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『絲』サンプルを読んでの考察

笹鎌愁久さん作、『絲』のサンプルめちゃくちゃ面白かったですよね。
公開日からずっと何度も読み返しているのですが、結構ぼかされてる所とか、妙な言い回しがあったり。そもそも人物相関図を整理したいなぁ、と思って今回筆を取った次第です。あまり大々的に考察書いてたまたま頒布前に確信を突いてしまったらファンとして物凄く不本意なので、ここでひっそりと一人語りして満足しようと思います。(絲頒布開始時まで非公開記事でした)
王様の耳はロバの耳。


※1
笹鎌愁久さん作『糸』、『絲』のサンプル、『絲』の予告動画を見ている事が大前提の記事となります。読んでない人は『糸』のサンプルをまずは読んで下さい。とてもえっちで、かつ世界観がばっちり伝わる素晴らしいサンプルとなっております。そして沼に落ちるがいいさ!

※2
私は普段文章を書かない人なので読み辛さ満点の記事になるかと思います。なります。iPadでせこせこ書いてるので変な改行になってるかも。

※3
考察記事としてはワンピースのトンデモ考察と同じレベルの適当に思った事を並べ立てるだけの物ですが、うっかり本編で語られる内容を話していた場合、『絲』の面白さが激減してしまう可能性があります。私はこれが滅茶苦茶に怖いので、ここで一瞬手を止めた方は読まない事をオススメします。一応本記事は『絲』の頒布後、しばらく経ったら公開しようと思っています。



今日、金曜日ですね。


さて、前置きが長くなりましたが、始めていきます。宜しくお願い致します。
まずは本作の謎を列挙していきますね。

  • 桜坂さんに事故ではなく自殺だと告げた人物

  • 赤紫色の髪の人、ソフトタイプのタバコ

  • 義務感

  • シーン7

  • シーン9

  • シーン10

  • 少ない肉片、送られた左手、侑さんの裸体

  • 「この事件にはおそらく、私も絡んでる」

  • かすみさん

  • トイレで会った人物、衝撃の真実

  • あなたも、この時間に取り残されろ。

多いですね。トキメキが止まりません。

◆自殺だと告げた人物
今作では桜坂さんが確信を持って自殺の真相を暴こうとしていますが、そもそもそれは誰に聞いたのか、どこで、なんで? 「あれは事故じゃなくて自殺なの」なんて傷心の友人に普通言うのでしょうか。言うのだとすればそこには何らかの思惑が存在するはずです。かすみさん、果林さん、歩夢ちゃん辺り? これを考えるだけでもすごく楽しい。


◆赤紫色の髪の人、ソフトタイプのタバコ
葬儀場で登場する赤紫色のストレートヘアのツリ目の女性を覚えていますか? 異様なまでに意味深でしたよね、あそこ。既婚者の描写→高咲さんの元に駆け出す流れにするには些か存在感があり過ぎるというか。薫子さん……では……ないか……。モブなのかなぁ。そして誰に貰ったのか判らないソフトタイプのタバコも気になります。かすみさんが高咲さんの吸っていたハードタイプの煙草と間違えてソフトタイプを愛飲していて、それを貰ったとかかな普通に。最近まで非喫煙者だったならそんなもんなのかなと思います。私もわからん。なんでそんなに早く切らしたかったのかと言えば、高咲さんに衝撃の真実を突きつけたのが、かすみさんだからなのかもしれません。


◆義務感
ゲロ吐きそうなワードですね。義務感。なんで桜坂さんは真実を暴くのにこんなに躍起になっているのでしょうか。大切な友人だから? これはトンデモ考察なんですが「しずかす」というカプが盛大なミスリードとなっていて、桜坂さんが実は栞子ちゃんの事を愛していたとかなら更なる地獄で面白いですね。まあ「愛するかすみさんに真実を暴いて欲しいと頼まれた」+「大切な友人だから」とかかな。という訳で桜坂さんに自殺だと告げたのはかすみさんだと思っています。しかし嫌な言葉だな義務感。また死人が出そう。


◆シーン7
この作品を読むにあたり決めていた事があります。それが「桜坂さんの話は基本信用しない」です。そんな中で滅茶苦茶重要なのがこのシーン7と、後のシーン9だと思っていて。なんとこの2つのシーン、語り手が桜坂さんじゃないんです!ぱっと読むと普通に歩夢ちゃんないしは高咲さんの独白っぽいんですが、それぞれ引っ掛かる箇所があって。”私は居場所を求めていた。居場所を失いたくなかった”これは歩夢ちゃんっぽいけど高咲さんではないです。逆に”傷心しきってしまった彼女を、迎えにいくことができるのだろうか。”はどちらにも当てはまらない、あえて言うなら新しい気持ちで歩夢を迎えに行くという高咲さんの意思表明に取れなくも無いのですが。結婚指輪が引き出しの奥にある、というのも気になる点です。結論としては私はかすみさんの独白だと思っていて。『糸』がかすみさんが栞子ちゃんの背中を押したら線路に飛び込むっていう最悪な”風が吹いたら桶屋が儲かる”理論で出来ているなら”私のせいだ。”と思うのも納得ですし、侑先輩の隣という居場所、傷心しきってしまった桜坂さんを迎えに行く、という感じに一応は話が繫がる気がします。おいおい結婚指輪はー? と思った貴方、良い質問ですね。冒頭の桜坂さんの悪夢のシーンを覚えていますか? 血塗られた結婚指輪。という訳でかすみさんと桜坂さんが血塗られた殺害現場で「私達にはこの指輪がお似合いだよ」みたいな最悪の愛の告白やってた可能性があると思います。歩夢ちゃんが傷心の栞子ちゃんを迎えに行く、自死を決意しているみたいな捉え方も出来ますけどね。すごく楽しいシーンで何度も読み返してます。一応このシーンはしずかすちゃんが逆でも成り立ちますね。時系列的には歩夢ちゃんなら殺害前、しずかすちゃんなら殺害後のシーン。


