「少年のポエム」

先生がブチギレている。帰りのホームルームは長引きそうだ。
議題は「誰がサトウ君のメガネを割ったのか?」というもので、結論から言うとA君のメガネを割ったのはミチコ先生だ。しかしミチコ先生はそれに納得がいかず、僕らに採決を求めているのが現状だ。
というのも、もともとサトウ君のメガネを取り上げてふざけていたのはコバヤシ君で、ミチコ先生がパイプ椅子に座るタイミングでメガネを尻の下に放り込んだのだ。残念ながらサトウ君のメガネは、話題のCMの物でもなければ、形状記憶しない安物で、先生の尻にプレスされた拍子にマッシュルームのような形をした小さなネジが姿を消した。
サトウ君はドラゴンボールの悪人が付けてるようなメガネを装着して自分の席に座り、瞬きもせずにスーッと涙を流している。
その姿を見た周囲の女子は笑いをこらえている。
男子は手拍子に合わせてミチコ先生に「べーんしょう!べーんしょう!(弁償)」と声を合わせ、ミチコ先生は赤い顔して怒っている。
教室の一番後ろにいるヤンキー女子グループはそれを見てニヤニヤ笑い、同じく、いつも変態漫画を描いているコヤマ君もニヤニヤ笑っていたが、彼の事だからきっと「弁償」が「小便」に聞こえたのだろう。
僕はどこにも属さずに、ただただ九割のバカ共を下に見ている。そんな僕の心にふとポエムが浮かんだ。
「夕焼け空はこんなにキレイなのに、どうして同じ空気を吸いたくないんだろう」
#小説 #ショートショート

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