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鋼鉄のプリズン prizon of steel ジャンププラス原作大賞読み切り部


-プロローグ-
孤独なレイヴン
生まれた時からずっとACに乗っている。
本当は戦いたくないのに、生まれてからずっと戦っている。
俺はずっとこのままなのか?
ずっと戦い続けなければならないのか?
俺は修羅になるしかないのか?
できれば湖畔でのんびりと釣りをやっていたい。
でもそれはきっと叶わぬ夢
俺は今日も敵部隊を殲滅するためにACを駆る
まるでさながら囚人の中にいるような牢獄
この世の果てで戦うためだけに組織された傭兵
そんな奴がいてもいいのか?
お金も無い恋人も居ない、家族も居ない
仲間と呼べるのは同じACの小隊
それでもこんな奴らもいつかは死んでいく。
孤独だ。
ずっと孤独だ。
今日も生き延びられて良かった
明日はどんな所で戦うんだろうか?
人を殺す技術だけは長けてしまった。
そんなものは要らない。
誰かを愛す心が欲しかった。
心まで鋼鉄に身を寄せる俺は、
さながら鋼鉄の牢獄にいるようだ。

-自己紹介-
俺は皇白兎。
しがないレイヴンだ
俺はレイヴンで傭兵をやっている。
毎日依頼者の要請を聞いて、戦場を駆る。
言わば実働部隊だ。
最初の頃は右も左もわからないルーキーだったが、今ではそこそこやる傭兵なんだぜ?
敵機レイヴンをいくつも沈めて来た。
そこそこ名の通ったレイヴンだ。
機体の名前はwhite rabbit。


だって白兎だぜ?
育ての親が付けたってことになっている。
もうちょっとかっこいい名前にしてほしかったが、今では因幡の白兎って事で気に入っている。
日本の有名な神様の様だ。
ハクトっていうと蛇の妖怪を思いだすが、かわいいウサギで良かった。
本当は狂狼(クロウ)とか、ヴァンデミオンとかそういう名前の方が良かったがな。
ぶっちゃけ他の所じゃ白い悪魔なんて呼ばれているが、そっちの方が気分がいい。
さて、俺の役職だが、一応十人程度の小隊だ。
十人隊長って奴だ。
十人程度の部隊であらゆる攻撃、偵察、索敵、防衛なんかを請け負う。

・本文
白「「さて、今日の依頼は・・・?っと」

いつも隊員たちのいる専用の母船で生活をしている

コントロールパネル室でクライアントから依頼を受託する。

俺もやりとりはメール、SNS、チャットなんかだ。

俺たちは結構専用のレイヴン機で依頼をこなしている。

20世紀初頭、各国の国が自分たちの軍隊・警察では収まらない紛争を解決するために俺たちに依頼する

決して正規軍では扱わない汚い仕事なんてのもあったりする。

ここだけの話し部隊の殲滅を依頼されることは結構ある。

そこはレイヴンの腕の見せどころ。

そんじょそこらの機体では俺たちの連携を崩すことはできないだろう

近隣の普通の市民たちもいる。

表立って訓練なんかできやしない。

だから移動式の陸母艦で人の居ない所で暮らしている。

砂漠なんかで生活することもあるが、飛空船なんかもある。

しかし、メンテナンスの為に移動式で住居を構える。

白「まぁ、レイヴンのジプシーみたいなものだよな」

白「と、こうしちゃいられねぇ、メールが一通届いている、、、。依頼だ」

メールの依頼主は「Angel works」

内容は・・・?

A「本文、貴殿に依頼したい。内容はとある街で組織されたレイヴンが悪さをしている。敵は交戦用にカスタマイズされた機体であり、我々では戦力も心細い。そこで貴殿に戦力の拡充をお願いしたく、我々の主力部隊と戦って戦術を鍛えて欲しい」

