コロナ村八分問題の根幹にある「鬼は外」文化

皆さんお盆は、田舎に帰る予定でしょうか？
Go to キャンペーンも始まったりして、移動に関しては感染対策取りつつも経済まわそうという流れにはなってきていますよね。

私はお盆は仕事があるので元々帰省しないつもりですが、もし仕事があったとしても、今年は帰らなかったと思います。
90歳になるおばあちゃんもいますし、もし私がウイルスを持っていたら、いや持っていなくても、家やご近所さんに迷惑になるんじゃないかと思っています。

村八分に対して各自治体も対策に乗り出しているよう

岩手のコロナ第1号の方が、家や職場に嫌がらせを受けているなど、地方でのコロナ陽性者への風あたりは、想像を超えて強いようです。
自殺をなさった方、引っ越しを余儀なくされたご家族など、真偽は不明ですがSNSでも度々話題になっています。事実ならこれは大変な事態です。

感染者らへの誹謗中傷を受け、浜松市が呼び掛け：中日新聞しずおかWeb

東京にいると「コロナはどんな注意してても、いつ誰がなってもおかしくない」という覚悟でいつつも、マスクやうがい手洗い等の基本的な対策は徹底されている方が多いかと思います。

田舎ではどうでしょうか。先日岩手県へ行ったときに驚いたのが、街の半数以上の方がマスクをしていなかったこと。しかしコロナを持ち込ませないという気運はどこよりも高かったのも事実だと思います。

なんだかアンバランスですよね。なぜ地方では村八分が起こるのでしょうか。東京と地方の違いはなんなのでしょうか。Podcastで話した内容では残る疑問もあって、更に考えてみました。

地方で村八分が起きる理由

【理由１】圧倒的な高齢化

東京に比べ高齢化が進んでいる地方では、感染した際のリスクの大きさを考えて、ピリピリしてしまう部分はあるかと思います。

【理由２】テレビの影響

元々田舎出身として感じるのは、テレビの影響力の大きさ。
みんなめちゃくちゃテレビが好きですし、テレビの情報を疑うことなく信じている人が多いという肌感です。
メディアが「芸能人〇〇が感染」「〇〇は夜の街に繰り出していた」「退院した〇〇が謝罪」などと伝えれば「コロナ感染には何らかの落ち度がある」と感じる人が多いかもしれません。報道の仕方も考える必要があるかもしれませんが、情報の受けとる側のリテラシーもある程度必要だと思っています。

【理由３】人の目が近い

地域との関わりが多く、上記理由からも自分の家から感染者を出す罪の意識、恥の意識は強いと思います。

【理由４】鬼は外、福は内の範囲の違い

ただ、上記３つが理由の場合、ちょっと解せないとことがありました。

・高齢化やテレビの影響による危機意識の高さ → 半数がマスクをしてなかった岩手の例や、地方高齢者のカラオケ大会クラスターなど緩いところはめっぽう緩い
・地域との関わりが強い → 近所の人間が闇雲にあからさまに悪意ある行動は取りにくい

このアンバランスさはなぜ起こってしまうのか…。
これは日本の「鬼は外、福は内」文化にあるように思います。

自分がお盆に帰省しにくいなーという肌感覚を、私が地元民だったらという目線で考えてみると

【観光客】：ウエルカム。派手なことされたら嫌だけど、地元にお金落としてくれて嬉しい。観光地で動いてる別次元の人たち。
【地方出身者】：無理。こんなときに帰省とか意識低すぎ。自分のことしか考えてない。
【地元・地域民】：無闇に誰かの前でマスクしたり消毒したりというのも失礼にあたる。多分大丈夫でしょう。観光業の人だけちょっと様子見ておこう。
【家族】：大丈夫。行動はだいたい想像つく（同居じゃない上京家族は地方出身者に該当）

これが全てとは思わないけど、私が地方住みならこう考えていたと思います。
多分ですけど、猫がおなかを見せるように「私は安全な人間で、敵意や壁を作っていませんよ」という丸腰パフォーマンスが、近いコミュニティに対しては必要だけど、コロナに対してはちゃんと危機感や倫理観持ってますよ、戦えますよってアピールもどこかで必要で、「鬼」役が、普段いない地方出身者や陽性者に向けられるのかなと思います。
地方の方が「内」の範囲が広いんでしょうね。地域という単位を「内」と捉えているんだと思います。
だから同じコミュニティの人間にはすごく緩くしなければならない。
そして、自分の「内」テリトリーにちょっと踏み込んできそうな、半ヨソモノを「鬼」にして、意識のすり合わせ、団結力を育てているのかもしれません。

東京にも「鬼は外」がないわけではなくて「内」の範囲はすごく狭くて、多分家族レベル。そしてもはや「鬼」が多すぎるから、諦めて日々自己防衛につとめているのかも…と思いました。全部私の推測ですけど（笑）

てことで、やっぱり私は鬼にならないためにも、地元にはしばらく帰れないなぁと思ってます。

それでは、また木曜日にお会いしましょう！バイバイ！

※8/12(火)収録の「TEN MINUTES」の一部を文字起こし&追記しています

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