「ピエロのポスト」

わたしは今、小学校の頃の卒業アルバムを見ている。あの頃は口裂け女やら人面犬やら怖い話が流行った影響もあって、今覚えている事が現実にあった事なのか、それとも創り話なのかハッキリしない。
覚えているのはーー。
朝、学校に着いて親友だった子と裏門にあったピエロのポストの話をした事。そのあとのホームルームで、うちの担任の先生が病気か何かで休んだ代わりに、隣のクラスの大声で話す先生が来て出欠を確認した事。クラスでいじめられていた男の子が欠席だった事。その子はピエロのポストの前で目撃されたのを最後に行方不明になった事。親友はその男の子の事が好きで、悪口を言うクラスメイトに注意をした翌日からイジメられるようになった事。そして、親友も後を追うようにピエロのポストの前で目撃されてから行方不明になった事…。
今、手にしているアルバムに載っている集合写真の先生は私の知っている担任の先生ではないし名前も違う気がする。行方不明になった男の子と親友の写真と名前は載っていない。
そして何より不気味なのは、先日開かれた同窓会で同級生にこの事を話しても、誰も覚えていなかったこと。最初からそんな先生もいなければ、男の子も女の子もいないといった具合で、そのうえ周囲の記憶からすると私はずっと教室の隅で静かに絵を描いていたらしいのだ。どうにも話が噛み合わず、だからこうしてアルバムを確認したというわけだ。
ただ確かなことは、その同窓会でピエロのポストは私が夏休みの工作で学校に持って来たという証言があった事と、わたしの頭の中にも作ったという記憶が一致している事。そして、三通の手紙がアルバムの一番後ろに挟まっている事…。
気持ちが悪くて読める気がしない。
#小説 #ショートショート

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