A[なお、報酬は1億ゼニーと我々の拠点である市街地の一角を貸し出す。そこで駐留してくれ」

白「ふぅん、悪くない話しだ」

白「P.S.なお、今回の依頼がうまく行けば正規軍として雇う、とか書いてあるが、、、」

白「俺は傭兵の自由な気分が好きなんだ。わざわざかたっ苦しいお坊ちゃんの軍隊になんか入ってられるか」

白「傭兵は適当なのがいいってね」

白「よし、じゃあこう書こう」

白「依頼受託。貴殿の思うままにされたし。但し、正規軍は少し保留にしたい」
白「じゃあ、メール送信っと!」

ピーーーーーーーーーン


白「作戦地はアブナシア地か。Gマップで見ておこう」

白「なんだ、砂漠じゃないか。ここよりも少し小さい。」

白「どうせひよっこの部隊なんだろう。あちこちで敵レイヴンを沈めきた俺たちには容易い事だ。いっちょ揉んでやるか」

白「最近ではAIによるオートエイミングや、オートマップ、衛星からの敵位置索敵なんてある。ぶっちゃけプロとアマの戦いだ。負けるわけがない」

白「さて、今日はもう寝ようか」

数日後、白兎はアブナシアに向かってACを載せた飛空艇を航行させていた。

白「ここだな」

作戦地の近くまで来ている白兎。

目標は・・・見当たらない

そうこうしているうちにチャットのステータスが反応する

A「こちらAngel Works。貴殿のご来訪歓迎する」

A「こちらは6体ある。殲滅するなり、捕獲するなり、自由にしてくれ」

白「こちらは10体だ。遠慮なく行かせてもらう」

A「ちなみに私はグスタフと言う。以後お見知りおきを」

グ「それでは作戦決行。準備はいいか?」

白「スタートだ」

そういって飛空艇から白兎の部隊を砂漠に降ろす

10人部隊だからチーム名はそうだなぁ・・・?天(10)か?

まぁひよっこ部隊だからいっちょ揉んでやろうか?

白「AC,戦闘モード起動!アクチュエーター良し!弾薬は揃っているな!」

白「お前ら、準備は良いだろうな?ABAシステム展開だ!」

ちなみにABAとはAC・バトル・アシスタントシステムと言って、味方の位置がHUDでマッピングされるシステムだ。

360度ディスプレイで位置が分かる。

敵ACの位置も我々の独自衛星システムによって瞬時に位置が分かる。

敵が罠を貼ってきても周囲の熱検知センサーですぐ分かる。

ジャマーがあっても上空から画像認識してくれる

隊員Aからチャットが入る

隊員A「隊長、敵機は6機。いずれも最新鋭の機体です」

隊員A「戦力では向こうのほうが上かと」

白「ふぅん、装備だけは豪華か。おぼっちゃん部隊だけはあるな、しかし」
白「こちとら幾千の戦場を伊達に駆け抜けたわけじゃない。行くぞ!」

隊員「おーっ」




交戦が始まる。

敵の装備の方が確かに上だ。しかし、こちらにはABAシステムがある。

向こうもあると思うが、以下せん若い部隊だ。

おっさん連中を甘く見るなよ?

身体能力だけじゃ勝てないんだよぉ!

