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類稀なる北陸の文化的な暮らしを発信したい|メディアブランドweaveの舞台裏

毎年7月1日が来れば氷室饅頭、アワビに岩牡蠣、9月になれば底引き漁の解禁、11月にはズワイガニ・香箱ガニの解禁、1月はブリ、冬の間はイノシシも…

石川県に引っ越してから、何かと食べることに忙しいEATLABのフードディレクター 瀬尾です、こんにちは。引っ越し以前から石川には毎月のように来ていて、1年を通して食べられる美味しいものは季節の折に触れてひととおりいただいてきました。

引っ越してからも特に、漁師町に住んでいるわけでも、大自然の中に住んでいるわけでもなく、いわゆる地方都市の街中に住んでいるのですが、とにかくこちらの方は、“季節に合わせた文化的な暮らし”を脈々とされている…!というのが最初からの印象で、今でもそれは全く変わっていません。

なんなら、住めば住むほど、知れば知るほど、どんどんその想いが強くなりました。それは食に関する部分だけでなく、春には田んぼに米を植え、夏には畑をやり、冬は家に篭もり機織りや伝統工芸に打ち込む…、そうした季節に合わせた晴耕雨読な暮らしこそ、北陸らしい文化を育んできたのではないかと、この1年のEATLABでの活動を通して、わたしたちはより強く考えるようになりました。

そんな中で生まれたのが、先月サイトをリリースした、北陸発のライフスタイルメディアブランド『weave(ウィーヴ)』です。

今日は、そんなweave立ち上げの背景を(もう結構書いちゃったけど↑)、これまで、EATLABメンバーで練りこんできた想いを交えてお話ししたいと思います。

このnoteは、EATLABマーケティング研究室(旧 EATLABオンライン研究室)という有料マガジンの中で綴る「メディアブランドweaveの舞台裏」という不定期連載です。weave立ち上げの経緯から、Eコマースでありメディアでもあるweave運営の裏側まで、わたしたちの思考の過程を綴っていきます。


各地域の個性は大事にしたいけど、富山とか福井とか石川とかで意識し合っている場合ではない

正直に申し上げますと、石川県とのご縁をいただいて10年ほどになりますが、それまでは関東在住で、ぶっちゃけ石川にせよ福井にせよ富山にせよ、”北陸(=左上のあの辺)”という以上、特に詳しく知りもしませんでした。今となってはなんて勉強不足だったのだろう(恥)、こんな魅力的な地域、もっと若いときから来てみていたら世界観変わったんだろうな…なんて思うのですが、北陸以外にお住いの方でわたしみたいに思っている人、少なくないのではないかと思うのです。

なんなら世界に目を向けてみればそれが当たり前くらいの話で、日本の地域の面白さをきちんと理解してもらうためには、それぞれの地域の面白さを潰してはいけないとは思うものの、富山とか福井とか石川とかで意識し合っている場合ではないというのがそもそものはじまりでした。

もっと言えば、こちらに来てからわかったことですが、現在の行政区による区別よりも合併前の行政区であったり、町内会単位の“町”であったり、江戸時代の藩であったりにアイデンティティを抱いている人も多く、どうしても現在の県境単位でのブランディングががあまり意味をなしていないという印象もありました。

石川だけでなく隣県で行われている工芸祭に足を運んだり伝統工芸の工房に足を運んでお話しを伺ったりする中で、わかってきたことは、冒頭で書いた通りの「北陸エリアの文化的な暮らしは、この地域の季節や自然環境と密接に紐づいている」ということ。アウトプットの形は歴史の荒波やもっと狭い地域の地域性、地形など様々な要素によって異なりますが、大きい意味で言えば、“北陸”という日本アルプスや白山連峰などの山々と日本海に挟まれた地形によって育まれ守られてきた文化なのです。

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そういう「季節に紐づいた文化的なライフスタイル」は、実は何も北陸に限ったことではなく、日本各地津々浦々で脈々と営まれてきた暮らしそのものかもしれません。ただ、この北陸の地理的環境が長い間それらを守り受け継いできたからこそ、現在に至るまで観光目的の“体験”や歴史を学ぶための“授業”などとしてだけではなく、このエリアではあたりまえに暮らしの中に根付いた文化として残っているのではないかと思うのです。だからこそ、この「季節に紐づいた文化的なライフスタイル」には、北陸らしくもあり、そしてもっと言えば日本らしい暮らしが詰まっているのではないかと考えています。

そして、忙しくて消費的な世の中で奇しくも世界が立ち止まる機会となった2020年春に、あらためて身の回りの暮らしを整えること、季節の恵みに感謝すること、わたしたちを取り巻く自然をカラダ中で感じること、といったことに気づかせてくれるヒントが詰まっているのではないかと思うのです。



エリアとしての魅力がオリジナルの色を帯びる世界の地域

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