北風と太陽

「よしっ!撮れてるぞ!」
「ベストポジションですね」
男たちが熱視線送る先にはモニターがあり、そこにはワイシャツのボタンを外し、スカートをめくりながら風を仰ぐ二人の女が映っていた。
「ふぅー。暑い暑い」
「ほんとあのおっさん達何考えてるんだろ」
「クールビズの設定温度28℃とかサウナじゃないんだからさ」
「エレベーターとかマジ最悪なんだけど」
「だよね。しかも根拠ないらしいよ」
「地球温暖化とか分かるけどさぁ、コンクリートに囲まれた真夏のビル街で28℃って理解できないわ」
男達は、ワイシャツをヒラヒラさせ、艶かしく足を組み替える女達の一挙手一投足を舐めるように見続けた。
「根拠が無いわけないだろう。これが理由だよ。全くけしからん身体をしおってからに…」
環境大臣は太陽のように満面の笑みを浮かべた。

✳︎キーワードが「政治家」のショートショートで不採用だったもの。
政治について語られる際に「対話と圧力」を「北風と太陽」で比喩することがある。着想はそこにあって、ストーリーをスクロールさせるシステムをクールビズにした。そのうえで「どうしてクールビズが必要なのか?」をオチに持ってきたという構成。
シンプルを心がけて途中でオチが見えてしまったので、最後におっさんが笑顔を浮かべることで強調させた。
こんな分かりやすい話をどうして不採用にできるのか、私に対する世間の風当たりは強い( ⁼̴̀꒳⁼̴́ )ドヤッ✧
#ショートショート #小説

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