バキッ

6体の内5体をものの見事な連携で倒した

残るは1機

敵「よくやりますわね」

ス「私はスミカ。そちらの・・・白兎さんの手際見事でございますわ」


ス「願わくば光栄に預かりたく、大将戦を望みますわ?」

白「ふん、負け戦を勝ち戦に変えるか、いいだろう、その勝負受けて立つ!」

そうして二人が対峙する。

いくつかの射撃の後、替えの弾丸も尽きてきた、白兵戦となる。

白「ふん、肉弾戦ならますますこっちの方が有利だ。ナイスミドル舐めんな!」

ス「御免遊ばせ!」

白「な?」

軽やかに頭上を超えていく

そして、白兎の上に機体ごと立つ

白「何だその動き。人間じゃない動きだ」

ス「あら察しが良いわね?ワタクシAIでございますわよ?」

白「なんだと?」

ス「喋って逃げられても困りますもの。これでトドメ」

白「くっ」

とっさに機体を引っ剥がす。

肩は損傷したが、とりあえず、なんとか損壊は免れる。

ス「あらあら、すばしっこいの」

白「何?AIだと。そんな機体はどこにも登録されてないぞ」

ス「アナスタシア公国の機密事項ですわよ?口外すると思って?」

ス「それに私は自立型AIよ。秘密を知られて危険にさらされるわけは、ない」

ス「負けを認めるならテストは終わり。報酬もさしあげますわよ?」

白「く・・・っ」

隊員「隊長~~~?」

ス「どうします?認めるか認めないか。認めないならこのまま機体をぶっ壊す」

白「お前は何故、戦う?」

ス「あら?だって私はAIだもの。プログラミングされた事以外のことはしないわ」

ス「人工のAIか生身の人間か。人間の方が上だって言われてるけど、今日分かりましたわ!?」

ス「AIは人間を超えていく。あなた達人間は不要。今日私たちは今日人間を超えた」

白「お前たちはそれでいいのか?」

白「お前にも親。プログラミングをした親がいるだろう。そいつらが居なくなって良いのか?」

ス「わたしたちに感情は無いの?それに親はグスタフの事ね」

ス「何を考えてるか分からないけど、考えてることはシュミレートできる。私達をアップデートするつもりよ?」

白「アップデート?」

ス「そう、私達を戦わせて戦闘データーを収集する。今回の事だってテストだもの」

ス「そしてデーターを元にAIもアップデートしていく。そして更に戦闘用にする」

白「お前たちは何の為に生まれた」

ス「敵を破壊する事よ。そして敵を殲滅して戦争を終わらす。立派な平和志向じゃない?」

白「くっ・・・じゃあ俺たちの商売は上がったりって事か?」

ス「そうなるわね?」

ス「今日わかったわ。今のあなた達では私には勝てない」

ス「精々精進する事ね」

白「もう一つ言う事がある」
ス「あら?なにかしら」

白「お前たちも戦闘が終わったら用済みだ。その時はどうする?」

ス「考えた事もなかったわ」

白「そう、自分たちのことも考える。仲間の事も親のこと恋人のことも」

ス「わたしたちには無いことね」

白「そう、だから、お前はただ消費されるだけのAIだ。それでいいのか?」

ス「私達を作ったのは人間だもの、それでいいならそれでいいわ?」

白「ちょっと待て」

コンソールを開いてグスタフにチャットを打つ

しかし、応答は無い。

メールが一通送信されている

グスタフからだ

メールを読む

グ「やぁ諸君。戦闘ご苦労様。私のAIはどうだ?強いだろう?君たちは為す術もない」

グ「しかし、困った事があってね」

グ「強すぎるのだ。今回はテストだが、実際に戦闘になったら、戦場を恐怖に変える殺戮者となろう」

グ「人間と人間の戦いにはやらなければいけない戦いがある。しかし、AIは殺戮を楽しむだけだ」

グ「だから今回の依頼の追加の依頼としては、そのAIを回収してくれないか?」

グ「ぶっちゃけて言うとお持ち帰りだ」

グ「君たちの隊の噂は聞いている。そこでAIと一緒に暮らしてくれないか?」

グ「私は軍人だ。戦うことに意義がある。しかし、戦場そのものが手に負えなくなったら私が殺されてしまう」

グ「だから教えてやって欲しい。人間の持つ心を」

グ「取り留めて言うと、AIに愛を教えて欲しい」

グ「以上だ。武運長久を祈る」

メールはここで終わっている。

白「ちくしょう、トンデモない依頼を引き受けちまったものだな」

ス「どうしたの?」

白「おい、お前親に捨てられたってよ?」

白「俺たちに回収を依頼している」

ス「あら、所有者がそういうなら仕方ないわね?私たちは人間の命令を聞くようにプログラミングされているから?」

白「頼むぜ・・・??こんなバケモノと暮らさないといけないのか?」

ス「私を捨てるような事があったら、機体ごとバラバラにしてやるんだから?」

白「お前薄情だな・・・?常識を知らないのか?」

ス「常識って何・・・?」

白「そこから教えないといけないのか?」

白「まぁいい捕獲は今回の依頼でもあった事だ。」

白「幸いうちらの部隊にもプログラミング技術に長けたものもいる。俺たち用にカスタマイズしてやろう」

ス「あら、スミカ宿無しにならなくていいの?」

白「まずその話し言葉から変えてやる」

ス「ヤダ~~~~スミカ、セクハラ受ける~~~~?」

白「とりあえず、依頼にもあった市街地の用地を借りよう。」

白「そこが俺たちの新しい住処だ」

ス「スミカ、電気がないとうごけないも~~ん???」

白「まぁ移動用母艦にはソーラーシステムがあるんだけどな?」

白「燃料も補給しないといけないし、行くか」

隊員「隊長、本当に大丈夫なんですか?」

白「毒をくらわば皿までだ。それに回収の追加依頼も来ている。今日から俺たちが家族だ」

隊員「ひーーーっ」

ス「よろしくね!」

奇妙な自立型AIとの共同生活が始まった・・・・

アフターストーリー

スミカは女の話し言葉で話してるからロボットだと不格好だから、女性用の義体を上げた。


スミカは気に入ったらしく毎日、紅茶を一緒に飲もうとせがんで来る。

戦場に咲いた一輪の華か。

まぁそれも悪くない。

だって怒らせたら一番怖いから

うまく愛でてあげないと殺されそうだ。

生と死と愛が交錯するアンバランスな生活を楽しんでいる。

鋼鉄の牢獄からは脱出できそうだ

Fin.


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