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『モアザンワーズ/More Than Words』を観て

Amazon Original 連続ドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』を視聴した。

きっかけは私のINIの推し、許豊凡からのプライベートメールで宗藤竜太さんの『ライムライト』という曲を共有してもらったこと。

まっすぐで、優しくて、でも掠れた歌声にギュッと胸を締め付けられるような、それでいて優しく落ち着いた気持ちになれるような不思議な感覚になった。なんだかすごく泣きそうになった。メイクを落とすシーンがずっと流れていて、今まで見たことがないようなMVだったのだけれど。
歌声とMVも併せて観たいような素敵な作品だった。

調べてみたら、9/16から配信中のAmazon Original の『モアザンワーズ/More Than Words』の作中にも使われている曲だそうで、タイムリーだなぁと思ってどんなドラマだろうとPrime Videoを開いた。

ら、調べるまでもなく一番最初にドンと出てきました、モアザンワーズ。


かなりAmazon primeに推されている作品なんですね、びっくりしました。

あらすじを読んだら

あの青春の日々は、ときに優しく、ときに切なく、いつもはかなく輝いている――同じ高校に通う、親友だった美枝子(藤野涼子)と槙雄(青木柚)。一緒に始めたバイト先で大学生・永慈(中川大輔)と出会い、3人はつるむようになる。ある日、永慈が槙雄を好きだと言い出し、2人は結ばれる。しかし周囲が交際に反対。槙雄と永慈を引き裂こうとするなか、美枝子が彼らのために2人の子供を産むことを決意。3人の特別な関係は徐々に変化していく。そんなとき、槙雄は元同級生の朝人(兼近大樹)と偶然再会し・・・。若者たちの痛々しいほどピュアで、美しくも切ない青春群像劇。

Prime Video

これは…なかなか観るのにハードそうだ。心が。
所謂ボーイズラブ系ドラマなのか?あまりその系統のドラマは観たことがなかったし、どうしようかなぁとしばし考えた。しかしたまたま最近前回のnoteでLGBTQ+に触れたばかりだったし、1話の時間も話数も長くなかったのでとりあえず気になるから観てみようじゃないかと視聴し始めたのである。


そしたらね、もう一気に観てしまった。なんかもうグサグサグサっと心にダメージと少しの温もりと切なさと色んな物が残ってしまい。ちょっと衝撃だったので自分の考えの整理として文章化しておこうかなと思った次第である。
一応推しのINIのことを語るためにこのブログを開設したんですけどね、他に騒ぐ所もないのでここに取り留めもなく書いていこうと思います。

ネタバレにはならない程度で感想を書こうと思っているけれど、ネタバレになったら嫌だ!って方はここで引き返してくださいね。



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普段映画はスリルやアクション系、ミュージカル系を好んで観ていて、ドラマは韓国ドラマばかり観ている私。
なのでこの作品を観た時、時間の流れと空気感のリアルさ、敢えてバックに音楽を流さず静寂と余韻を持たせた映像がとても新鮮で、一つ一つの意図的につくられた空白に息を飲みました。
なんだかすごく、言い回しもその空間も作られた感じがなくてリアルなんですよ。普通にそこらへんにある日常を何の加工もフィルターも通さずありのままを映しているような。
エンディングに音楽がずっと流れて、これもありふれた日常をずっと撮っているような、変に作り込まれている感じがない映像で、曲を聴きながら余韻に想いを馳せるようなつくりになっていました。
個人的にすごく新鮮でした。

恥ずかしながら俳優さんに疎くて存じ上げなかったのですが、本当にみなさん自然で上手い。美枝子役の藤野涼子さん、永慈役の中川大輔さん、そして特に作中の変貌ぶりが凄かった槙雄役の青木柚さん。若手の俳優さんだそうで、勝手に宝箱の場所を一人で先に見つけたような背徳感を感じさせて頂きました。
途中からEXITの兼近さんも出てきてびっくり。ドラマ初出演なんですね。新進気鋭の俳優陣に引けを取らない演技でした。


