ウィリアム・ギブスン、パッド・キャディガン『エイリアン3』の読書メモ(またの名をひとり読書会) 34-46章と雑感(完結)

34章

・途中、人間の死体パーツとエイリアンの体液で固められた芸術作品とも言えるバリケードで進路を塞がれる。
・民間人をなだめながら発見した車に乗せて、安全な道を考えながら脱出艇のあるベイに向かう。
・ビショップは自分の体のパーツがあとどれくらいでもつのか計算しながら、目的地を目指す。はしごを降った先の融合炉室へ。

ビショップって映画『エイリアン2』でもそうだが、こういう別働隊だな。

35章

・ロゼッティがハリディーについにキレる。ヒックスは通路に爆弾を仕掛け逃げる。爆風。爆発後に落ち着きを取り戻し、進む一行。プラント?でcabbage patch?

36章

・ビショップが融合炉の制御室に到着。何度か起動に失敗して動揺するが、うまくいく。

37章

・ラウンジについたヒックスたち。食糧を発見し小休止。栄養補給。体勢を立て直して出発。地図とは違うつくりに改造されたゾーン(保育所?)にはいる。ハリデイのメンタルは安定したようにも見えたが、また悪化。

38章

・ビショップがエレベーターを開けて梯子を登る。脚が限界を迎え壊れる。白い血液も流れ落ちる。

39章

・ダクト(トンネル?)を上っているとエイリアンが襲ってくる。ハリデイが襲われそうになったところをスペンスが気を引く。スペンスが今度は狙われて、逃げながら火炎放射器を手にして一撃を与える。海兵隊員マルティネスもやられる。
・助けたと思ったハリデイは死んでしまった。絶望するスペンス。だが悔やんでいる暇もなくはしごをのぼる。

40章

・ダクトを通っていく。最初にヒックスが通る。その後を皆が続いく。ロゼッティが最後のはずだが民間人を押しやり前にでる。エイリアンが襲ってきて、タツミを引っ張り込もうとする。なんとか引き戻すが足に酸を浴びる。ロゼッティが銃を勝手に手にして、エイリアンと残り3人の技術者を一緒に撃つ。ヒックスに殴り倒される。タツミは重症。

41章

・脱出艇があるベイにたどり着く。他の住人たちと落ち合う約束だが、誰もいない。救命艇も使われた痕跡がない。ロゼッティは暗証番号で部屋を開けて中に進む。エイリアンの群れが待っている。
・引き続きビショップ。

42章

・エイリアンの集団に襲われる。ロゼッティが小部屋を開けてそこに逃げ込む。エイリアンは入れないが出ていくこともできない。コントロールルームで拳銃自殺しているトレント博士を死体を見つける。モニターでアンカーポイントの様子が分かり絶望したと思われる。
・避難用扉を発見。開けるとエアロックで中には5着の機密服が。6人のメンバー。誰を残すのか? 「ロゼッティだ」という声があった瞬間、タツミの足や胸からエイリアンが飛び出る。エアロックに逃げ込む。扉を閉めようとしたら既に中に1匹入り込んでいる。扉を開けでロゼッティがボーリングのようにヘルメットを当てて、エイリアンを外に追い出す。
・機密服を着込むとロゼッティの体内からエイリアンが出で食い殺す。エイリアンはスペンスに取り付くがタリサが引き剥がす。タリサとエイリアンは宇宙空間に流れていきヒックスは銃を撃つ。エイリアンはタリサの頭をちぎる。ヒックス、スペンス、ジャクソンの3人が残る。融合炉の爆発がせまる。

43章

・船外活動。アンカーポイントの外殻から救命艇のベイに進む。慣れない宇宙服で戸惑う。ようやくたどり着くも遠隔操作のソフトウェアアップデートができておらず操作できず。別の場所に移動。なんとか作業を始めるところにエイリアンが外殻をつたって何匹もやってくる。ヒックスは銃撃。ピンチにビショップが現れる。

44章

・管制塔(塔のような場所?)にいきエイリアンと戦う。クイーンをビショップが撃ち倒す。ジャクソンがやられてしまう。絶対絶命のピンチにUPPの宇宙船が助けに来る。

外殻でヒックスたちが何を目指して移動していたのか、いまいち不明であった。エイリアンたちからただ逃れるためなのか、それとも塔に登ってなにかのチャンスを狙っていたのか。とにかくエイリアンはわしゃわしゃ大量にやった。

45章

・ラッキーの運転する船の中。ビショップが船の不具合を直す。ヒックスは自分たちが感染してないからビショップに聞くが、キャリアではないと答える。感染してたらとっくにエイリアンが生まれている時間が過ぎている。

46章

・UPPの船の中。ビショップがヒックスと話をする。ヒックスはエイリアンに近づかなければいいんじゃないかと楽観的だが、ビショップは「人類にとっての本当の敵、今までに遭遇したことのない天敵、エイリアンとこれからも戦わなければならないだろう。どちらかが殲滅するまで」と言う。ラッキーは核兵器の放射線障害で長くは持たない」とも。
・カンザスシティに着いたという夢(?)で目覚める。

まとめの雑感

・映画とはぜんぜん話が違う。共通点を探すことがむしろむずかい。どうしてこれがああなった、というのはまあ深く考えても意味がないか。
・ブロムカンプが『エイリアン2』の続編を作りたかった、というが、もしこの小説を映画にするのならば監督はブロムカンプがいいな。
・『エイリアン2』のはっきりとした続編。《エイリアン》シリーズはシリーズものとはいえ1〜4のつながりは、エイリアンとリプリー、会社とビショップ(アンドロイド)ぐらいで、ストーリー的なつながりは、実はあまり強くない。この小説『エイリアン3』はかなり映画『エイリアン2』にストーリー的に続いている。
・続いているとはいえ、リプリーは意識を回復しない。ニュートは元気だけど、早々にアンカーポイントを外れる。主人公はヒックス、ビショップ、アンカーポイントの面々(スペンス、ジャクソン、ロゼッティなど)だろう。ヒックスとビショップは、とにかく強い。
・ところどころ映画『エイリアン2』のシーンがフラッシュバックされる。無能なゴーマン中尉がロゼッティと重ねられる。
・エイリアンの生態系。「誰か」が作った生物兵器。目がないけれど攻撃的・暴力的。異常なまでの進化・適応スピード。エッグを使わずとも人に感染して、体内で幼虫を育てることができる。今回はとにかく感染型エイリアンというのが新基軸だし、「誰がエイリアンになるのか?」という緊張感や、エイリアンが出てきた時の衝撃は大きい。
・ユタニからやってきた会社の人間は『エイリアン2』のバーク同様に、クズ人間。会社ではクズ人間でないと出世できないのか。
・アンカーポイントは惑星ではなく人工衛星なのだろう。ということは、えいが『エイリアン4』に近いかも。エイリアンの進化(環境適応)や、生物兵器の実験をするあたりも『4』っぽい。
・UPPの存在は面白いが、もう少し関わり方はあってもいいのでは?
・後半3分の1、ヒックスたちが脱出ベイを目指して移動するあたりは、やや間延びしていなくもない。ちょこちょこ事件は起こるのだが、結局は「脱出劇」である。

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