◆シーン9
シーン7とは違って明確に桜坂さんの一人称では無い事が判るシーン。該当するのは高咲さん、歩夢ちゃん、かすみさん。この誰かから話を聞いた果林さんが桜坂さんにお漏らししてしまった可能性もなかなかにありますね。”あなた達全員の味方だから。何があっても、私はあなた達を否定しない”の台詞は耳触りの良い言葉ですが、どこか不穏な響きを感じさせます。


◆シーン10
「ごめん、歩夢。私が間違ってた」からの一連のシーン、ゆうしずえっちシーンの次くらいに笹鎌さんウッキウキで書いてそうだなと思いました。


◆少ない肉片、送られた左手、侑さんの裸体
サンプルのラストで現場状況の違和感から共犯者がいた事を指摘されて動揺する桜坂さんですが、ここに違和感がありまして。共犯者の存在を隠したいのであれば明らかに歩夢ちゃんの元に左手を送り付けるのはやりすぎなんですよね。死体撃ちです。バレた時に私でした、って言えば単独犯だと思われそうなものですが。知らんけど。本編中どこか抜けてる桜坂さんの描写もあり、なんとも言えないのですが、「高咲侑が死亡したと錯覚させる事」。これを明るみにするのが目的だったのではないかと推測します。何が言いたいかといえば高咲さんは左手とどこかの肉体を削がれた状態でどこかに居るのかもしれません。高咲さんが死亡して得をする人って列車事故以前だと栞子ちゃんしか居ないのですが、高咲さんが死亡したことになると得をする人がいらっしゃいますね。そう、かすみさんです。シーン1の”動かなくなった侑さんの裸体”は死んでそうだけど死を名言されてはいません。死んでそうかな……。


◆「この事件にはおそらく、私も絡んでる」
え?菜々さん? サンプル読む限りは絡んでなさそうなんですけど……。転じてシーン10の果林さんの”全員の味方”発言が一気に不穏に……。


◆かすみさん
かすみさん。お気付きだとは思いますが異様に供述に登場しません。転じてシーン7、9はかすみさん視点なのかな、とか、桜坂さんが庇っているのはかすみさんなんだろうな、とか。


◆トイレで会った人物、衝撃の真実
曰く、高咲侑さんはお葬式の最中に誰かに会い、そこで衝撃の真実を聞かされ、思い悩むようになったそうな。え? ってなりました。だって高咲さんは栞子ちゃんの自殺の渦中の人物だから。そんな”衝撃の真実”とは。実は『絲』には高咲さんの他にもう一人、生死が確定していない人がいます。

”遺体修復のプロですらお手上げだった。遺族の方ですら、彼女の顔を見ることは叶わなかった。”

「栞子なら、まだ生きてるよ」

例えばこんな事を言われたとしたら激しく動揺しますよね。トンデモ説ですが高咲さんが思い悩むような事が他になさそうだったので、一応。ちなみに棺の中の栞子ちゃんの顔を見ようとしたランジュちゃんを真っ先に止めようとしたのは果林さんです。ここまで書いて「しお子を唆したのは私なんです。しお子を殺したのは、私」的なかすみさんの発言な気もしてきた。


◆あなたも、この時間に取り残されろ。
『絲』予告動画の好きすぎる一文。
文脈的に高咲さん加虐シーンでの一文だと思うのですが、先の栞子ちゃん生存説が正しければ、精神的に一歩も前に進めなくなった栞子ちゃんから高咲さんへの怨嗟の声にも聞こえます。格好良い。

栞子ちゃんが死んでいた場合、桜坂さんが自殺の真相を突き止めようとする以上、最終的にかすみさんが栞子ちゃんを殺してしまった事に気付く訳で。でも自身を犠牲にしてまで愛したのはかすみさんな訳で。かすみさんが桜坂さんに自殺の真相を暴いてくれと頼んだなら、かすみさんは桜坂さんに介錯してほしいのか。その辺の八方塞がりな地獄の愛憎模様も笹鎌先生なら描き切ってくれるのだろうと今から頒布が楽しみで仕方ありません。考察はここで終わりますが、頒布日までまた何度も『絲』のサンプルを読み返したいと思います。

お付き合い頂き、ありがとうございました。


(2023/01/26 追記)
本編を読んでの感想を書きました。


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