プラチナ金ネジキについて

2021年11月15日、youtuberの加藤純一さんがプラチナ金ネジキをクリアしたというニュースを見かけた。

プラチナ自体は昔、姉に貸してストーリークリアだけやらせ、そのデータを使用して対戦の準備を行った記憶しかなく、実際どれぐらいしんどいのかというのを自分では知らなかった。

幸か不幸か高校の頃身内配信で使うために偽トロ筐体を持っていたこと、ゲーム仲間のDiscordコミュニティで常に誰かが何かしらのゲーム配信を行っていることから、話題性もあるし…ということで自分でもやってみることにした。

結果としては11/17に開始し、12/8の72挑戦目で無事金ネジキを撃破することに成功したので、興味がある人に向けてこの記事を書こうと思う。


■金ネジキとは

まずは知らない人のために金ネジキについて、かんたんな説明を行う。

ポケモン第3世代と言われるGBAのルビー・サファイア・エメラルド以降のシリーズは、ストーリークリア後に「バトルタワー」または「バトルフロンティア」という、いわゆるやりこみ用のエンドコンテンツが存在する。

プラチナにおけるエンドコンテンツは「バトルフロンティア」という、5つのレギュレーションで勝ち抜いていくものであり
その中の「バトルファクトリー」というものに出てくるボスキャラクターがネジキである。

バトルファクトリーのレギュレーションは

・1周7戦の勝ち抜きで、負けたら最初からやりなおし
・最初に6匹のうちから3匹を選び、1戦ごとに相手の使用したポケモン1匹と自分のポケモンを交換することができる
・使用可能なポケモンは、技と努力値(ステータスの調整要素)振りと持ち物が固定されているレンタルポケモンのみ
・ポケモン1種類につき4個の型があり、周回数が増すごとに新たな型が開放される
・1周ごとに、使えるポケモンと出てくるポケモンと敵のAIが徐々に強くなっていく
・3周目の7戦目(合計21連戦目)及び7周目の7戦目(合計49連戦目)にボスであるネジキが出てくる

といったものである。

7周目の7戦目、つまり49連戦目のネジキを倒すと金のエンブレムが貰えるため、この49戦目のネジキが「金ネジキ」と呼ばれており、これを倒すのがバトルファクトリーの目標となる。(勿論8周目以降もあるにはあるが)

他にも細かい仕様は色々あるのだが、基礎知識として書くのは野暮ったくなってしまうので、詳細が気になる人は下記リンクを参照してほしい。


■何が辛いのか

端的に言うと「理不尽なほどの運ゲーである」の一言に尽きる。

対戦においても同じことが言えるが、きゅうしょという仕様があまりにも強すぎることから始まり
ひかりのこな/のんきのおこうによる命中100技の外し、せんせいのツメで突然(一撃必殺技も込みで)上から殴られる、きあいのハチマキによる耐え、といった完全な運ゲーから
そもそも選択できるポケモンが弱いものしかいないだとか、個体自体は強いのに技構成がヤバすぎるものだとか、特定のポケモンがいないと突破が難しいポケモンの存在(クレセリア・ハッサム・ヒードランあたり)だとか
どれだけ綿密に編成・行動しても、各所に「突然の詰み」が訪れる要素が散りばめられているのである。

プレイヤーとしては連勝を狙うため、きあいだまや一撃必殺等のギャンブル要素の強い行動を取りづらい反面
NPC側は「1回でも勝てば連戦を途切れさせられる」ため、強力だが命中が不安定な技であろうとも
1回当たればよかろう的な精神でゴリゴリ撃ってくるのだ。

実際に自分が詰んだケースとしては

・上から殴れば倒せる、というときにせんせいのツメ+ストーンエッジ+急所に当たって一撃死
・7周目の7戦目までにS種族値100を超えるポケモンもまともなはがねポケモンも一切出てこない中、49戦目のネジキの2番手がガブリアス
・ハッサム、バンギ等がいないのにつきのひかり持ちのクレセリアを出される
・グライオン@タスキ(じしん/つばめがえし/ハサミギロチン/カウンター)に対してタスキカウンターで1匹、ハサミギロチンを2連続で当てられ残りの2匹も一撃死の3タテ

等が理不尽な負け方であったと思う。
その他にもきあいのハチマキやひかりのこなが2~3連続で発動した、麻痺・混乱・メロメロ等の行動不能を4,5連続で引いた…なんていうのは何回かあったと記憶している。

■何が面白いのか

ここまで書くとただの理不尽運ゲーにしか見えないと思うが、このゲーム自体は割とよくできており、想像以上に戦略性はある。

まずはポケモンのピックについて。

・同じポケモン同士が対面することはない
・同じどうぐを持ったポケモン同士が対面することはない
・こちらが交換する前に相手のポケモンが決まる

この3要素をうまく使い、詰みと運要素をある程度排除する動きを取ることは可能である。(当然ピック対象に入ってこない場合は不可能だが)

