音楽のような料理を

23歳から40歳(今年)までずっと料理を続けてきた。
駆け出しの頃はただただ技術を磨くためにがむしゃらに。
35歳くらいからは料理長という立場になり、技術を使った見せ方だったり
緩急の付け方だったりの演出を。

最近は和食から離れてみたり、働く場所をレストランから高齢者施設にしてみたりと、色々試している。
その理由は、働き方がずっとしっくりきてないから。
環境を変えることが一番だと思い、働く場所を変えてみたが
なかなかうまくいかない。

ただ、これだけ職場を変えながらも、自分自身の料理で変わらないものが一つだけある。

「丁寧な料理」

である。

知識と技術を掛け合わせて、美味しい料理を作る。
難しいのは食材の選定ができないこと。冷凍の魚しか使えなかったり、地方では手に入らない食材があったりする。
そこで「どうせ冷凍の魚だから」とか「ここではこの食材が入らないから」と諦めてしまえばそれまでだ。

扱ったことのない食材を、どう手間をかければ美味しくなるのか?それななぜか?を考えることが楽しく、結果それが「丁寧な料理」に繋がる。

今まで、良い食材しか使ってこなかったので「この工程になんの意味があるのか?」と感じていたが、冷凍の魚を扱った時に「ここまで変わるのか」と実感したこともある。
とにかく基本に忠実に、その上で新しい技術を上乗せしていくことが大事だ。

と、ここまでは現在までの料理に対する思い。何をしたいかよりはとにかく料理に向き合ってきた。
そしてここからはこれからの目標。
モヤモヤしていた気持ちが少しスッキリした思いを。

2024年、運よく目標が見つかった。
音楽的役割のある料理を提供したい。
音楽には絶対的な力がある。人を励ましたり、寄り添ったり、元気づけたり。去年Half Time Oldというバンドのライブに行った。
このバンドの特徴は(僕の勝手な解釈だが)音楽を愛していて、音楽に感謝して、音楽の可能性を信じて、発信しているところだ。
共感できる部分が多く、ぜひライブで聴きたいと思い足を運んだ。

ライブに行き、単純だがこうなりたいと思った。人を励まし元気づけて、時に泣かせる。
こんなことをしたいと。でも自分は料理人だ。
料理でこれができればいいなと。
ライブがしたいという意味ではなくて、料理で人を励ます、寄り添う、元気づける、これ。

どうやるのかは不明だが、とりあえず宣言しておこう。

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