美枝子と槙雄、永慈の3人の特別で美しい関係。永慈が槙雄に抱く恋心を優しく受け止め明るく無邪気な槙雄と、関係性の変化に少し戸惑う美枝子。それでも3人はそれぞれの形で幸せそうで、永遠に続くとさえ思われた。しかし関係性が永慈の父親の反対によって崩れていく。その後の3人の決断も、それによって生まれた苦しみも、お互いがお互いを思い合ってしたことだけにより切ない。
3人と、また槙雄と再会した朝人の感情の動きに終始うーんと唸って観てしまいました。

同性愛、代理出産、介護の問題と短いドラマでありながら様々な視点から取り上げていて、短いながらも濃かったな…という印象でした。
消化するのに時間がかかりそう。


個人的には美枝子が少し私に重なるところがあって、ここが実は一番心にグサグサっときました。
美枝子は父親が出て行ってしまったり彼氏から乱暴なことをされた経緯もあって男性が苦手ということもあったと思うんですが、私も男性が苦手、というか恋愛感情を抱くことがない人間なので少し重ねてしまったんですよね。
それで、これは少数派の考えかもしれないけれど、代理出産を選んだ美枝子の気持ちが分からないでもないな、もしかしたら私もこの立場になったらそうしたかもとさえ思った。

激しく愛し合った槙雄と永慈の跡を見て、「欲しかったものを見つけたような気持ちになった」美枝子。自分にはこんな愛し合い方は出来ない、羨ましいと感じたのではないか。自分にはないものを持っている2人。少し寂しい気持ちと、愛し合うことが出来る2人に純粋に憧れるような気持ち。勝手な想像と解釈だけれど、なんだかすごく共感出来た。


男同士では子どもは産めない。
本当の家族のような温もりを3人の中に見出していた美枝子は、2人が悲しい思いをするんだったら女である私が代わりに産むんだと。
可愛いと言われたくない、女とか男とか関係ないと感じていた美枝子が「いつか結婚したいとも思わない。なんでこんな女なんだろうと思ってた。でもやっと分かった。このためだった、女としての意味があったんだ」と自分の性別に意味付けをするシーンはゾワッとしました。
女性であることに意味を見出してなかった人間が、大好きな2人のために女性の自分の身体を使ってくれと。
常識的客観的に見るとなんでそんなことを、と言いたくなるかもしれないが、不可逆的な時の流れを感じ若さ故の焦燥感から出た美枝子の言葉に妙に共感し胸が苦しくなった自分もいたのが不思議でした。

その後の美枝子の良かれと思ってした行動が結果として大好きな人を傷つけてしまった罪悪感、悲しみ、後悔。しかし時間は不可逆的でもう取り返しはつかない。

3人でずっと一緒にいたいだけなのに。それがこんなに難しいことだなんて。みんなが優しくてそれぞれの形で思い合っているはずなのに上手くいかない。もどかしくて、切なくて。

美枝子、永慈、そして槙雄にとっての幸せって何だろうな、と思って視聴を終えました。

朝人の登場によりまた3人の関係性が変わっていく様子や、無邪気な槙雄の後半にかけての変貌ぶりも見応えがあったけれど、終盤の朝人の「好きっていうよりいとしい」という言葉でモヤモヤの感情に名前がつけられたような感覚になった。


こうしてなんとか視聴を終えたが、まだ少し考える時間が必要そうだなぁという感じ。
最初にあらすじを見た時の所謂ボーイズラブ系ドラマ、というのとは少し印象が違くて、色々な視点で考えさせられるような作品でした。
それぞれ人によって観るポイントや共感したり感情移入するポイントが異なってくるのではないかなと思いました。
原作の漫画も読んでみたいですね。

一気見してすぐにバーっとこのnoteに感情を書き殴っているので、本筋の槙雄と永慈の恋や感情の動きについて今は丁寧に語るのが難しいけれど、人間というのは少しでも共感出来たり感情移入するキャラクターやエピソードがあるとそちらにすごく引き込まれて考えさせられてしまうものなのだなというのも改めて感じさせられた機会でもありました。


このドラマを視聴するきっかけになった『ライムライト』は美枝子が代理出産を決意する回にエンディングで流れる。
またそれぞれの幸せの形に想いを馳せながら、じっくり『ライムライト』も聴きたいなと思います。


#モアザンワーズ #ドラマ #ライムライト
#感想  #藤野涼子 #中川大輔 #青木柚 #兼近大樹


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