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フカヒレの「スープ」がフカヒレの「姿煮」に化けた!

僕が前職の職場に入って早々、起きた出来事。

そのお店では「フカヒレ」というメニューページがあり、
フカヒレを使用したアイテムが写真付きで5種ほど載っていた。

アルバイトで、週1~2勤務のスタッフが、
フカヒレの姿煮」のオーダーを取ってきた。

結構高額なアイテムなので、
「オー!」と内心驚いた。
こんな高単価のアイテムでも、しれっと入ってくるんだなぁ。

と、感心したのも束の間、
出した瞬間に違うと言われたらしい。

ちょうどその時、僕は別件対応中で、
事の顛末を直後に聞いた。

お客様は「フカヒレページ」内の、
フカヒレのスープ」を注文したそうだ。
そして受けたスタッフも同じ認識だった。

要はめったに入らないアイテムなので、
オーダーを入れる際の機器で、商品記載名をきちんと把握しておらず、間違えて送信したという事だった。

ちなみに「姿煮」は、スープの金額の3倍する。



僕はその店舗に昔からいる社員スタッフからその報告を聞きながら、なるほど。と、そのテーブルに目をやると、
すでにフカヒレの姿煮を美味しそうに召し上がっている。

「うんうん。仕方ない、きちんとハンディのキーを認識させていないこちらにも責任がある。」

そう言って、
「で、お客様にはなんて説明したの?」
と聞くと、

『仕方ないのでそれを無料タダでお召し上がりいただくように言いました』
と言われて目が点になった。

「え?スープ代金分は貰うんだよね?」

『え?間違えているのに貰うんですか?』

「え?だってお客様としては得してるわけだよね?
 本来注文したスープ代金は貰っても問題ないと思うよ?」

『いえ、もう無料タダでとお伝えしました』

・・・・・

その社員は、
(当然でしょう。何言ってるのこの人)
という視線で僕を見る。

(もしかしてこれがこの会社の文化なのかな?)
どう反応して良いのかわからず、釈然としないまま営業に戻った。



営業終了後に、いきなり上司には聞けない。と思って、まだよく知らない横の繫がりで、
同じ統括店長をしている人に聞いてみた。

「いえ、そんなことはありませんよ。
 僕もスープ分は貰うべきだと思います」

との返答で、特に文化ではないことが分かった。
僕はその社員にどう伝えるべきか迷った。


僕は、過去の経験から、お店からの奢りは、
もっと有意義に使うべきだと思っている。

要は、お客様からの視点で、
これは私達のためにしてくれたこと
と思ってもらえるなら、
そもそも間違えていなくても
フカヒレの姿煮を出してもいいと思う。

それがお客様に必ず響くのであれば、惜しくない。

けど、今回のことに限って言えば、
お客様はたまたまラッキーだった。
という認識に過ぎない。

僕はこれが無駄なお金だと思うので、
その社員にどう伝えれば理解できるのか?に腐心した。



それぞれの考え、ひいては背景による部分なので、
頭ごなしに「間違っている」とは言えない。

要は、自分がお客様なら、どうして欲しいか?
という判断によるものなので、否定はできない。

ただ、僕の考えとしても前述の通りで、
「僕の考え方として」という言い方で、
ストレートに伝えるしかないな。と思った。


以前にも書いた内容なので、以下を引用する。

以下が抜粋した伝えたい部分

例えば営業職なら「接待」という予算が組まれていることがあると思う。
レストランにおいての「アタッカー」は、要は営業マンであり、
顧客にリピートしてもらう責任者でもある。

なので、僕が以前働いていたお店では、
オン・ザ・ハウス(店のおごり)」
という仕組みがあった。

お客様にリピートしてもらうために、
無料で何かを提供できる決裁権を皆が持っていた。

僕は否定している訳ではなくて、という前置きをし、
かつ、即座にお客様側に立って判断したことは称賛に値する。
素晴しいし、これからもそうして欲しい。と伝えてから、

これでお客様がまた来てくれるなら、問題ない。
という言い方で、上記を念頭に置いて欲しいと伝えた。

その社員の反応は、伏目がちに、
「分かりました」
と言ったが、否定された気持ちは残っているようで、
分かっていないように映った。

文化(背景)が違うとすれ違いが起こる。
そしてここでは僕は新参者の上司だ。

信頼関係が積み上がる前のこうしたシーンは、
いつも難しいと感じる。
転職された方なら、一度はご経験があるんじゃないだろうか。


僕はそのお客様が戻ってきてくれた時にこそ、
その社員を「よかったね!」と褒めようと待ち構えていたが、
残念ながら見ることは無かった。

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