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テレワーク演奏はおもしろいのか?【アフターコロナを睨む演奏家の取り組み】

コロナ禍により音楽家の活動も日々変わってきています。人と会ってはいけない、集まってはいけないということですから自ずとネット配信が中心になってきます。オンラインでアンサンブルをする、いわゆるテレワーク演奏、オンラインレッスン、多重録音 。この状況はすぐに回復することはないでしょうからアーティストもそれぞれの分野で新しいビジネススタイルを作っていくことになります。ファンはその中で面白いというものを見聞きするようになり、新しいムーブメントが起こるでしょう。

昨日はとある取材を受けました。その記事がどこでいつ出るかはまた決まったらお知らせしますが。。。その時に私の発信を細かくみてくれていた記者さんに「テレワーク演奏には否定的なんですか?」という質問を受けたのですが「否定はしないが面白いものを作るのは難しいと思います」と答えました。

中華人民共和国の武漢で始まったコロナ禍での自粛期間によって様々な生活スタイルの変化が見られます。この危機が一過性のものなのか、これをステップアップにするかはそれぞれの業界と個々人の考えと取り組みによって変わります。では今回は所謂テレワーク演奏という物について考え、紹介し、私がすごいと思った動画もオススメしたいと思います。


遠隔合奏の難しさ

遠隔で合奏する場合、現在の技術では遠ければ遠いほど時差が生まれます。私が遠隔合奏を初めて聴いたのは二十二年前、長野オリンピックの時に小澤征爾指揮する第九を世界中の人たちと同時中継して一緒に歌うという企画がありました。

この時は当時の最先端技術を駆使して時差調整をし、それぞれの音と映像をスタジアムに流していたそうです。

5大陸つなぐ歓喜の歌 【1998年 長野】(読売新聞)

つまり、どうしても時差は生まれてしまいます。ですから感覚的にはまるで目の前にいるように感じられても、アンサンブルとなるとその距離を感じさせてしまいます。だからライブ配信での遠隔合奏は現在においても容易にできません。


ヤマハのネットデュエット

ヤマハが開発しているのがその時差を解消するソフト「ネットデュエット」。

それぞれ、ネット回線や機材が揃っていれば時差を感じずにネットで生配信するのも可能とのこと。

実際にえびチャンネルを編集してくれているしおりDが自身の生配信で使用し、問題なく配信できたようです。

しおりDにきいたら「時差は全く感じなかった」とのこと。しかし、しおりDもLazさんもユーチューバーとして活動していて、ネットや機材のスペックもしっかりしているのでそれだけのクオリティが作られているようです。

ちなみに私の生徒さんたちはこれで二重奏の練習をしようと思ったらしいですがイマイチだった模様。4月から開催する予定だったデュエットレッスンプログラムがオンラインでできるかと期待したのですが、現状では無理の模様。ご興味ある人はぜひお試しください。


楽団ひとり?多重録音もテレワーク演奏

多数でテレワーク演奏するという方法以外に一人でいくつかのパートを全て演奏する多重録音というのもあります。コロナ自粛の中、これも多くの音楽家がやっています。

これはソフトを使って一つずつ自分で録音していって結合させます。しかし、他の音源やメトロノームなどに合わせてやるのが基本です。その場合、イヤホンなどを耳につけて基準になる音やクリック音(メトロノーム)などを聴きながら合わせます。先日紹介したニューヨークフィル のコラールもそうですね。

参考;復活のコラールを聴き比べてみた

しかし、どうしても生き生きしていない演奏が多くなってしまいます。自由にやることで合わなくなったり不自然になったりするのでみんな無難に演奏するのが多数でも一人でもテレワーク演奏のよくあるパターンです。その中で素晴らしい演奏も中にはありますのでぜひ探してみてください。最後に私のお勧めも紹介します。


機材とネット環境が大事

何にしても機材とネット環境がネックになります。スマホが高性能になってもやはりしっかりしたマイクで録ったものとは音質が違います。いくら生で良い音を出していても録音状態がよくなければその時点でファンはガッカリしてしまいます。

また、ネット環境も大事ですね。これからは配信する上り速度も音楽家は重視せざるを得なくなってきます。私はポケットWi-Fiしか使っていなかったのですが、流石にこれからは無理だと思い、光回線を入れることにしました。違約金がネックだったのですが、乗り換えると違約金もキャッシュバックというのを見つけて即決!この期間はネット環境を変える人も多いのでいつもより時間かかるようですが、今月末には開通しそうです。そしたら私も生放送してみようと思います。


オススメ動画

私が多重録音で感動した動画があります。それはコロナ禍よりもだいぶ前に作られたものです。

melodica menというピアニカのユニット。いつもは二人で演奏していてその編曲も演奏も素晴らしいものですが、今回紹介するのはそのうちの一人が多重録音したものです。

こんな忙しい曲をこのクオリティで作るってどんな作業時間を費やしたのだろうと思います。拍子やテンポが変わるところもバッチリです。そして何より、音楽的にも素晴らしい。ただ、やる、のではなく、生演奏で二人が演奏してても遜色ないレベルです。下手なオケ演奏よりもよっぽどこの曲の素晴らしさを感じますw


キャンディード序曲

melodica menの素晴らしいところは何といってもその音楽性。その曲のキャラクターをしっかりと出しています。ピアニカを練習する小学生に「こんなこともできるんだよ」とぜひ聴かせたいですね。そして大人も「子供の頃やったピアニカがこんなにも表現力豊かなのか」と驚愕するでしょう。

もう一つはショスタコーヴィチ!!

祝典序曲

これも素晴らしい!!彼の演奏の素晴らしさは曲想の切替です。リズミカルなところと歌うところのコントラストが絶妙です。「ピアニカなんて誰でもできるんだから演奏家がやったらみんなこのくらいできるでしょ?」って思うかもしれませんが、そんなことはありません。こんなにも音楽表現をできる人は実は多くないのです。そしてそれを多重録音でしてしまうというのが彼のすごいところです。隣を見る小芝居も良いアクセントですw


これからのスタイル

これから音楽家はこれまでよりも様々な発信をしていくでしょう。そして多種多様な感想と批判にも晒されていくと思います。その中でこれからどんなスタイルが作られていくかは、逆にこれからの楽しみでもあります。そしていつしかスタンダードが出来上がります。これからの音楽家の発信にもぜひ注目しつつ、緊急事態宣言解除後のコンサートを楽しみにお待ちください。

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それではまた!!


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