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FATF第4次対日相互審査報告書所感

 かねて話題になっていたFATF第4次対日相互審査報告書が2021年8月30日に公表された。この概要や、日本政府の対応方針は金融庁の以下のサイトにまとめられている。また、報告書の概要についても、以下のサイトのリンク先の金融庁のHPで掲載されている。 https://www.fsa.go.jp/inter/etc/20210830/20210830.html  FATFのこの報告書には、まずは政府が対応すべきものだが、政府の対応にあたって、民間セクターに少なからぬ影響が生じる

    • 押印の果たす機能と電子署名による代替可能性 -文書が本人の最終的な意思を示すことの機能を中心としてー(2020年10月12日)

      1 はじめに  新型コロナウイルスの蔓延に伴う在宅勤務の要請の広がりの中で、押印が事務負担になることから、押印の代替としての電子署名の利用可能性が注目されるようになった。押印を電子署名により代替するにあたっては、押印に期待されていた機能を整理し、それが電子署名でどのようにカバーされているかを整理することにより、電子署名をよりよく用いることが可能になるように思われる。力不足ながら簡単にこの点の整理を試みたい。 2 押印に期待された機能  電子署名の機能や問題点を論じるにあたり

      • 仙台高決平成30年12月11日金法2139号88頁をめぐって ・・・倒産手続開始不申立て合意の解釈と効力

         倒産手続開始不申立合意に関する裁判例が金融法務事情に掲載されましたので、その内容と感想を備忘録的に書き留めておきたいと思います。 1 事件の概要  債権者による破産手続開始申立てにより、破産者に破産手続開始決定がなされ、これに対して、破産者が即時抗告を行いました。  破産者の主張の大きな点は次のとおりです(このほか破産原因の存在も争っていますが省略します。) ① 債権者は、破産者に対して次の内容の誓約書を提出している。  (a) 債権者は、債務者に対するすべての請求を放棄

        • 民法改正について…基本契約中の譲渡制限条項に反した債権譲渡を理由とする解除などの可否

           川井先生のブログの記事に触発されて、まとまらないままですが何か書きなぐってみました。あたらしいことは何もないですね。すみません。 川井先生のブログ記事 http://blog.livedoor.jp/kawailawjapan/archives/9050470.html 1. 原契約の譲渡制限条項に反する債権譲渡 (1) 改正民法下での債権譲渡の譲渡制限特約  2020年に施行される民法改正では、債権譲渡に関する規定も大きく変容します。現行法では債権の譲渡禁止特約は悪意重

        FATF第4次対日相互審査報告書所感

        • 押印の果たす機能と電子署名による代替可能性 -文書が本人の最終的な意思を示すことの機能を中心としてー(2020年10月12日)

        • 仙台高決平成30年12月11日金法2139号88頁をめぐって ・・・倒産手続開始不申立て合意の解釈と効力

        • 民法改正について…基本契約中の譲渡制限条項に反した債権譲渡を理由とする解除などの可否

          投資先企業の事故時の株主・投資先の対応

          (1) コインチェック社の記者会見  2018年1月27日に発覚したコインチェック社の仮想通貨の流出事件について、同社の経営陣の記者会見にて、同社の経営陣が株主との協議の必要を理由に回答を留保するやり取りがみられました。  同社の回答が、株主との間の投資契約書などを理由とするかどうか、またコインチェック社と株主との間の投資契約書や株主間契約書の内容は外部からは窺い知れませんが、投資先の事故対応にあたり株主・会社間で留意すべき点を書いてみます。 (2) 投資契約書が投資対象先の

          投資先企業の事故時の株主・投資先の対応

          さてと、登録してみました。

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