるかもしれないが、内容が頭に入ってこず。
窓の外の海が美しいことだけが幸いであった。

そんなこんなで、串本駅到着。

串本駅からすぐの『萬口』にて昼食、マグロ茶漬け。
昼時は列も出来る人気店だが、回転が早いのですぐ入れる。


1杯目は漬けカツオ丼で食べる
2杯目
うまい!うまい!!


今回の旅もメインは積読本解消であり観光はなしのつもりだったが、まったくなし、というのもちょっと勿体ない。
ということで、駅から徒歩15分くらいの臨済宗・無量寺へ。


江戸中期に建て直されたお寺だが、こちらで有名なのは画家・円山応挙と長沢芦雪による襖絵である。特に虎図・龍図。
去年12月にも展覧会を見に行ったが、ちょうどこの襖絵は展示期間が終了しており見れずじまい。串本にあるからいつか行けばいっか〜と思っていたのが今回唐突に叶った。
境内にある応挙芦雪館(入館料1,300円)ではガラス展示していないので人数制限、マスク着用義務あり。要注意。

駅で降りた人は結構いたのに、無量寺ではたった一人だった。
みんなドコ行ったんだろう……。エルトゥールル号の碑でも見に行ったのか、それとも正真正銘最南端・潮岬か。
ともかく、あの迫力ある唯一無二の筆遣いを堪能。
静かな蔵の中で龍虎と正面にらめっこ。得難い経験であった。


整然とした屋根瓦が見事だった


境内に咲いていたハイビスカス
さすが(?)本州最南端

本州最南端、串本は街と海の距離が近い。
そしてとにかく暑い。
風もあまりなく、磯の香りのねっとりした空気が重い。
ギラギラ太陽光線を受けながら、椎名誠『哀愁の町に霧が降るのだ』を思い出す。確か執筆に苦しむ筆者が串本のホテルにカンヅメする話であった。

一端の文筆家気分を味わおうと思ったのに、色気滲み出る仲居さんのいる熱海(だったか?)の旅館じゃなくて給仕の婆さんしかいない寂れた串本のホテルじゃな〜、メシを食うのと海で泳ぐくらいしかすることがないわ〜。
……なんて嘆く内容だったかと思う。
本を書けよ(笑

18切符旅は、未読の本だけじゃなく、記憶の中の本を読む旅でもあるかもしれない。

奥にある大島は、橋でつながっている
雲一つない晴天に釣人も数えるほどしかいない


夜は近くにある大衆浴場『サンゴの湯』へ。
大人一人500円。露天風呂などはなく湯船もひとつきりの簡素な温泉だが、駅から徒歩圏内のお手軽でありがたい。

積読本解消はあまり進まなかったし暑さにやられもしたけれど、日が暮れて海からの風が心地よい湯上がりに、終わりよければの気持ち。
初日・完!!


湯上がりにうっすら三日月



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