初手にカイリュー@こだわりハチマキがいる場合、手持ちにするか否かに関わらず1戦目の相手にカイリューは出てこないし、こだわりハチマキを持ったポケモンも出てこない。
またこれは初期6匹に限った話ではないため、例えば3戦目にガブリアス@ひかりのこなが出てきた場合
そのガブリアスを交換して手持ちに入れるか否かに関わらず、4戦目にガブリアスは出てこないし、ひかりのこな持ちのポケモンも出てこない。

これを逆手に取り、自分のパーティにとって重いポケモン(竜だらけのときのマニュ等)を自分で抱え込むことで脅威を撤廃できるのである。
また、該当のポケモン自体が出てこないとしても、そのポケモンの持ち物のパターンは最多で4種類であるため、そのアイテムを潰すことで出現率を下げることは可能である。
他にもタスキに弱い構成だったら自分でタスキを抱え込むことで出されなくする、等の対策を取ることも可能である。

また、1周目等はねをはるやアクアリングを連発してくる、なにも積んでいないのにバトンタッチする、等、賢い行動は取ってこないが
5周目以降の敵AIはなかなかちゃんとした判断をしてくる傾向が強く、対面に対して有利な技を振ってくることが多い。
これを逆手に取り、例えばサンダースvsドンファンの対面だった場合、1周目だとじしんを撃ってこないでのろいを積んできたりするのだが、5周目以降はまずじしんを撃ってくるため、裏の浮いているポケモンでスカした後に返り討ちにする、といった行動が決まりやすい。

他にも(これは先人の知恵になるが)出てくるポケモンの技構成・持ち物・性格・努力値振りを網羅したデータベースがあるため
ここからある程度そのポケモンの行動や耐久指数を推測することができる。
自分は以下のサイトを使用していた。

冒頭にも書いたとおり運ゲーであることは否めないが、ある程度のコントロールを自分で行えるため
何度かやって傾向を掴みさえすれば、試行回数はかかるもののクリアはそこまで難しくはない。

個人的に一番楽しかった点は、当時から対戦ではあまり見かけなかったものの中にも割と優秀なポケモンがいる、ということを理解できた点だった。
実際に初めて金ネジキに到達したパーティはフライゴンやカメックスといったお世辞にも強いとは言えないポケモンで占められていたが、割と道中は安定していたり、他にもジュゴン・スリーパーあたりのマイナーポケモンの特殊耐久指数が意外と高いことを知らなかったり等、役に立つかは置いておいて色々と発見があった。

そして何より、あまりにも理不尽すぎるのでメンタルが鍛えられる。
考え抜いて行動した末の負け、長時間連続でやったせいで意味不明な行動を取って負け、等を配信環境で他人が行っているのを見ると確実に笑える。
やっている側も笑いに変えられるので、クリアを狙うなら配信環境は割と重要なものであると感じた。
正直一人でやっていたら途中で折れていたと自分でも思う。
ちなみに途中、5周目・6周目あたりで負けた直後に5秒ぐらいで次周を開始できる程度にメンタルは強くなっていた。


■戦略について

ここからはクリアに向けての動きをある程度整理していく。
前述の解説と重複する部分も多々あるのでご容赦いただきたい。

・1周目~3周目

基礎知識として「最初の3匹選択を含む交換を7回行う毎に、次週の初手ピック時に1周後のポケモン(=個体値が高く技構成が違う)が1枠追加される」というものがある。
よって、最低でも3周目までは毎回ポケモンを入れ替えながらすすむのがベターである。
また相手の使用ポケモン3匹には法則があり、例えば現在が2周目だとしても、1周目のポケモンが含まれる場合は全て1周目のポケモンになる。
各周の7戦目は次週のポケモンを使用してくる(7戦目は2周目のポケモン、14戦目は3周目のポケモン…)というのも念頭に置きたい。

3周目までは出てくるポケモンをある程度教えてくれるので、タイプ相性を考慮しつつ、なるべく有利対面を取れるような構築を意識すれば概ね突破できる。
ピックが悪い場合は仕方ないが、まだ序盤なので諦めてやり直すのも選択肢に入る段階である。
しっかりと毎回交換をしていれば、3周目の初期ピックで運がよければ4周目の、準伝を含む強力なポケモンをピックできる可能性もある。
3周目ラストの銀ネジキは4周目のポケモンしか使ってこないため型の絞り込みが楽ではあるが、先述の通り4周目から準伝が解禁されることと
3周目は先頭のポケモンしか教えてくれなくなるので、場合によってはどうしようもないケースもままある。ここは運ゲー。
この段階までで強いのは1周目ラグラージ、1周目ガブリアス、2周目/3周目ボーマンダ、1周目ゴウカザル、2周目ギャラドス、1周目ハッサム、2周目ポリゴンZ(スカーフ)あたり。このへんは相性が悪くない限り手放さなくてもよい。
他にもSの高い(できれば115以上)ポケモンや、いかく持ちのムクホーク・レントラーあたりも使い勝手はいい。
次点ではSそこそこで技威力や幅のあるケンタロス・ガルーラ、みちづれ持ちの3周目ムウマージ、Sは微妙だが片側の耐久が高く殴り返せるカビゴン・1周目ミロカロス・ヤドラン(3周目はメガネ持ち)、1周目モジャンボ、ドンファンあたりか。
メタグロスはポケモン自体は強いのだが、3周目までは技構成がいまいちなので無理にピックすると負担になる可能性は高い。
ABのラインが高いリーフィアも悪くはないのだが、技範囲が微妙かつ草単という弱点の多さから、水地相手以外だとあまり活躍できなかった。

