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人は忘れていくいきもの

「人は悲しいくらい、忘れていくいきもの」と歌ったのはミスターチルドレンですが。ほんとうにそうだなと思います。

早期退職の相談でキャリアコンサルタントから、まずは自分の人生の棚卸をしてみましょう、と言われました。これまで自分が何をやってきたのか一度全部を洗い出してみて、自分にできる事を考えてみようという事です。

どんな仕事をやってきたのか、ひとつひとつ思い出しながらメモに書きだしてみました。思いのほかいろんな事をやってきたな、あの人やこの人と一緒に仕事をしたな。とか、忘れていたことをアルバムを見返すように思い出していきました。辛い事も楽しい事も相当あったはずなのに、やっぱいろいろな事を悲しいくらいに忘れていました。

そんなぼんやりとした記憶の糸を手繰りながら、若かったあの頃にも思いを馳せてみました。

新卒で入った会社では、がむしゃらに働きました。今のように働き方改革なんて言葉もなく、逆にまだ「24時間働けますか?」のイメージが残っていた時代だと思います。

働いても働いても、とにかく仕事が終わらない。当時は個人PCもなく、やり取りも電話やFAXだったし、効率も相当悪かったんだと思います。1本の電話を待って夜中まで、なんてこともよくありました。

仕事は楽しかった。だからがんがん働きました。それは熱病のような時間でした。追われる仕事で明日の事、来週の事を必死にやるのが精いっぱい。でもそんな中でもこだわりはあって、ばかみたいに一生懸命でした。いわゆるワーカホリックだったんだと思います。30代半ばで会社を変わっても、忙しい毎日は続きました。

仕事以外のできない事や、何かうまくいかない事があるとすべて「仕事」を言い訳にしていました。当時おつきあいしていた方には、ずいぶん悲しい思いをさせたと思います。とても自分勝手だった。

あまりにも忙しくていろいろな事が麻痺していたような気がします。将来の事なんて考えている余裕もない毎日は、ずいぶん長く続きました。

ここ何年か、昔のようなめちゃくちゃな忙しさはなくなりました。コロナ禍で在宅勤務も増え、前とは違った時間を過ごすようになりました。

「コロナが収束したら世の中は変わるのかな」他に誰もいない自宅のテーブルにパソコンを置いて仕事をしていると、ふと仕事や自分自身について、漠然と先の事を考える事も多くなります。ほったらかしにしておいた見えない未来が見えてきて、なんとなくやばい気がしてきていました。

そんな矢先の早期退職の話。どこかで蓋をしていた自分の年齢のリアリティにはじめて対峙しました。もう、そんなに時間がないのか。それは衝撃的な現実でした。

考えても考えても、会社を辞めて何をするか、具体的なイメージがどうしても見えない。「いつでも辞めてやる」とか言っていたわりに、実はサラリーマンという受け身の生活に依存していたのかもしれません。考えて考えて、結局辞めない事にしたけれど、これからどうやって生きていくのかは考え続けていくしかないんだと覚悟しました。

何かを見つけるための新しい時間を始めようと思いました。すべてを0に仕切りなおすのではなく、自分は何をしたかったのか、何が好きだったのか、忘れていた昔を思い出し、もう一度、今の自分にぶつけてみようと思います。

仕事のやり方も昔とは随分変わり、それにあわせて仲間とのコミュニケーションも変わりました。自分がこれまでやってきた方法や価値観は、もしかしたらもういろいろと時代遅れなのかもしれない。けれど、それでも自分にできる事はきっとあるはずだ。と強く思う毎日です。


コロナまた増えてきていますね。世の中がなかなか落ち着かない今、あなたは毎日どんなことを考えていますか。そして今、あなたにはどんな未来の自分のイメージがありますか。そんなことをいろんな人と話してみたいです。





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