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読み漁り。

図書館でまた新しい本を探してきました。
今回、借りてきたのは2冊。
 
1冊目は朝倉宏景さんの「日向を掬う」
 
優柔不断な売れない役者・大守良行。独身40歳。
仕事も人生もなんだか煮え切らないそんな毎日。
 
ある日、良行の住むマンションに「わたし、あなたの娘です」と、中2の少女・日向実が訪ねてきた。
突然の訪問に焦る良行。日向実と対峙し、内心焦りながらも15年前の出来事を思い出していた。
大学時代に交際していた彼女と再会。さらに、彼女はある事情で良行に精子提供を申しこんできたのだった。
日向実はそのときに産まれた子。日向実の母である彼女は不慮の事故で亡くなっていた。1人になってしまった娘は父である良行を訪ねてきたのだ。
突然始まったちょっとおかしな父娘の関係性とそれを取り巻く家族の日常を綴った物語。
日向実が終始、自分の存在理由に苦悩する姿が切なく
読みながら「生きるとは」「自分がこの世に産まれてきた意味とは」と何度も考えさせられました。
テーマは重いのですが、主人公・良行が絵に描いたようなチャランポラン男なので、なんだかズッコケそうになります笑。
でも、それに何度も救われる。
 
2冊目は川口俊和さんの「コーヒーが冷めないうちに」
 
この小説は何年か前に映画化されて話題になっていました。
ずっと原作の小説を読みたいと思っていたのですが、なかなか読めず…。
そしたら行きつけの美容室に置いてあった!!
それ以来、美容室に行くたびにちょっとずつ読み進めていたのですが、図書館で見つけて借りてきました。
 
こちらはちょっと不思議な話。
喫茶店「フニクリフニクラ」
この喫茶店のある席に座ると自分の望んだ過去に戻ることができる。
ただしルールがいくつか。
 
一、過去に戻っても、どんなことをしても現実は変わらない
二、この喫茶店から出ることはできない
三、過去に戻れるのは、コーヒーカップを注いでからそのコーヒーが冷めてしまうまでの間。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。
四、過去に戻れる席には先客がいる。席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ。
五、過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことがない人には会う事ができない。
 
いろいろな事情を抱えた登場人物が、それぞれの想いを胸に時空を超えた短い旅に出ます。そのエピソードをオムニバス形式に綴った物語です。
 
過去は変えられないけど、未来の自分は変えられる。
いくら足掻いても、その日、あの時、あの場所で起きたことは過去に戻っても変えられない。
一見、過去に戻る意味なんて無いのでは…と思っちゃうけど、読んだあとには虚無感ではなく、ほっこり温かさが残る作品です。
過去に戻ることで、未来にも目を向けることができる。そんなお話です。
 
やっぱり本は良いよね。
また娘たちと図書館に行ってきます。

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