【演奏論】拍について考えてみよう
こんばんは、ファゴット奏者の蛯澤亮です。楽器を吹いたり、youtubeやnoteで情報を共有したり、コンサートの企画運営をしています。一緒に人生を楽しんでいきましょう♫
今回は演奏についての真面目な話。
テーマは【拍】です。
拍ってなんでしょう?
拍について考えたことはありますか?
かつてちょっとだけえびチャンネルでも解説しましたが、この手の内容はあんまり伸びないのでその後投稿は控えてますw
拍は時間を刻むだけではない
まずは上の動画を見てください。最初の2分くらいだけでも良いです。そこで拍についての基本情報を話しています。
動画で話している通り拍というのは時間を刻むだけではありません。
そこには強弱、硬い柔らかい、深い浅い、前向き後ろ向きなど様々な要素が含まれています。
演奏で表情や表現が乏しいと自分で感じている方はこの拍についての意識が少ない人が多いように思います。
実は表面的な「音」を変化させても、自分の根本的な感覚にあるべき「拍」がなければその効果はかなり少なくなってしまいます。この拍のバリエーションを持つことで演奏の幅は格段に上がります。
一番わかりやすいのは指揮者
その拍の流れを動きで演奏者に示す職業といえば指揮者です。伝え方は色々とありますが、やはり名指揮者は見ているだけで音楽が見えてくるような動きだったりします。
20世紀の天才指揮者といえばカルロス クライバー。彼の振る薔薇の騎士はまさにその拍の種類の豊富さ、そして音楽の流れがとても鮮やかに現れています。
見る場所は開始場所から2分程度で良いです。もちろん、その後も素晴らしい公演が続きますのでご覧になりたい方はぜひ。
さて、その白についてですが、その2分程度のクライバーを見てどう思いますか?その指揮姿から溢れ出る音楽が見えないでしょうか?
拍の種類、そしてその拍の繋がりの中にあるエネルギーの流れ方が音楽の切り替わりやフレージングを見事に表しています。
演奏家が指揮を振れなければいけないわけではありません。ですが、自分の中に指揮者が表しているような様々な拍があることが大事です。むしろ、指揮者はオーケストラに伝えるためにその動きをしているわけで、それだけでは伝えきれないところもあります。実際に音を出す奏者は指揮者が体で表す以上の拍感を持って演奏しなければいけません。
大事なのは拍感
大事なのは頭でわかるよりも拍の感覚を掴むこと。
スキップをしてもその動きの流れによって様々なスキップがあるでしょう。そのように拍も様々な感覚が詰まっています。これは自分の体の動きでもかなり掴むことができます。
誰もいないところで音楽に合わせて踊ったり指揮を振ったりすることも感覚を掴む一つの方法です。自分の感じるままに体で表現する。そうしたら、その感覚を音に乗せるにはどうしたら良いのか考えれば自ずと道が見えてくるはずです。
合図の出し方にも通じる
合図もその拍感のセンスが問われます。拍がなければどんなテンポ感でどんな曲想で始まるのかわからないからです。きっかけになる人の合図によって演奏は全く違う出だしになります。拍を共有することで音楽自体が変わることの証左です。
この拍という概念は非常に大事だと私は考えます。しかし、これは教育でも演奏の現場でも蔑ろにされがちなところです。この拍についてはまたセミナーや別の機会に詳しくやっていきたいと思います。
皆様の演奏法を考える一助になれば幸いです。
それではまた。日々、楽しんでいきましょう。
蛯澤亮
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