・4周目~5周目

4周目からは準伝が解禁されることと、通常のポケモンも強力な技構成のラインナップが追加される。これは当然相手にも言えるので、このあたりから油断できなくなってくる。
交換についてはここからは「なるべくならしたほうがいいが、それで構成が圧倒的に崩れるならしない」ぐらいの感覚で。
ここからの交換のメリットとしては、周回数が増えるごとに初回ピックのポケモンの個体値が4ずつ増えていくので、等速の場合に確実に上を取れるという利点が生まれてくる。

4周目構成で強力なのは、1:1交換をほぼ確実に達成できる程度にAの高いだいばくはつ持ちのメタグロス・ヒードラン・レジロック、純粋に技構成と種族値の暴力で戦えるガブリアス・ボーマンダ・バンギラス・ラティオス・ラティアス、技威力と範囲の優秀なゴウカザル、いかく+竜舞+ねむカゴで突破力の高いギャラドス、技範囲が広くみちづれの使えるゲンガー、高耐久力で対面処理性能の高いスイクン、こだわりハチマキ持ちで突破力が高いカイリュー・ムクホーク・プテラ・ケンタロス、高いSからドラゴン処理能力に長けるマニューラ、マニューラには劣るがドラゴンより速く汎用性がより高いスターミー、高いCSからそこそこの範囲を見れるフーディン、ダウンロードが発動する相手に当てれば帯込みで突破力の高いポリゴンZ、種族値は並だが技威力が高くSも最速クラスのクロバットあたりが強力。
その他はカビゴン・トドゼルガ等のあついしぼう込みで基礎耐久が高いタイプや、物理相手なら1:1.5ぐらいまでは交換可能なエアームドあたりも悪くない。

準伝については、この時代では劣化ウインディと言われているエンテイ・型がピーキーすぎるレジ系4種・種族値は悪くないが耐性が壊滅的なフリーザー・数の多いいわタイプに弱く何も返せる技のないファイヤーあたりは相性補完上どうしようもないケースを除いてあまりピックしないほうがよい。

5周目からの大きな変化として、4周目までは相手の使用ポケモン3匹には法則があったが、ここからはランダムになる。
それと先述しているが、ここからは敵のAI強化が顕著に表れるようになり、基本的に「対面に対して有利な技」を振ってくると思って良い。
なのでギャラキブル等、弱点をうまく補完しつつ有効利用できる組み合わせの使用が現実的になってくる。
また敵の傾向を教えてくれなくなるフェーズに入るので、だいばくはつ・みちづれ等の確実に対面を処理できる技を持っているポケモンを除き、基本的にはパーティ内の相性補完をきっちり行えるよう意識していけば
そもそものピックや相手との相性が悪すぎるか、道具・命中率・行動不能あたりの要素以外での負けは発生しにくくなる。

・6周目

5周目よりAIの強化がより顕著になり、ここからは甘えた行動は全て許されないと思ったほうがよい。
よって基本的には5周目と変わらないが、パーティ相性を意識しつつ、可能な限りSの高いポケモンや対面性能の高いポケモンを優先して選んでいく。
ここまでくると交換が明確に悪手となりがちで、最初の6匹の個体値が道中の敵より上であるケースが多く
特に同速でSギャンブルになる状況が発生しうるので、安定していると踏んだPTであれば交換せず強気に進んでしまったほうがよい。

・7周目

ここまでである程度交換をしっかりしていると、初期ピックの個体値が4~6匹程度6Vになっているはず。
ネジキの使用してくるポケモンは全て6Vであるため、S同値での先手負けを考慮すると
初期ピックが絶望的に弱いだとか、組み合わせ上やむを得ないケースを除き、交換はあまり行わないほうがよい。
構成が固まったら後はピック運、ひかりのこな・きあいのハチマキが発動しない、低命中技が当たる、処理できないポケモンが来ない、の4つを祈るぐらいしかない。


■最後に

文章を書くのも久しぶりなのでだいぶ拙い内容ではあるが、世間一般で思われているよりは面白いコンテンツなので
もし興味を持ってくれた人がいたらDSを引っ張り出してきて是非挑戦してほしいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?