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ネコちゃん、空を飛ぶ。

ネコちゃん、空を飛ぶ。

このブログのトップ画像にも設定されている写真。1948年の「ダリ・アトミクス」という作品です。
これを撮影したのはフィリップ・ハルスマンという写真家。
生まれたのはダリより2年遅い1906年。しかし、ダリよりも10年早く1979年に亡くなってしまった。ダリとコラボすること37年。彼の無茶ぶりな思い付きやアイディアをひたすら撮って、撮って、撮りまくった人なのです。

「ダリ・アトミクス」もそのひとつ。
この作品は「浮遊」をテーマに空中に浮かぶネコちゃんとダリ、そしてバケツからまき散らされた水を見事に捉えた奇跡の1枚です。

当時は今のようにCGなんてないから、全て手作業。
アシスタントがネコちゃんとバケツの水を空中へ放り投げ、それに合わせてダリがジャンプ!
イスやイーゼルはワイヤーで吊り下げ、浮いているように見せています。
もちろん1発OKとはいかず、撮り直すこと26回、撮影時間は6時間。ネコちゃんにとっては迷惑な話…。

ちなみに、この作品にはもう1つエピソードが。
ダリは当初、この作品にネコちゃんではなく、ガチョウの出演を予定していたそうで。しかもガチョウのお尻に爆竹を入れ、その爆風で浮遊させようというもの。これにはさすがのハルスマンも「そんなことをしたら捕まる」と止めたらしい。ダリ先生、それは絶対にマズイです!

作品も凄いけど、ダリの意味不明な言動や行動も気になるところ。
ダリとハルスマンは「Dali's Mustache」という本を出版しています。直訳すると「ダリの口髭」
ハルスマンがいくつか質問して、それに対してダリが答える。
その中でハルスマンは「相変わらず、言ってる意味がわからない」とダリに投げかけているそうな。笑

ただただ「意味が分からない」のではなく「相変わらず」意味が分からないのがダリ先生なのです。笑
ハルスマンの愛情が滲み出る一言ですね。
ダリ先生との絆や信頼関係を感じます。

「ダリとハルスマン」は諸橋近代美術館の企画展。是非ともこの目で見てみたい。
「Dali's Mustache」も気になる。読んでみたいな。

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